センタ−ニュ−ス

治験管理ニュース 第19号
平成17年6月15日
 あじさいの花がきれいに咲く季節となりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
 今年度第一号の発行となりました。今回は繻エ副薬剤科長の寄稿、未承認薬使用による治験への影響の特集などを掲載しています。また、皆さまに興味を持っていただけるように内容の充実を図り、ページ数もアップしてみました。今後も治験管理センターニュースをご愛読下さい。

新しい情報提供システムが求められる時代
薬剤科 副薬剤科長 繻エ 健
  平成17年4月1日付で当センターに赴任して参りました。二度目のご奉公です。同時に受託研究審査委員会(第二委員会)副委員長を拝命し、主に自主研究の審査にあたっています。臨床研究に関する倫理指針(平成15年厚生労働省告示第255号)によると、臨床研究とは「医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって、人を対象とするもの(個人を特定できる人由来の材料及びデータに関する研究を含む。)をいう。」とされています。研究には患者さんの参加が不可欠です。特に、平成17年4月1日以降は、いわゆる個人情報保護関連三法に配慮した取り扱いが求められることから、研究の審査で私は、患者さんのプライバシー保護、権利の保障に主眼を置くこととしています。
  臨床試験実施計画書や患者さんへの説明文書を読んでいると、患者さんへの情報提供の難しさを感じます。その原因の一つは、臨床研究を研究ではなく、新しい治療法の一つとして、とらえていることにあるのではないかと思います。
  基本的に情報は平等であるべきです。医療に携わるものと患者さんは、同じ質の情報を共有すべきです。医療側だけが情報を持ち、患者さんには都合のよい情報だけを伝えればいいというものではありません。研究者に求められるのは、現在明らかにされていないことも含め、事実に基づき、客観的な情報を正確に伝えることだと思います。患者さんに求められるのは、その事実を理解することと、理解した後に発生する自己責任を確認することではないかと思います。プライバシーが保護されると、結果的に患者さん自身の責任も増えます。医療を受ける側の患者さんは弱い立場にあります。研究者は情報をわかりやすく伝えるための努力が必要です。
  現在、様々な自主研究が行われるようになりました。特にがん治療は薬剤の新しい組み合わせ方法の開発や新薬の早期導入が進み、これまでとは異なるスピードで、新しい治療法が用いられています。この流れに危険を感じているのは私だけではないと思います。患者さんが自分の力で情報を得るということも必要ですが、医療側からも、最新の情報を迅速に、わかりやすく患者さんに伝え、自己決定と自己責任を支援することの出来るような情報提供システムを、考える時代に来ているのではないでしょうか。

特集「未承認薬使用による治験への影響」・・・・・・・・・・・・・ 2ページ
「臨床研究(自主研究)申請について」・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3ページ
第3回治験担当医師のためのセミナー」のご案内・・・・・・ 4ページ

 製造・輸入による新薬は、品目ごとに品質、有効性、安全性の審査を受け、厚生労働大臣の承認を得ることが薬事法で規定されています。現在、抗がん剤などで海外で既に標準治療として使用されている薬剤が、日本では未承認薬のため、使用できない薬剤が多くあります。日本で未承認薬を使用するには、全額自費で治療を受けざるを得ない状況があります。そのため、患者団体からは、早急に未承認薬を使用できるようにと要望があります。昨年12月に厚生労働省は「未承認薬使用問題検討会議」で新たな制度を作り、海外で有効性が認められている未承認薬について製薬会社に治験を促すことにしました。そうすることで、特定療養費制度の活用ができ患者様の負担を軽減し、患者様が安全に未承認薬を使用することができるようになりました。

なぜ、治験で行うの?
 それは、治験では特定療養費制度が活用できるためです。しかし、企業が承認申請のために行う通常の治験だけでは、対象者が限られます。
そこで、新しい治験の形態として「追加的治験」「安全性確認試験」を設置しました。
  

追加試験
とは通常の治験がスタートした後の患者を対象とするもので、検討会議ではまず製薬会社に実施を求め、対応不可なら医師主導治験で行います。
安全性確認試験は、治験終了から承認までの間、治験薬が使用できないことに対して、行うもので通常の治験における「長期投与試験」や「継続試験」に相当します。
こうして、患者様の負担を軽減し、未承認薬を安全に使用できるように、より多くの患者様を「治験」の枠組みで対応しようとしています。
しかし、問題として
追加試験や、安全性確認試験を行うには、資金や人手が必要です。企業や医師が追加的治験を行うためのインセンティブが必要であり、未承認薬問題の解決は困難な状況であります。
(Nikkei Medical 2005.5 P29)

臨床研究(自主研究)申請について
 『実施計画書・説明文書に記載すべき項目』のチェックリストを作成しました。
 平成17年6月1日付「大阪医療センター医学倫理規程」改訂に伴い、自主研究申請課題について、「研究計画書に記載すべき内容(別表1)・説明文書に記載すべき内容(別表2)」のチェックリストを作成しました。このチェックリストに挙げられている項目が網羅されていない場合には、IRB審査にて指摘される可能性があります。
 申請時には研究責任者により記載必要項目が漏れていないか確認の上、ご提出お願いします。
 なお、フロッピーディスクにて「申請様式」を準備していますので、平成17年6月1日以降の申請の方は治験管理センターまで来て下さい。
IRB第2委員会開催日・申請締切のご案内
IRB第2委員会 申請締切日
平成17年 6月28日(火) 平成17年 5月26日(水)
平成17年 7月26日(火) 平成17年 6月29日(水)
平成17年 8月23日(火) 平成17年 7月27日(水)
平成17年 9月27日(火) 平成17年 8月24日(水)
平成17年10月25日(火) 平成17年 9月28日(水)
平成17年11月22日(火) 平成17年10月26日(水)
平成17年12月27日(火) 平成17年11月23日(水)

上欄以外の変則申請(申請遅延等)は受けつけておりません。
 説明同意文書の記載に関する注意事項について
IRBにて説明同意文書の指摘が多い事項についご紹介します。自主研究申請の際には参考にしてください。
  ★説明文書に関する注意事項   ★同意書に関する注意事項
  • 審査委員会の名称(「治験審査委員会」、「倫理委員会」など)については「倫理委員会に相当する受託研究審査委員会」とすること。
  • 当院の責任者の連絡先を記載すること。
  • 宛名は「国立病院機構大阪医療センター院長殿」とすること。
  • 患者の住所や電話番号は同意書には不要。
  • 同意説明医師の署名欄も設けること。
今回第一号ということで、治験管理センターの昨年の実績と活動をまとめてみました。
<平成16年度実施率(H17.3.31付)>
平成16年度の受託研究実施率は以下の通りでした。
<平成16年度年間業務量>

研究課題数 実施症例数 補正実施率
T相 0件 0例 0%
U相 11件 33例 65.3%
V相 17件 95例 83.3%
市販後臨床試験 13件 149例 94.7%
機器治験 1件 14例 93.3%
合計 42件 291例 86.4%
対応被験者総数 767名 CRCヒアリング 11件
インフォームド・
コンセント
77件 スタートアップ
ミーティング
16件
被験者の相談
(電話等)
105件 モニタリング 175件
有害事象の対応 35件 監査 3件
他部門の対応 39件 治験薬搬入・回収 49件
事務局ヒアリング 33件 薬局説明会 7件



  治験管理センターでは、当院でのより円滑で質の高い治験の推進を実施する目的で、平成13年に引き続き、責任医師・分担医師及び治験に関連する部門のスタッフの方を対象に、セミナーを開催しています。すでに第2回までが終了し,述べ85人の参加がありました。治験に関わるうえで必要な基本的内容の他、実際に治験責任医師として治験を実施されている先生方に毎回講義をお願いしています。「治験」に興味のある方は、一度参加してください。きっと治験についてもっと知りたくなるはずです。
  第3回は下記の日程、内容で行う予定です。多数の参加をお待ちしています。

治験責任医師・分担医師を行うには
 セミナーの受講が必要です。平成16
 年度近畿ブロック医療技術研修「治験
 研修会」以降セミナーの受講をしてい
 ない先生は、第3回開催予定のセミ
 ナーを受講してください。
IRBに提出する履歴書にセミナー受
 講番号の記載が必要です。
 

発行:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
    治験管理センター


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