センタ−ニュ−ス
 
   
第13号
平成15年10月16日
  治験管理センターニュース第13号
 
秋風がそよぐさわやかな季節になりました。13号では、小児における治験を取り上げました。小児対象の治験では、成人に対する治験と違った知識・技術の習得も求められます。
 
―治験を支えるスタッフ紹介―
 
治験審査委員会委員として
医事課長 奥田 敏博
 「治験」という言葉をご存知の方はどれくらいおられるのでしょう。おそらく、健康で病院にかかったことのないという方のほとんどはご存じないのではないでしょうか。
 たとえば新薬の開発では、薬効の期待できる物質の発見、非臨床試験、臨床試験(その中で厚生労働省が認めた臨床試験を治験といいます。)を経て集められたデータに基づき厚生労働省が厳しく審査を行い、その物質の効能、安全性が医学的に認められて初めて薬として使用することができるわけです。実にこの間に10年以上の年月を要し、そのデータ収集は「治験」というたくさんの人達の協力の上に成り立っています。
 このように「治験」とは、より効果があり、副作用の少ない薬を開発するための重要なプロセスです。
 欧米など先進諸外国では、「治験=創薬ボランティア」という認識が定着しつつありますが、治験についての認識の違いからか日本での治験は先進諸外国と比べて遅れていると言われています。
 世界各国で最近開発された新薬を100とした場合、先進諸外国では80〜95の薬が既に多くの人たちに使用されているのに対して、日本では15〜20程度と言われています。治験の停滞は、新しい医薬品の開発に支障を来し、将来的に日本の医療の衰退に繋がるのではないかと危惧する声もあります。
 このような状況から、行政においても、薬事法の改正や治験に協力していただく方の人権や安全が厳格に守られ、また、医薬品の開発が科学的に行われ、開発中の医薬品の情報が正確に収集されるように国際的に認められた厳格なルール(GCP:Good Clinical Practice、日本語では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」といいます。)の見直しを逐次行い、治験審査委員会(IRB)の設置、専門の設備やスタッフの整備、製薬会社や、治験を行う病院、担当医師の責任・役割の明確化、協力いただく方へのインフォームド・コンセント(説明と同意)を厳しく定めることにより、治験に協力していただく方の人権を最大限に尊重し、安全について十分な配慮がなされることを前提として、有効性が高くかつ安全な新しい薬が開発できる環境の整備が行われて来ました。
 私自身は、医事課長(事務官)という職制から現在、当院の治験審査委員会(IRB)に、専門外委員として出席しておりますが、ひとつは、行政官として、行われようとしている治験が、これらのルールに厳格に則ったものとなっているかどうか、また、直接医療に携わる職種でないという点では、治験に協力いただく方に近い視点から、特にインフォームド・コンセントに着目し、当該治験に関し、医療従事者側は、協力者を良く理解し、協力者の立場に立って、協力者の知る権権利を尊重し、協力者に分かりやすく説明できているかどうか、協力者側は、当該治験をよく理解することができ、納得した上で同意を得られるものとなっているかどうかということを中心に審査を行っています。
 「治験」が我が国において広く認識されるためには、治験を実施し、管理する体制を充実、発展させ、治験の必要性、また、安全性を国民に認知してもらうことが必要と考えられることから、私自身のその責務の大きさを改めて実感しているところです。
 
治験の現状を分かりやすく解説していただき、ありがとうございました。また、IRBで最も審査すべき被験者の倫理性について念頭に置き、審査していただけていることに感謝致します。医事課には、日頃より被験者の費用算定、診療録の管理など深く治験に関わって頂いています。これからも医事課からのご支援と、IRBでの活発なご意見がいただけますよう、お願い致します。
 
ニューフェイス紹介
 H15年8月より、非常勤看護師CRC1名が加わりました。ご指導の程、よろしくお願いします。
8月からCRCとして勤務&修行をしております羽田かおるです。私は平成9年度までこの国立病院 大阪医療センター(当時は国立大阪病院)で働いておりましたので『はじめまして』と『お久しぶりです』の二つでご挨拶させていただきます。平成10年度から5年間看護学校で勤務し、3月末で退職後、縁あってこちらに戻って参りました。治験というのは私にとってはまったく初めての分野なのですが、多くの患者様が治験にご参加くださっていることを知り、やりがいを感じています。治験にご参加くださる患者様や病院スタッフ、依頼者の方々とのチームワークを大切に、治験にご参加くださる患者様に安全と安心が提供できるようがんばります。どうぞよろしくお願いいたします。
現在、CRCは薬剤師3名、看護師2名で治験や臨床研究に取り組んでいます。CRCって?データマネージャーって?私もやってみたい!治験に興味がある!というような方は、一度治験管理センターに来てみてください。新たな道が開けるかもしれません。
 
お知らせ
治験管理センター事務員の西田佳奈子さんが、ご結婚され浜先佳奈子さんに変わりました。また、看護師CRCの豊田俊江さんは、9/5付けて退職しています。在職中はお世話になりました。
 
「平成15年度治験コーディネーター養成研修」
 主催:医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構
 主催:(財)日本薬剤師研修センター
この研修は、平成10年度より開催されており、講義と実務研修で構成されています。当院は、H12年度より実務研修実施施設となっており、今年度も、下記期間に外部から6名の実務研修を受け入れます。また、当院からは、薬剤科・看護部から各1名参加しています。この研修に、治験管理センターのCRC2名も、講義のみ受講しました。
【研修期間・研修人数】
H15.11.10〜H15.11.28
H15.12. 8〜H15.12.26
H16. 1.13〜H15. 1.30
} 各2名
院内各所で研修させて頂きますので、ご理解、ご協力の程お願い致します。
 
トピックス
11月にGCP実地調査が実施されます。調査対象治験は、小児科・多和先生が責任医師としてH13.4.1〜H14.3.31に実施された、「BK-MRの健康小児における検証的臨床試験」(第V相)です。
 
「臨床研究に関する倫理指針」
厚生労働省告示255号 平成15年7月30日施行
1.目的
医学系研究の推進を図る上での臨床研究の重要性を踏まえつつ、個人の尊厳、人権の尊重その他の倫理的観点及び科学的観点から臨床研究に携わるすべての関係者が遵守すべき事項を定めることにより、社会の理解と協力を得て、臨床研究の適正な推進が図られること。
2.適用範囲
医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって、人を対象とするもの(個人を特定できる人由来の材料及びデータに関する研究を含む)。
*「疫学研究に関する倫理指針」との区別が必要です。
 
研究責任者のみなさまへ
IRB事務局からのお願い
自主研究申請締切日を厳守してください。
研究開始月の2ヶ月前の第3金曜日が、申請締切日です。
 
 
同意取得−小児科−
GCPには、同意の能力を欠く等により被験者の同意を得ることは困難であるが、治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合、例えば未成年者や重度の痴呆を対象とする場合には、被験者の代諾者に治験の内容等を記載した説明文書を用いて十分説明し、治験の参加について同意を得るものとしています。この場合、同意に関する記録とともに代諾者と被験者の関係を記録に残し、この場合においても被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者となるべきものからも同意文書への記名捺印又は署名と日付の記入を得ることとなっています。「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス」では、小児の被験者から法的に定められた同意を得ることができないため、両親もしくは法的保護者が臨床試験参加の責任を負うことを前提にし、適切であればアセントを取得すべきであるとされています。
 
−インフォームドアセント−
小児対象の臨床試験では、成人以上に倫理的な配慮を行う必要があります。 代諾者からインフォームドコンセントを取ることに加えて、小児被験者からも「法的規制を受けない同意」であるアセントを取らないといけないことが、ICH E-11には明記されています。
*「法的規制を受けない同意」の注意書きは、ICH E-11の英文にはなく、日本のガイダンスにおいて付加されました。
アセントとは・・・
こどもからの臨床試験に参加することへのaffirmative agreement(了解)で、代諾者への説明と内容的には異なり、こどもの年齢相応に漫画や絵等も用いてできるだけわかりやすく、臨床試験について理解できる範囲で説明し、了解を得るというものです。アセント取得年齢の目安が公表されています。
 
 
発行:国立病院 大阪医療センター 治験管理センター
作成:堀川 裕子
 


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