センタ−ニュ−ス

治験管理ニュース 第20号
平成17年10月18日
 
   紅葉がきれいな季節となりました。皆さま秋を満喫しておられますか?
 今回のセンターニュースは、真能医療技術部長兼臨床検査部長の寄稿「臨床検査診断部(臨床検査科)での治験への取り組み」、特集は「治験の補償について」、3ページには「臨床研究における個人情報の取り扱いについて」を掲載しています。どうぞご覧下さい。
 
 

臨床検査診断部(臨床検査科)での治験への取り組み
医療技術部長兼臨床検査診断部長 真能正幸
  平成15年4月に当院に臨床検査科長として赴任してきてから2年半がたちました。その間に病院は国立大阪病院から国立病院大阪医療センターに名称が変わり、平成16年4月からは独立行政法人国立病院機構大阪医療センターとなり、医療の質の向上と効率的な運営を目指す病院へと大きく変化してきています。私の方も、臨床検査科長から、臨床検査診断部長そして医療技術部長兼臨床検査診断部長と肩書きは変わり、かかわる業務も少しずつ変化してきていますし、治験に関しても分担医師として関わっている件数も増加してきています。
  ご存知のとおり、国立病院機構の取り組みの一つとして臨床研究の推進が挙げられておりその中に国立病院機構のネットワークを活用した迅速で質の高い治験の推進が一つの使命ともなっています。臨床検査科ではこれまでも治験業務に協力してきましたが、その業務は主として採血や検体処理でどちらかというと実務者が個人的に協力してきており、科としてどのような治験にどれ位協力していたかの把握が不十分であったと思います。また、最近では協力依頼内容も心エコー、心電図、神経伝達速度測定、病理標本作製と多岐にわたり実務を担当する技師も増加しています。さらに臨床検査診断部も設立されたこともあり治験等の臨床研究への協力体制を見直し、あらためて治験等の臨床研究に積極的に取り組むことを臨床検査診断部(検査科)の一つの命題としました。そのために、組織的には、受け入れ窓口を一本化し治験センターからの協力依頼は臨床検査診断部で受けることとし、内部的には積極的に治験にかかわるように個々の検査科職員の意識改革を図るようにしています。その取り組みの一つにスタートアップミーティングへの積極的参加があり、昨年度より実務担当部署の主任や技師のみならず可能な限り私自身や検査技師長も出席するようにしています。スタートアップミーティングは依頼者(製薬会社)、臨床医、CRCやその他の協力者が一堂に会し、治験の目的、実施手順等が提示されるため、協力する検査技師にとっては治験の目的や何のために検査がなされるのかが理解しやすく担当技師の意欲向上にもつながりますし、また、私や技師長にとっては、部(科)でどのような治験にどれ位協力しているかが把握できる利点もあります。時折、検査科職員が多く参加した際には怪訝な顔をされる場合もありますが、部(科)での治験協力への取り組みの表れとご理解いただければと思います。
  今年度は院内で実施された治験医師のためのセミナーへの参加を推奨し、多くの検査科職員が参加し治験に対する理解を深めてくれたのではと思っています。
  今後は、臨床検査技師の職能を生かしたCRCを希望する職員が現れてさらに部(科)として積極的に治験実施に取り組めればと思います。臨床検査診断部(臨床検査科)では当院の持つ質の高い治験にさらに貢献できますよう今後も部(科)をあげて努力していきたいと思います。

 
 新GCPでは治験の実施にあたり被験者から文書による同意を得ることになっていますが、この説明文書中に健康被害に関する事項を記載することが求められています。今回はこの治験における「健康被害の補償」についてみてみましょう。
補償責任の登場とその背景は?
1993年ジュネーブで行われたCIOMS(国際医科学評議会)はWHOと共同で「The International Ethical Guideline for Biomedical Research Involving Human Subjects」:「人を対象とする生命医学研究に関する国際倫理のガイドライン」を発表。第13条に補償に関する規定を置いています。
第13条
@治験に参加した結果、身体的被害を被った被験者は、一時的又は永続的な損傷、廃失につき公平に補償することとなる金銭的又は他の援助を受ける権利を有する。A死亡の場合、被験者の被扶養者は実質的な補償を受ける権利がある。B補償を受ける権利は放棄されない。
新GCPでは補償に関してどのような規定があるのでしょう?
新GCPでは治験の契約に際して、健康被害の補償に関する事項を記載することが規定されています。(第13条) 治験の実施にあたっては、実施医療機関の長へ提出する文書として説明文書を規定していますが、その説明文書中に健康被害に関する事項を記載することが求められています。また補償の概要等を記載した文書の提出も求めています。(第10条) 治験責任医師は被験者の同意を得る際、この補償についての説明文書を交付し、内容について説明することが規定されています。(第51条) 被験者に対する補償措置に関しては、治験依頼者は補償に関する手順を定め、その履行確保のために保険などの措置を講じておくことを求めています。(第14条) また、治験審査委員会の責務として説明文書、契約書中に記載された内容(補償)について倫理的、科学的に妥当であるか(=被験者の負担が適切に補償されるか)審議を行うことが求められています。(第32条)
健康被害とは?
治験薬剤投与の有無に限らず、治験に起因して生じた好ましくない事象(有害事象)のことをいいます。
「補償責任」と「賠償責任」の違いは?
補償責任とは「違法性を前提としない責任」で治験依頼者に過失がなくても、被験者の受けた被害を担保するという考え方で、治験との因果関係が認められて初めて責任が生じることになります。一方、賠償責任は「違法性を前提とする責任」であり、治験を行うものに過失があった場合に負担する責任です。
平成11年3月に医薬品企業法務研究会が公表した
「補償に関するガイドライン」によると‥‥
補償の原則には@治験に起因して被験者に健康被害が生じ責任を負うものが明らかでない場合は、治験依頼者に法的な責任が無くても補償することになる。A補償ルールは、被験者の損害賠償請求権を妨げるものではない。B補償内容は、医療費、医療手当および補償金とする。などが示されています。
補償の除外では次のことについては補償しないとしています。
@機会原因に起因するものA因果関係が否定され
ているものB市販後臨床試験において、市販薬を投与したことによる健康被害C治験終了後の継続投与に係る健康被害は、治験薬の供給者は製造物責任上の損害賠償責任を負うが補償責任は負わない。
補償の制限:次のような場合は原則補償の対象とはなりません。@治験薬の効能不発揮の場合(薬剤の予期した効果を提供できなかった場合)Aプラセボ投与により治療上の利益が提供できなかった場合B治験実施計画書から著しく逸脱したための事故。
医師主導の治験の補償は?
医師主導の治験においても同じように健康被害が生じた場合は補償の対象になります。
 新GCPでも補償についていくつか規定がありましたが、補償の対象となる疾患や障害の程度、補償の金額、支払いの方法について何も定められていないのが現状です。補償責任は治験依頼者が負いますが、実際に被験者に説明をするのは責任医師・CRCになります。被験者と直接対応する責任医師や治験協力者が、補償の具体的な内容を理解し被験者に正確な情報提供ができるようにしていくことが今後の課題だといえます。
 

  
 9月5日〜10日、医薬品医療機器総合機構主催の平成17年度「CRC養成研修」の講義が、北里大学薬学部で開催されました。この研修は、新GCPに基づき倫理性、科学性が確保された治験の実施が求められる中、必要とされているCRCを養成し、適正な治験の実施と研修生派遣元医療機関における治験実施体制の整備促進を目的としています。当院からも2名(薬剤師1名、看護師1名)が参加しました。
 なお、当院ではこの研修の研修生の実習を11月7日から3週間と11月28日から3週間の2回にわたり受け入れます。実習期間中、CRCに同行し外来、病棟にも行きますので協力をお願いします。
  

 個人情報保護法施行により、臨床研究においても個人情報のより適切な取り扱いが求められています。
 当院の「臨床研究における個人情報の取扱手順書」に定義される個人情報とは、氏名、生年月日、住所、電話番号の他、患者ごとに記録されたID番号等、他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるものを指します。
当院から外部の機関に被験者登録および研究関連データの送付などを行う場合には、原則として連結不可能匿名化または被験者識別コードと被験者との対応表を作成する連結可能匿名化が必要です。匿名化においては下記の1)または2)以外の個人情報を外部の機関に提供することはできませんので、特に登録票や症例報告書等のフォームにはご注意ください。
1) 被験者イニシャルと生年月
2) 生年月日のみ

<治験担当医師のためのセミナーのお礼>
 4、5、6月に「治験担当医師のためのセミナー」を3回開催し、述べ115名の参加がありました。前回開催時より多くの参加があり、セミナー終了後のアンケートでも満足であったという声が多く聞かれ、治験管理センター一同大変うれしく思っています。毎回トピックスとして3名の治験責任医師からの講義も、受講者の満足につながったと思います。中森先生、加藤先生、増田先生協力ありがとうございました。今後はより受講者のニーズをとらえたセミナーの開催に力を入れていきたいと考えています。また、このアンケートの集計結果を「第5回CRCと臨床試験のあり方を考える会議」で発表をしました。

  第59回国立病院 総合医学会
  10月14、15日に広島で第59回国立病院 総合医学会が開催されました。治験コーディネータの北川が「治験経費の出来高算定方法についての検討」を発表しました。
*出来高算定方法は当院独自の治験経費の算定方式です。
   
  第5回CRCと臨床試験のあり方を考える会議
  10月15、16日横浜で上記会議が開催されました。治験コーディネータ主任 石山が当院で主催した治験セミナーの13年度と17年度の比較を行い、「治験セミナーでの受講者のニーズ変化」を発表しました。
   
  第26回日本臨床薬理学会
  日程 : 12月1日(木)2日(金) 3日(土)  場所 : 別府ビーコンプラザ
治験コーディネータ櫻井が「自主研究に対するIRBの指摘事項の分析」を発表します。

 
IRB第2委員会開催日・申請締め切りの案内
IRB第2委員会 申請締め切り日
平成17年10月25日 終了しました
平成17年11月22日 平成17年10月26日
平成17年12月27日 平成17年11月23日
平成18年1月24日 平成17年12月28日
平成18年2月28日 平成18年1月25日
平成18年3月28日 平成18年3月1日
申請日直前の受付は、修正等が必要な場合、申請に間に合いませんので余裕をもって申請ください。
ニューフェイス紹介
起塚 聡 (おきづか さとし)
 10月より管理課職員係より治験管理センターに配属になりました起塚です。大阪での勤務はもう13年目となり、かなりの年数が経っていますが、治験管理センターの部屋には今までほとんど入ったことがありませんでした。また治験とは何なのかまったく分からない状態で10月の異動を迎えました。皆様にはご迷惑をおかけすると思いますが、色々と教わりながら仕事をこなしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。







治験を評価する上で重要な記録や報告を、医療機関が保存する原資料(カルテなど)と照合・確認することです。治験の品質を管理するために治験依頼者が行う重要な活動です。



SDV風景
 脳神経外科と内科で進行している某社の市販後臨床試験のモニタリング(SDV)風景です。
 責任医師の中島医師と、分担医師の森内医師、仁木医師が対応しています。
 いつも治験の推進に協力ありがとうございます。
吉田佳榮子
昨年の9月に配置換えになり、1年1ヶ月勤務させていただき、この度9月30日で退職することになりました。短い期間でしたが貴重な体験をさせていただき感謝しております。ありがとうございました。
中島 桂
9月1日より薬剤科に配置換えになりました。

 

発行:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
    治験管理センター


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