センタ−ニュ−ス
 
   
第12号
平成15年7月7日
  治験管理センターニュース第12号
 
「なになに治験・・・」では、7月30日から施行となる改正GCPを特集しています。今や臨床試験に関わる者は、GCPの基本原則を理解せずに実施することはできません。これを機に、GCPを読み返して頂きたいと思います。
 
―治験を支えるスタッフ紹介―
 
治験に思うこと
前看護部長 小山洋子
医学が進むことにより、新しい診断いわゆる疾患の細分化とともに新しい治療方法の一つとして新薬の開発がなされているが、一般の医療現場にはなかなか日常的には登場してこない。私たち看護職が一般に看護業務の中で治験として出会うのは、ほとんどないのが一般の病院であると思う。しかし、新薬の開発は、医療の向上に欠くことのできないものであり、国立病院、中でも基幹病院で勤務していると、臨床試験(治験)は日常の看護業務の中に自然と位置しているのが現状である。国立病院が果たすべき先駆的な政策医療の一分野として治験を位置づけられていること、治験の必要性を看護部門に周知したりする義務が存在することを看護管理者として認識している。
先の施設で沢山の治験を取り扱っているが、臨床現場にはリサーチできる看護師いわゆる治験ナースは定数がなく、その必要性を強く感じていた。
治験という医療現象は、チーム医療を代表する医療の一つであると認識して、私が治験ナースに期待し、治験ナースに望むことを述べる。チーム医療を進めていくには、職種の特性を活かした力を発揮するとともに、職種間の垣根を越えたコーディネータの役割が発揮出来ること。更に、そのためには看護(職種)の概念がぐらつかないことと、薬に対する理解と、その結果として生体に現れる現象を見極められる観察力が必要であると考えていた。すなわち、看護職であることの意義がここに有ると考えている。当院に赴任して当国立大阪病院で治験ナースと出会い、治験コーディネータとして活躍している看護職が私の考えていたとおりの考えで生き生きと活躍している姿を目の当たりにして、本当に頼もしく嬉しく思った。このような看護職で有れば、不安を沢山もって治験に参加されている患者様も安心して協力戴けるのではないかと思っている。一方で看護管理者に求められている治験審査会(IRB)への参加があるが、私自身は倫理面を意識して2つの視点で参加している。治験が医療の中で一人の医療人として納得出来るのかの視点と、市民の目で患者様サイドからの代弁者としての視点で出席し発言をしている。
これから、益々治験の役割は国立病院に期待されると思うが、看護職も医療人のひとりとして、患者様に安心して治験に参加していただけ医学等の発展に寄与するという認識を高めていきたい。
 
当院のCRCは、看護師、薬剤師の2職種です。それぞれの職能が生かされるよう、協力しているところですが、CRCには患者さまに治験を正しく伝えることや信頼のおけるデータを残すこと、様々な部署とのコーディネート等の職種を超えた役割があると感じています。看護部長には、IRBでとても理解しやすい大事な質問を投げかけて頂いていました。また、CRC養成研修生の方々は、看護部長のお話を聞いて感銘を受けられ、患者に向かう基本姿勢を習得されているように感じています。治験を大きな力で支えて頂き、ありがとうございました。これからも益々のご活躍をお祈り申し上げます。
 
プロトコルの読み方(除外基準)
−これはどういう意味でしょう?−
治験においてプロトコルの読みとり方は難しく、事前に依頼者と十分協議して統一見解で臨まなければ、うっかり違反を起こしかねないことがあります。除外基準を例として考えてみましょう。さて、次の基準はどう読みとりますか?
<除外基準>
@ コントロール困難な糖尿病患者
依頼者の見解:特に基準はなく、担当医師の判断による。標準的な治療法においても病態のコントロールが困難な患者を想定。
A 消化性潰瘍により治療を受けている患者または消化性潰瘍を疑わせる自他覚症状を有している患者
依頼者の見解:例えば、ガスター40mg服用中は胃潰瘍適用量のため、理由を問わずエントリー不可。20mg服用中は、胃潰瘍以外の適用とし、エントリー可能。
B 消化性潰瘍のある患者
依頼者の見解:ガスター等の消化性潰瘍の適用を持つ薬剤の服用があっても、治験担当医師の判断が消化性潰瘍を否定していれば、エントリー可能。
C 慢性肺疾患の患者又はその既往歴のある患者
依頼者の見解:間質性肺炎は、慢性肺疾患に該当し除外。小児期の喘息様気管支炎で完治患者は、エントリー可。但し、いつ治癒したかの記録が必要。気管支喘息は慢性肺疾患に該当すると考える。
除外基準を読んで、依頼者の見解が読みとれましたか?治験毎の目的や治験薬の特徴にあわせて設定している除外基準の意図を十分理解して、患者をリクルートする必要があります。しかし、いくら確認していても、実際の患者さまに直面すると、判断が困難なケースも多々あります。プロトコルには、文章に表現しきれないことがたくさんあるようです。多くの目でじっくりプロトコルを読んで、逸脱防止に心がけたいと思います。
 
−治験に関する研修会等のご案内−
第15年度第1回「新GCPのもとでの治験推進研修会」(初級者編)(主催:財団法人医療研修推進財団、治験推進協議会)が、事務職員向け8/1(金),医師向け8/2(土)に、当院 緊急災害医療棟3階 講堂にて開催されます。詳細は、すでにonhmlにて案内しています。参加申し込みは治験管理センターへ7/11までとなっています。
 
第6回 治験の国際化シンポジウムが、9/13(土)に文京シビックホール(東京)にて開催されます。
<トピックス>
1. 「Current clinical trials in Asian Countries」
2. 「Investigator initiated clinical trial」
3. 「Site Management Organization in Japan」
詳しくは下記ホームページをご覧ください。
ホームページアドレス http://www.mtz.co.jp/chiken
 
 
 
改正GCPの内容
治験依頼者による治験の準備及び管理に関する基準に加えて、自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準及び自ら治験を実施する者による治験の管理に関する基準が明確に設けられた。
<新たなことばの定義>
自ら治験を実施しようとする者: その所属する実施医療機関において自らが治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出ようとするものであり、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師をいうものである。
自ら治験を実施する者: その所属する実施医療機関において自らが治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出た治験責任医師をいうものである。
治験薬提供者: 自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供するもの
 
<自ら治験を実施しようとする者,自ら治験を実施する者による臨床試験の実施の基本原則>
@ 改正前GCPの内容が網羅されたものとし、国際的な標準であるICH-GCPとの整合性に配慮する。
A 改正前GCPにおける治験依頼者の責務に関して、「自ら治験を実施しようとする者」又は「自ら治験を実施する者」が「治験依頼者」と同等の責務を負うものとすること。
 
<医師主導の治験の実施に関する改正GCPと改正前GCPの相違点>
@ 治験依頼者に特有な条項は適応外とした。
A 医療機関の長が治験実施を承認する旨の規定を追加した。 
B モニタリング・監査の実施について、医療機関の長、治験審査委員会のチェックを行う旨の規定を追加した。
C 治験施設支援機関(SMO)に係る規定を追加した。(治験依頼者による治験にも適用)
D 被験者のプライバシーと秘密の保全に関する規定を追加した。(治験依頼者による治験にも適用)
 
<医師主導の治験の実施に関する改正GCPの改正前GCPへの追加・修正点>
@ モニタリング・監査の定義を明確にした。
A モニタリングに関する手順書並びに監査に関する計画書及び業務に関する手順書を実施医療機関の長への提出文書に加えた。
B 契約者として実施医療機関を規定した。
C 副作用情報について、多施設共同治験の場合に他の医療機関の治験責任医師への情報の通知を行う旨の規定を加えた。
D モニタリング・監査の実施に当たり、治験審査委員会の意見を踏まえる旨の規定を加えた。
E モニター・監査担当者になるべきでないものを明確にした。
F モニタリング報告書,監査報告書及び監査証明書の提出先に実施医療機関の長を加えた。
G 実施医療機関の長はモニタリング報告書・監査報告書を受け取ったときに、治験審査委員会の意見を聴かなければならない旨の規定を追加した。
 
発行:国立病院 大阪医療センター 治験管理センター
作成:堀川 裕子
 


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