センタ−ニュ−ス
治験管理ニュース 第18号
平成17年1月21日

治験等の受託研究と医療人
副院長 内藤 正子
 全国一のチェーン店を誇る国立病院機構は、ネットワークを活用して治験等の受託研究を積極的に推進し、国民へ貢献することを方針としている。そんな中、国立病院機構においてトップクラスの治験の実績を持つ当院においては17年度、更に、更にリーダーとして大きな期待を寄せられている。
  今から7,8年前、看護部長として当院に在籍していたある日、前井上院長先生との雑談のひと時「アメリカのリサーチナース」の話を投げかけられた。院長先生から新しい言葉が発せられる時は既に院長の脳裏には数段進んだ構想が描かれているのが常であった。そこで、直ちに文献探索を開始、師長会の夏期研修において、まず師長が治験について理解し共通の認識を持つことが重要と考え、「治験と看護の役割」に関するテーマで是恒先生(当時はまだ、まだ若かった)に講義をして戴いた。
  そしてその後間もなく森下看護師(現在CRC)らが全国の国立病院で最初に「CRCの研修」を受講し、楠岡副院長(当時は臨床研究部長)が当院へ赴任されると「治験管理センター」設立に向けて院内ワーキンググループが立ち上がり体制造りが着々と進められ開設の運びとなった。今年で開設6年と聞く。開設当時在籍した者として改めて当時を思い起こすと共にこの6年間の発展をお祝いし関係各位に敬意を表したい。
  こうした歩みの中で当院の治験は患者、製薬業者、医療人等から厚い信頼を受け、高い実績を築かれてきている。これは、関係職員の医療人としての倫理観をベースにした新薬開発への情熱と使命感そして誠実な努力、その上に適切に構築されたシステムによる成果と考える。新薬の開発は患者・医療人相互にとっての“夢”である。夢や希望、期待の実現には、患者の痛み、苦悩、不安、悲嘆が付随している。それだけにそれら患者の背負う荷物を一緒に背負って歩む力と姿勢が関わる医療人に必要であり、更には治験を正しく進めるための倫理性、科学性が必至と考える。
  国民の期待に貢献できる質の高い治験実施に向けて、国立病院機構だからこそできるネットワークを活用した治験管理システムを構築し、関わる医療人の育成に力を注ぐ時期は今であると考える。そのリーダーシップを発揮できる知力と技術力、体力を持ち合わせるのは当院の治験管理センターであると自負していると共に、外部からの期待も多大である。最後に、新薬開発のためのデータ−集積に、個人情報を提供してくださる患者の存在に常に感謝しつつ遂行できる医療人でありたい。

12月31日現在の受託研究補正実施率*は以下の通りです。10月1日〜12月31日の期間で新しく契約した受託研究や、ご協力くださる患者様の人数が増えた研究ありといった状況です。参考にご覧ください。

12月31日付
研究課題数
12月31日付
実施症例数
12月31日付
補正実施率
T相 0件 0例 0%
U相 9件 24例 66.0%
V相 17件 79例 83.4%
市販後臨床試験 12件 141例 95.7%
機器治験 1件 14例 93.3%
*詳しくは治験管理セン ターニュース16号(H16.8.6発行)をご覧下さい。



「独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究取扱手順書」を2005年1月1日改正しました。改正に伴い、自主研究(臨床研究)様式を変更しています。2005年1月以降の申請分は新しい様式で申請してください。2005年1月改訂版様式はフロッピーディスクを用意していますので治験管理センターまでお越しください。

 治験を実施するためには、治験審査委員会で審議され、承認をうけることが必要です。治験審査委員会は倫理的、科学的妥当性の観点から審査を行い、すべての被験者の人権、安全及び福祉を保護する責務があります。今回はこの治験審査委員会についてとりあげました。

 GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)では治験審査を行う治験審査委員会の設置と審議を義務付けています。この治験審査委員会のことを海外ではIRB(Institutional Review Board)と呼んでいます。 治験審査委員会は、治験の目的、方法などが科学的に適正でありかつ、被験者の立場にたっても、その治験の実施が妥当かどうかを判断します。
さらに、治験を実施する責任医師の的確性の判断や、治験が開始された後、実施計画書どおり適正に実施され、被験者の安全が確保されているかなどを評価する役割もあります。 この委員会の構成メンバーは5名以上で、医学の専門家や医療機関の職員のみで判断されないよう、医学、薬学、歯学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者が加えられていること、治験実施医療機関と利害関係を有しないものが加えられていること、という二つの条件を満たすことが求められています。


当院では、治験審査委員会の役割は、受託研究審査委員会が担っています。
受託研究審査委員会は毎月2回開催しています。
第一委員会
開 催 日:第3木曜日
審議対象:治験等の受託研究

第二委員会
開 催 日:第1火曜日
審議対象:受託研究以外
 受託研究審査委員会は医師、薬剤師、看護師、事務職員や院外から一般の立場を代表する方々で構成されています。どちらの委員会でも、それぞれの立場から活発な意見が出され、白熱した議論が展開されています。審議された研究は、承認を得られるか、委員会の意見を取り入れ修正することを条件に承認されるか、または却下という結果になります。研究を計画する側も真剣、審議する側も真剣、このようにして被験者として研究に参加する患者様を守りながら、新しい知見を得る活動が行われています。
受託研究というのは依頼者(製薬企業等)からの依頼を受けて、病院として行う研究のことで、受託研究以外というのは、例えば学会や研究会が主催している研究に当院の医師が参加して行う研究や医師自らが企画・主導して行う研究等のことです。 臨床研究を実施する場合、研究の倫理的、科学的妥当性を確保するために倫理審査委員会の意見を聴くことが「疫学研究に関する倫理指針」「臨床研究に関する倫理指針」等で求められています。 受託研究審査委員会はこのような倫理審査委員会の役割も一部担っています。

治験等の医学研究を行うにあたっては1964年世界医師会総会で採択されたヘルシンキ宣言(ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則)を遵守することが求められています。

ヘルシンキ宣言では医学研究を実施するにあたり、科学的・倫理的に適正な研究実施計画書を作成すること、研究実施者等から独立した委員会で承認されること、被験者から文書同意を取得すること等の条件を必要としています。IRBはこの“独立した委員会”の役割を果たしています。

まだまだ、厳しい寒さが続きますが、お身体を大切にお過ごしください。次号でお会いいたしましょう。

 
発行:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
    治験管理センター



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