センタ−ニュ−ス
 
   
第9号
平成14年10月25日
  治験管理センターニュース第9号
 
秋風がさわやかな季節となりました。秋の夜長に、治験についても心を寄せて頂ければ幸いです。
 
―治験を支えるスタッフ紹介―
 
治験に想うこと
〜国立病院等における治験(受託研究)を
とりまく環境の移り変わり〜
会計課 課長 藤原一二三
国立病院・療養所を流れ流れて、昨年の12月に11カ所目の施設として当院に赴任し、ほぼ1年が経ちました。当院での治験との関わりは、IRBの専門外委員(本音を言いますと、専門用語は理解不能で、長時間の会議は少々疲れます…)として、また会計課の立場として微力ながら支援させて頂いています。
当日の監査担当は、JCOGデータセンターからの監査実施責任者とJCOG監査委員の医師および他のJCOG参加施設からの2名の医師の総勢4人でした。
国立病院等における治験(受託研究)を取り巻く環境は、ここ数年大きな変化を歩んでいますが、事務官の立場からその変化ぶりについて、思いつくまま、少し経験を交えて書いてみます。
私が初めて受託研究に関わりをもつようになった昭和56年頃(20年以上以前)は、現在のように、研究費が国の会計として取り扱われておらず、別途会計(受託研究費会計)として処理されていました。このため、研究費の使途に殆ど制約が無く、概ね研究者の自由裁量で執行されており、現在では考えられない「打ち合わせ会」といった飲食店の支払いもありました。当然、審査委員会といったものも無く、研究受託の可否も研究者の判断に委ねられており、かなり杜撰な管理体制だったと思います。
確か昭和60年頃と記憶していますが、歳入、歳出の予算科目化が行われ、国の経理として取り扱われるようになりましたが、依然として医師と薬剤科、会計課等の院内のごく一部の職員が関与して実施され(研究実施に関する管理体制が未熟で、管理審査委員会も形骸化していた気がします。)、長らくこのような状況に置かれていました。現在のように本来業務として認知されておらず、どちらかといえば日陰的な扱いだったような気がします。市販後調査などは、どう考えても販売促進の面が強いと感じられるケースもあり、研究費は主に医師の学会出張旅費等の財源確保的な要素があった気がします。
平成7年頃から、研究費算出におけるポイント制、治験にかかる医療費特定療養費払制度、被験者負担軽減費等が順次導入されていき、新GCPの完全施行と相まって、治験を取り巻く環境は著しく変化していきました。また、治験を推進していく上で最もネックとなっていた治験コーディネーターの定員化や、研究費での非常勤職員の雇用化等を図り、大規模施設では治験管理センター(室)が設置されるなど飛躍的に発展してきました。
本年度からは、治験の円滑な実施を図るため、研究費の科目の一本化(依然として国の会計制度の制約等があり、実行上のメリットはあまり感じられないが…)も行われました。さらに、厚生労働省においては「全国治験活性化3カ年計画」等の推進策を発表し、「大規模治験ネットワークの構築」、「治験コーディネーターの増員」、「GCP必要書類の見直し」等に取り組むとしており、国立病院等においてもますます治験の重要性が高まっていくことは必然であり、治験管理センターを中心として、より一層、病院全体で推進していく必要があると考えています。
当院においても、まだまだ医師、事務官等の治験への関心や関わり方に職員間の温度差が感じられ、今後、職員の意識(病院として取り組むという姿勢)の醸成がより一層必要と考えています。治験への取り組みは国立病院の存在意義の一つであると考えており、治験を支援していく職員の一人として、これからも協力していきたいと考えています。
 
事務官の立場で「治験に想うこと」の原稿を執筆していただいたのは、今回が初めてです。研究費会計においても透明性の高いものに移り変わってきた変遷が良く理解できました。病院全体として治験に取り組む大切さを伝えて頂けたことは、治験管理センター員の大きな励みとなります。嬉しい限りです。
 
第5回治験の国際化シンポジウム
The 5th International Symposium on Clinical Trials
主催:治験の国際化シンポジウム組織委員会
平成14年9月21日,国際会議場 ポートピアホールにて開催されました。今回は国際治験がテーマで、当院で国際治験を治験責任医師として経験された、循環器科部長の是恒先生がシンポジストとして講演されました。海外諸国と同時開発治験を日本で実施する際の難しさや、意気込みを臨場感あふれるプレゼンテーションで示していただけました。国際治験への参入は、予期せぬ危険性への対応や海外の進捗速度に負けないスピードの確保など、様々な壁にぶつかることもあります。しかし、充分なトレーニングを積み重ね、経験と実績を持って治験の世界競技に挑めるよう、治験体制強化を続けることが大切だと思います。
 
院内治験担当医師のセミナーと新GCPのもとでの
治験推進研修会(主催:治験推進協議会)
 
IRBの治験責任医師・分担医師の履歴審査において、上記セミナー又は研修会の受講を治験実施の資格としています。院内セミナー受講機会がなかった場合は、年に2回開催されている研修会を受講されますようお願いします。今年度は、6月、12月に開催されています。また、未受講の分担医師を指名されている治験責任医師においては、ご指導をよろしくお願いします。
 
情報病歴委員会報告(治験関連)
―CRCのカルテ記載についてー
9月4日に開催された情報病歴委員会で、CRCがカルテ記載することについて承認されました。治験協力者の指名を受けたCRCが、外来では担当診療科の診療記録に、入院では2号用紙に(体温表への記載は原則行わない)、必要に応じてSOAP形式で記載します。CRCの職種に関わらず、記録の記載日と記録の最後に「CRC 氏名」と記入します。CRCの視点で捉えた患者情報等を記録に残したいと思います。
―治験患者の原資料保管についてー
治験では、治験に関連する診療録、画像検査フィルム、各種検査結果伝票等を、原資料といいます。原資料の保管義務については、GCPにおいて定められており、通常の保管期間以上に管理する必要性もでてきます。現在、治験患者の原資料を他の診療緑と区別して保管、管理する作業について、情報病歴委員会で検討されています。とても膨大な作業になることが予測されます。ご理解、ご協力の程よろしくお願いします。
 
市販後臨床試験GPMSP(GCPを含む)実地調査
治験管理センターでは、初めてGPMSP(GCPを含む)実地調査を経験しました。以前経験したGCP実地調査と比較し、広範囲を短時間に確認されたという印象です。
 
調査対象品目名: リーバクト顆粒
対象症例数: 12例
市販後臨床試験責任医師: 加藤 道夫
市販後臨床試験依頼者: 味の素株式会社
調査年月日: H14年9月9日(13:30〜16:30)
調査担当者: 医薬品機構・信頼性調査部
  市販後調査課 2名
 
GPMSP(GCPを含む)実地調査を終えて
試験実施体制、各症例報告書と診療録の整合性についての調査および試験薬管理、診療録管理状況など現場の視察が行われました。病院概況説明の後、試験実施体制では受託研究取扱諸規定、特にIRBについては構成、委員指名、審査方法、結果取扱等詳細な聞き取りがありました。また、受託研究事務手続きについては新規依頼分のみの調査でしたが問題はありませんでした。
各症例診療録との整合性確認では、1例に試験薬の投与状況が確認できませんでした(診療緑には1)doの記載のみで投与日数が未記載)。また、1例で診療録に自他覚随伴症状の「筋痙攣(こむら返り)」の記載があり、随伴症状とするべきであるか有害事象とするべきか、実施計画上取り扱いが不明瞭として、別途依頼者に確認するとされました。この2点以外は実施上問題ないとのことでした。
 
「平成14年度治験コーディネーター養成研修」
主催:医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構
実施:(財)日本薬剤師研修センター
今年度も下記期間に7名の実務研修を受け入れます。
CRCの養成は、これからの日本の治験環境の整備に向けて、厚生労働省が積極的に取り組んでいます。院内各所で研修させていただくことになります。ご理解、ご協力の程よろしくお願いします。
 
【研修期間・研修人数】
第1クールH14.10.7〜H14.10.25 1名
第2クールH14.11.5〜H14.11.22 2名
第3クールH14.12.2〜H14.12.20 2名
第4クールH15.1.6〜H15.1.24  2名
 
 
モニタリングと監査(part2)
治験管理センターニュース第8号では、モニタリングを紹介しました。第9号では監査(audit)を紹介します。監査と聞くと役人が事細かに取り調べをして、おしかりを受けるというイメージが強いかと思います。しかし、医療の中で監査はあら探しではなく、次に向けての結果のフィードバックによるステップアップのための過程と捕らえることが大切です。監査する側もされる側も監査の目的を充分理解して、公明正大に行うマナーが必要だと言えます。とはいうものの指摘事項が多いという結果は、決して良いことではありません。
 
監査とは?
監査は、治験依頼者の治験を実施する部署と独立した監査部門の監査担当者により実施されます。監査では、治験依頼者、医療機関等における治験システムが、適正に構築され適切に機能しているかと個々の治験において、治験が治験実施計画書、GCP等を遵守して行われているか否か、得られた成績の信頼性が確保されているかを評価します。医療機関に対する監査は、モニタリングのように全ての医療機関ではなく、選定された医療機関に対して行われます。方法はモニタリングと同様に主に直接閲覧により行われます。しかし、モニタリングとは視点が異なり、モニターの実施した業務が適切であったか否かを医療機関に保存されている資料をもとに確認するものです。監査は、実施された「治験の品質保証(Quality Assurance:QA)」の一環です。
 
当院の平成13年1月〜12月に行われた監査は10件です。
 
発行:国立大阪病院 治験管理センター
作成:堀川 裕子
 


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