センタ−ニュ−ス
第3号
平成12年6月21日
特集:治験管理センター一年のあゆみ
昨年5月の開所式より、あっという間に一年余りが過ぎました。治験管理センターの運営にあたり、日頃よりたくさんのご協力、ご支援をいただき、感謝しております。お待ちかねの治験管理センターホームページもようやく開設することができました。ホームページでは、春の人事異動でリニューアルされたセンター構成員や国立大阪病院受託研究諸規程も紹介しています。是非開けてみてください。センターニュース3号では、一年のあゆみとCRC(治験コーディネーター)の活動状況を報告したいと思います。
平成11年度を振り返って
治験実施体制の環境整備
平成11年度は、治験実施体制の環境整備に追われた一年であったように思います。院内職員の皆様に広く治験を理解していただけるよう、「治験管理センター開設セミナー」をはじめとして、「負担軽減費」・「ゴールドカード・治験来院票」・「補償について」等の説明会を開催しました。また、治験支援体制を強化するため、各種CRCの研修会へも積極的に参加させていただきました。治験をささえる院内組織(1.IRB 2.治験事務局 3.治験チーム:治験責任医師・治験分担医師・治験協力者・その他)については、センター開設当初と比較すると、かなり体制整備されてきたものと考えています。
治験実務担当者の会・共同基盤研究
しかし、治験管理センターの運営にあたり、まだまだ多くの問題を抱えているのが現状で、これは他の国立病院・療養所においても同じようです。施設間の意見交換を行うことにより、その問題の解決策を得られる可能性も高いと考え、平成11年夏、近畿地方医務局管内7施設(大阪・京都・大阪南・近畿中央・宇多野・刀根山・循環器病センター)での治験実務担当者の会を開催することになりました。平成11年度中に国立大阪病院にて計3回開催されました。この討議内容は、平成11年度国立病院・療養所共同基盤研究「臨床治験の実施・管理ガイドラインの策定」として報告しています。また、同様の会議を今年度も継続して行うこととなっています。
市民向けの啓発講座
治験を円滑に推進するための治験実施体制の整備には、一般市民への幅広い広報活動も望まれています。12月には治験推進協議会の活動の一環として、市民向けの啓発講座「新薬開発のための治験とは」を開催しました。
臨床治験の国際化シンポジウム
平成11年度の締めくくりともいえる3月には、「臨床治験の国際化シンポジウム」(主催:大阪大学医学部付属病院臨床治験事務センター,国立大阪病院治験管理センター)が欧米の治験関係者を招き、わが国の治験実施体制の現状を明らかにするとともに、国際化への要件を探るために企画されました。大阪大学コンベンションセンターにて750名以上の参加者が集まり、活発な討議が行われました。今年度は、来年3月3日(土)に国立大阪病院治験管理センターが開催事務局となり、グランキューブ大阪(大阪国際会議場)にて開催予定です。
契約実績と実施状況
―実施率23%上昇―
契約件数
受託研究
平成9年度
平成10年度
平成11年度
第T相
0
1
1
第U相
41
23
23
第V相
26
16
10
第W相
84
65
81
その他
25
18
15
総 計
176
123
130
実施率
委託症例数
実施症例数
未実施 症例数
実施率
10年度
141例
65例
76例
46.1%
11年度
206例
142例
64例
68.9%
―ひとことー
多施設共同治験の実施は、新医薬品の有効性をより効率良く評価する方法であり、将来使用される状況により近い試験状況を提供するものとされています。各施設の果たす役割は重要で、信頼性の保証と完全実施が治験全体の質の向上につながります。
CRCの活動状況
治験チームの円滑な連携をめざして
治験管理センター開設当初は2名であったCRCも、現在では4名となり、循環器科・内科・外科・消化器科・神経内科と活動の範囲を広げているところです。
治験チーム(担当医師、入院・外来スタッフ、病棟担当薬剤師、検査科等)の円滑な連携を計ることは、CRCの重要な役割で、治験ごとに支援体制をアレンジして効率的な業務の流れを作れるように配慮しています。また、円滑な連携がなければCRCの役割は果たせないと考えています。ご協力お願いします。
日常診療でチーム医療が実践できている、被験者と担当医師間の信頼関係が十分築かれている診療科においては、比較的治験はスムーズに進められているように感じています。
スタートアップミーティング
CRCが中心となり、IRB承認後治験がスタートする前に、治験チームと詳細な打ち合わせをしておくことをスタートアップミーティングと呼んでいます。このミーティングは多くのスタッフがプロトコル(治験実施計画書)を理解できる、手順の煩雑さの解消等、効率的に治験を進めていく上でとても大切です。
CRC 治験ごとの担当制に
より多くの治験に参加・・・より迅速に的確な対応を・・・プロトコルの深い理解・・・等々をめざして、治験ごとに主担当CRC、副担当CRCをあらかじめ決めておく担当制を導入しました。
スタートアップミーティング
@ 担当CRCが関連部署と開催期日を調整
A 参加者:依頼者とその治験に関連のあるスタッフ(治験チーム)
B 打ち合わせ事項
プロトコルの読み合わせと確認・CRC業務案の提示(被験者とCRCの関わり方・他部門との連絡の取り方・検体の取り扱い等)・各部署の役割の明確化と相互理解
★
担当CRCが声をかけましたら、是非積極的な参加をよろしくお願いします。
CRCの位置づけ
治験責任医師の支援
―治験の倫理性・科学性を保証するための活動―
モニタリング対応―治験の品質管理
―モニタリング
治験依頼者が、適切な訓練を受け、治験を十分モニターするために必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名し、行います。その目的は、モニターが治験実施医療機関等を訪問して治験の状況を調査し、治験が治験実施計画書やGCP等に従って実施、記録されていることを保証するためです。実施時期は、治験開始前、実施中及び終了後に行います。原資料の直接閲覧はその重要な業務となっています。
―効率的な直接閲覧のためにー
モニタリングの対応は、治験管理センターの者が立ち会って行っています。原資料の直接閲覧にはかなりの時間がかかっています。その原因の一つには、診療録の記録が容易に判断しえない場合や診療録の記録が不備であったり、看護記録と矛盾するものであったりして、その解明に時間が必要になることがあげられます。CRCが治験実施に関与することでかなり解決されると感じていますが、治験担当医師の方には原資料(診療録・検査伝票・投与記録・被験者の日記・X線写真等)の整備と管理が適切に行われるようご配慮をお願いします。
―もう少し担当医師の方へお願いー
治験の検査には外部測定検査が多いこと、オーダリング導入により、各種検査結果が簡便に確認できること等の諸事情により、カルテに伝票等々が残っていないケースがあります。モニタリングに対応するCRC泣かせ(?_?)となっています。
被験者の知りたいこと
このくすりどうして私にすすめるの?
どれぐらい効果があるの?
副作用はどんなもの?
他に同じ様な効果のくすりはないの?
何人のひとが投与を開始していますか?
その使っている人への効果はどうですか?
負担軽減費ってどういう意味ですか?
検査等費用負担を受けられるって危ない感じ?
プラセボはなぜ必要なの?
希望のくすりがあたらなかったら、すぐに同意を
撤回していいですか?
どのくすりがあたっているのかわからないのは
どうして?
ややこしい検査がいっぱい!何のための検査?
治験期間が終わったら、このくすりは続けること
ができないの?
治験終了後の治療はどうなるの?
★知りたいことはいろいろのようです
新IRB施設外委員の紹介
5月より重村文子さんの退職に伴い、新しくボランティアコーディネーターの小野郁子さんにお願いしています。
新薬誕生までのプロセス
ー治験の進み方―
くすりは多くの「くすりのたまご(候補)」について、有効性と安全性が調べられ、人々の命や健康に役立つことが証明されたものだけが厚生省から「くすり(医薬品)」として認められ、世に出るようになります。「くすりのたまご」が見出されてから、実際に病院で患者さんに使われるようになるまでには、様々な試験にパスしなければなりません。
治験の段階―3つのステップー
厚生省から「くすり(医薬品)」として認められるために行う臨床試験(人での有効性と安全性を調べる試験のこと)を「治験」と言います。
非臨床試験と言われる動物試験の後、「治験」が進められます。「治験」は通常3つのステップを踏んで進められます。
第T相・第U相・第V相(PhaseT,U,V)試験
と呼ばれています。この「治験」はGCP:「医薬品の臨床試験の実施基準」に従って行われています。動物試験から「くすり(医薬品)」として認められるまで、約10年〜18年の年月がかけられています。
☆非臨床試験(動物での試験)
↓
★第T相(臨床薬理試験)
少数の健康な成人志願者を対象に、主として安全性を調べます。
★第U相(探索的試験)
少数の患者を対象に有効性(病気を治す効果等)や安全性(副作用等)を調べます。また、どの程度の量やどのような使い方をすれば良いかも調べます。
★第V相(検証的試験)
より多数の患者を対象に有効性や安全性を調べ効果の範囲や標準的な使い方を確定します。現在使われている標準的なくすり(対照薬)と比較、評価するのが普通ですが、標準的なくすりがない時には有効成分の入っていないくすり(プラセボ)と比較することもあります。
↓
☆新薬承認申請(厚生省へ)
発行:国立大阪病院 治験管理センター
作成:堀川 裕子