センタ−ニュ−ス
 
   
第4号
平成12年11月27日
  治験管理センターニュース4号発行にあたって
 
治験管理センターニュース1号を発行してから早くも一年が経過しました。4号では「平成12年度厚生省CRC養成研修」の研修生受け入れ施設となったことや、各学会等への参加報告を中心に掲載させていただきます。
 
「平成12年度治験コーディネーター養成研修」
この研修は、治験の倫理性、科学性及び信頼性の確保に重要な役割を果たすCRCの養成を目的として、厚生省健康政策局により実施されています。
 
当院のCRC主任政道・森下は平成10年度にこの研修を修了しています。今年度の研修実施医療機関は7施設で、西日本では国立大阪病院のみとなっています。研修実施医療機関に選ばれた責務は大きいですが、非常に光栄で、日頃の実績が広く認められた結果と受け止めています。
 
【研修日時・研修生】
第1クール H12/10/16〜H12/11/2
薬剤師2名
第2クール H12/11/6〜H12/11/24
看護婦2名
第3クール H13/1/15〜H13/2/2
薬剤師2名
 
★研修期間中、病院内を当院CRCとともに同行することも多いかと思います。ご理解の程よろしくお願いします。
 
「平成12年度治験管理センター学会等参加報告」
昨年からの経験を踏まえ、今年度は多くの学会等で発表できました。
@近畿地区国立病院・療養所第42回看護学会
(H12/9/8)
  「CRCが関わった治験における被験者の反応」
   ―同意の要因を探るー
   発表者:森下典子
 
A第21回 日本臨床薬理学会(H12/9/28)
  「臨床治験におけるスタートアップミーティングの評価」
   発表者:森下典子
 
B第2回治験の国際化シンポジウム(H12/9/30)
   「日本のCRCの現状についてーアンケート調査より」
   発表者:楠岡英雄
 
C第55回 国立病院療養所総合医学会(H12/11/9)
   血液・造血器疾患政策医療ネットワークの構築を目指して
   ―特に診療と臨床研究体制の基盤整備についてー
     「治験・臨床研究の実施体制の構築」
   発表者:楠岡英雄
 
D第55回 国立病院療養所総合医学会(H12/11/10)
   「当院治験管理業務の取り組みについて」
   ―治験管理センター開設と治験コーディネーターを導入してー
   発表者:政道修二
 
E第20回医療情報学連合大会(H12/11/23〜25)
   「新GCPに対応した治験オーダリングシステムの開発」
   発表者:是恒之宏
 
F院内看護研究会(H12/12/2)
   「臨床治験におけるスタートアップミーティングの評価」
   発表者:森下典子
 
G第22回 日本病院薬剤師会近畿学術大会
(H13/2/3,4)
   「当院の治験管理業務における薬剤科の取り組み」
   発表者:堀川裕子
 
お知らせ
臨床研究(公費臨床研究、自主研究)取り扱い指針
(平成12年7月1日より施行)
―趣旨―
臨床研究は、対象となる志願者・患者等(以下、「対象者」という。)の人権、安全及び福祉の保護のもとに、その科学的な質と成績の信頼性を確保しなければならず、新薬の臨床試験においては「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」が定められている。国際的な評価に耐えうる質の高い臨床試験を実施していくためには臨床試験に準じた取り扱いが必要であり、その目的のために本規定を定める。 (一部省略)
 
―臨床研究の定義―
(1)公費臨床研究
  国及びそれに準じる機関の者からの委託を受けて行う研究で、これに要する経費の負担に公費の補助があるもの
(2)自主研究
  各種学会、研究の主宰する多施設共同試験として施設参加する臨床研究並びに国立大阪病院医師等の立案した実施計画書等に基づく臨床研究。
 
―臨床研究取扱手順―
調査・審議
臨床研究で、患者を対象とし、事前の同意取得が必要と認められる研究及び患者より摘出した臓器、組織、検体等を対象として実施するもので同意取得の必要とされる研究並びに医薬品等の研究において、それが未承認薬、保険適応外使用を含む場合などについては国立大阪病院受託研究(治験等)取扱規程第19条、国立大阪病院受託研究(治験等)審査委員会細則第8条により調査、審議する。
★臨床研究の責任者は、受託研究審査申請に準じ、研究開始月の2ヶ月前の第3金曜日までに必要書類を院長(治験管理センター)に提出することとなっています。(詳細は治験管理センターへお問い合わせください)
 
「治験管理センター開設後2回目のGCP実地調査」
GCP実地調査がまたやって来ました。本年1月に受け(センターニュース2号にて特集)、年内に2回受けることは大変まれなことです。主要プロトコルを契約していたこと、実施症例数が多かったことが実地調査対象となった要因と考えています。
調査対象品目名
オプチマーク オプチマークシリンジ(MRI造影剤)
調査対象承認審査資料名
第U相臨床試験
  (脳・脊髄造影の標準用量設定試験)
第U相臨床試験
  (脳造影の高用量設定試験)
第V相臨床試験
  (脳・脊髄造影におけるガトペンテト酸ジメグルミン注射液との比較検討)
第V相臨床試験
  (脳造影の高用量試験)
第V相臨床試験
  (肝臓造影の高用量試験)・全実施症例27例(全契約症例29例)
治験責任医師
  放射線科 御供 政紀
治験依頼者
  マリンクロット ジャパン株式会社
調査年月日
  平成12年10月31日(午前10時〜午後6時)
調査担当者
  医薬品機構 治験指導部 治験調査課より2名
 
実地調査当日
治験管理センター会議室にて実地調査は進められました。前回同様、カルテと症例報告書の照合と病院概況・治験概況説明・治験事務関連書類等の実施体制の確認をされました。症例数が多いためカルテ、フィルム等の閲覧(両技官対応)は、10時より16時30分までかかられましたが、細部にわたり、手際よく、念入りに確認されたという印象です。
 
実地調査を終えて
体制についての指摘は、造影剤ということで責任医師が治験薬を管理していましたが、今後は薬剤科管理にする方が望ましいという点以外、特にないと講評をいただきました。
カルテと症例報告書の照合においては、責任医師へ主治医との連絡、投与後の観察方法、検査伝票保管、カルテ記載が不十分などの指摘がありました。個々の症例については併用薬の記載漏れ、除外基準違反、併用禁止薬違反等が見られました。
放射線科の治験であったことより、治験担当医師と被験者の主治医との連携やカルテ記載についてはかなり実施困難であったことが伺えます。他科との連携は現在実施中の治験においても大きな課題であると感じています。
★指摘のなかには厳しいものもありましたが、治験事務局・CRCがより活動しやすいようにという、今後の実施体制への助言という意味を含んだ、大変意義のある講評でありました。
 
大阪病院でのCRC研修を終えて
★第1クールの研修生の方から以下のような所感を頂きました。国立京都・国立療養所近畿中央病院に帰られて、今度は実務者として忙しく奮闘されているようです。
IRBをより活性化させるための事前検討は非常に意義があり、参考にしたい
IRB、GCP実地調査に臨席できたことは、貴重な体験
被験者の治験に対する負担や不安を軽減するためには、医師との連携・他部門との協力体制がいかに重要であるか学ぶことができた
チーム医療の必要性を痛感
治験・CRCの取り組みについて、薬剤科部長・看護部長のビジョンを伺うことができ、治験管理センターだけでなく、施設として治験体制・CRCの方向性が明確であると感じた
研修生を受け入れてくれた大阪病院の寛容さに感謝
 
ヘルシンキ宣言改定
ヘルシンキ宣言とGCP
ヘルシンキ宣言は、医学研究における倫理的かつ科学的な指針として、世界各国で尊重されており、GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)はヘルシンキ宣言の精神をもとにして、具体的に臨床試験における基準を示しています。
ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則
1964年6月
  フィンランド、ヘルシンキの第18回WMA総会で採択
1975年10月
  東京の第29回WMA総会で修正
1983年10月
  イタリア、ベニスの第35回WMA総会で修正
1989年9月
  香港、九龍の第41回WMA総会で修正
1996年10月
  南アフリカ共和国、サマーセットウエストの第48回WMA総会で修正
2000年10月 英国、エジンバラの第52回WMA総会で修正
 
今回の改定ポイント
治療のための臨床研究と、直接治療に結びつかない学術研究の二つの研究活動にわけ、臨床研究なら医師の判断でインフォームド・コンセントを得なくてもよい場合がある、とする除外規定を設けていた。今回の改定で研究活動は一本化され、人間を対象とするすべての研究でインフォームド・コンセントが必要とされた
被験者個人の利益が科学的、社会的利益より優先する、という表現が宣言の前文に置かれた
研究計画の妥当性を審査する倫理委員会には進行中の研究を監視する権利があると明記
 
今回の改定は、医師の独断を排して被験者の自律性をもっと尊重しようという、世界医師会の強い決意の表明とも言える
 
発行:国立大阪病院 治験管理センター
作成:堀川 裕子
 


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