センタ−ニュ−ス
治験管理ニュース 第16号
治験管理センターニュース第15号

いよいよ夏本番です。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
今回のセンターニュースは粟井事務部長の寄稿、受託研究の6月30日現在での補正実施率、治験参加中の医療費と特定療養費について掲載しています。
治験への関心をさらに高めていただければと思っています!!


大阪医療センターの治験への取り組み
事務部長 粟井 一博
 治験等の臨床試験は、新しい医薬品の開発により医療の進歩に貢献するだけでなく、医学、薬学の研究そのものの発展にも寄与するものです。このように重要な意義を有する臨床試験は、厳格な基準に基づいて行われるべきものであり、そのような考え方に基づいて、臨床試験の実施の基準(Good Clinical Practice。以下、「GCP」という。)が厚生省令として平成9年に制定され、国立病院においても、政策医療の4本柱のうちの臨床研究の中に治験を位置づけてその推進に取り組んできました。
 本年4月から当院を含め国立病院は独立行政法人に移行となりましたが、国立病院の使命としての政策医療をさらに推進するためには、治験の一層の質的向上を図るとともに、全国的レベルでより組織的、体系的に進めていく必要があります。そのためには、治験の質の確保と向上はもとより、迅速な実施等の観点から、契約の方法、経費の算定、実施体制等についての具体的な問題点についても取り組み、国立病院の持つ政策医療ネットワークを活用した大規模な組織による治験の円滑な実施や治験の質の更なる向上を目指しています。
 また、治験や市販後臨床試験といった医薬品の製造(輸入販売)承認申請、再審査及び再評価の申請に係る臨床試験の他に、患者様のための最善の治療法及び標準的治療法を確立するために、公的な研究費等によって行われる臨床試験も数多く取り組んでいます。これは「証拠に基づく医療(EBM:Evidence Based Medicine)」を実施するために必要な質の高い臨床データを得るための重要な臨床研究であり、今後の健康科学や臨床医学の進歩に貢献するのみならず、医療の進歩に不可欠なものです。
 このように国立病院は、治験の一実施機関という立場ではなく、国内で行われる治験をリードし、一層、治験を推進していくうえで大きな役割を担っています。
 もとより、治験は、依頼者である製薬会社、実施者である医療機関及び被験者である患者様の共同作業で成り立っています。当大阪医療センターとしても、多くの被験者の皆様の理解を得ながら、我が国の治験の中心的機関として治験の推進に貢献していくことが期待されています。

 平成16年度となり3ヶ月が経過しました。6月30日現在の受託研究補正実施率は以下の通りです。
今後も、確実でスピーディーな治験の実施を目指しましょう。

研究課題数 実施症例数 実施率
T相 0件 0件 0%
U相 6件 21件 76.0%
V相 15件 74件 81.5%
市販後臨床試験 9件 138件 99.0%
機器治験 1件 14件 98.4%

実施率とは、受託研究の契約症例数に対する実施症例数の割合をいいますが、当院では契約症例数から期間当りの実施すべき症例数(目標症例数)を算出し、これに対する実施症例の割合を計算しています。これを補正実施率とし、近畿ブロックの治験管理室を有する7施設で共通して使用しています。この補正実施率は期間を区切って実施率を求める際に、開始直後の研究の実施率が低くでてしまうことなどを防ぎ、妥当な評価を行う指標となります。

例えばある治験課題が平成16年4月から平成18年3月までの2年間で8症例契約で、平成17年3月末までの1年間が症例登録期間とします。登録期間の1年間に8人の患者様に治験に参加していただき、登録できると100%の補正実施率ということになります。4〜6月の3ヶ月間だと1年の1/4の期間ですので、目標症例数は8人の1/4の2人になります。2人の患者様に治験にご参加いただけると6月末での補正実施率は100%になります。もちろん目標以上の患者様にご参加いただいても構いません。治験のスピードが上がることになり、余裕をもって進めることができます。

この補正実施率は、研究実施状況の把握や比較、受託研究経費の出来高払い等に活用しています。

治験に参加した場合の医療費はとても気になるところです。ここでは治験参加中の費用のしくみがどうなっているのかをみていきましょう。
 治験に用いられる薬の候補物質は治験薬と呼ばれています。この治験薬は治験依頼者(治験薬を開発している製薬会社等)から提供されますので、患者様の負担はありません。
 治験薬の投与期間中に実施される検査、X線などの画像診断、治験薬と同様の効果のある薬など一部の薬や注射の費用は治験依頼者が支払うので、患者様負担はありません。診察料や入院費、その他の薬などは通常の健康保険を使った診療となりますので、患者様の負担があります。

このように、治験参加中の費用は、健康保険を使うものと製薬会社等の治験依頼者が支払うものがあります。この費用区分は特定療養費制度によって可能となっています。
 公的医療保険制度では、保険を使って提供する医療サービスの内容が決められています。財政的な理由と安全性が確認されていない治療法が安易に行われることを防ぐためです。原則として薬や手術等診療の一部でも保険外のものを使うと全てが保険外となり、全額が患者様負担となります。これは保険診療と保険外診療を組み合わせる混合診療が禁じられているからです。しかし先駆的な医療やより快適な療養環境などを望む患者様の声に対応するため、定まったものについては公的医療保険と自費を併用するのが特定療養費制度です。治験は安全性がまだ確認されていない未承認薬を使うので、保険適用ではありませんが、この特定療養費制度のおかげで健康保険が使えます。

 特定療養費の対象は「高度先進医療」と「選定療養」があり、治験は「選定療養」になります。「選定療養」は患者様の選択と負担にゆだねてもよい特別な医療サービスが該当します。特別なサービスの部分は患者の全額自己負担となりますが、それ以外の入院費や診察、検査などは特定療養費として健康保険が使えます。例えば歯科で保険の使えない材料を使って治療し治療費は高かったが、診察料や薬は保険が使えたというケースです。治験では、公的医療保険と治験依頼者の適切な費用分担を図ることも趣旨となっており、Q2のように治験薬投与期間中の検査や画像診断、一部の薬や注射は治験依頼者が支払うということになっています。


◎『第7回治験の国際化シンポジウム』開催のお知らせ
月日:平成16年9月4日 AM9:25〜PM5:30(予定)
場所:パシフィコ横浜
テーマ:
「治験、残された課題―医師、CRCの治験へのやる気とは?」
お問い合わせは楠岡副院長室、またはホームページをご覧下さい!
ホームページアドレス;http://mtz.co.jp/chiken


 
発行:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
    治験管理センター



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