センタ−ニュ−ス

治験管理ニュース 第24号
平成18年10月24日
 過ごしやすい季節となり、みなさまそれぞれ秋を満喫されていることと思います。
 さて、今回のセンターニュースは、第1IRB外部委員の太中さんのご寄稿「看護師免許と患者体験を持ってIRBに臨む」と、特集は、「当院での治験実施状況を治験期間と実施率から全国と比較をした結果」を取り上げてみました。どうぞご覧ください。

看護師免許と患者体験を持ってIRBに臨む
受託研究審査委員会(第1)外部委員
太中 千代子
 治験という未知に近い領域に入って一年余りが過ぎた。
 治験に全く無知であった訳ではなく、30?年前の就職が大学病院であった為、治験に接する機会は少なからずあった。しかし、日常業務に追われる看護師達には「治験参加者としての患者」までをフォローする余裕は無く、「医師と患者の治験」の傍観者でしかなかった。今は看護職のCRCも配置され、専属の医療チームからきめ細かいサポートを受けながら安全に、しかも自由意思で治験に参加出来る。驚くほどの進歩である。間接的であれ再び「治験参加者としての患者」に関わる機会を得られたことを今は良かったと思っている。
 とはいえ、月1回送られてくる膨大な資料を読みこなすのは思いの外大変な作業であった。
この治験参加に手を上げるであろう患者さんの目で、一字一字丁寧に、患者説明書案は特に慎重に、研究計画書と対比させながら繰り返し目を通している。全ての申請書が、患者説明定型文を活用していれば、内容検討により多くの時間を費やす事が出来る筈と思いながら、必要な説明項目は網羅されているか、医学用語を“医療者の常識”で不用意に使用していないか、何より、身内にも安心して参加させられるだけの安全性が保障されているか否かを念頭におき読み進めている。「何でもお尋ねください」「何時でもお申し出下さい」という言葉は嬉しいが、「それでは」と中々行動に移せないのが患者さんであり、遅まきながら患者となって実感したことでもある。立場を変えれば見方も変わってくる。辛うじて双方の立場に立てる強みを生かし、読みを深めるよう努めている。
 委員会参加当初、会は“承認ありき”の前提で進行されているのではと疑問をもったことがある。それ程に申請される治験は「承認」で通って行く。最先端の治療が受けられるという患者のインセンティブから考えると良い結果ではあるのだが‥‥。しかし、“僅かなステップアップもない?”と思える治験が申請された時、他委員からも疑問視する声が上がった。そのことにより、私の危惧は払拭され、委員会の健全さを実感することが出来た。
 今後も、看護師としての経歴と患者としての体験をよりどころとして、より有効でより安全な治験を提供出来るよう、委員会の一員として期待される役所を果たしていきたい。

日本における治験の現状として、欧米と比べ「スピードが遅い」と指摘されていることは、すでに周知の事実です。平成11年に治験管理センターが開設され、治験の実施体制も確実に整備されてきましたが、治験期間の評価を実施したことは、これまでありませんでした。そこで、これまでに終了した治験の各段階までの期間を、全国の設立母体別平均値(日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会調査)(クリニックを除く)をベンチマークとして比較し、評価をしました。調査対象は、2002年度2003年度に終了したU相、V相試験で、課題数は次の通りです。
  *1 First Patient In:1症例目のエントリー  *2 Last Patient In:最後の症例のエントリー 
  *3 Last Patient Out:最後の症例の治験終了
@は平均すると全国平均とほぼ同じで、Aは全国平均よりも極めて短く、Bもほぼ全国平均と同じ日数でした。また、Cも当院では極めて短く、依頼〜First Patient Inまでが全国平均より短いという結果となり、国内の水準に達しているということがわかりました。しかし、2004年度2005年度はCの期間が延長しており、早期に1例目を組み入れる努力が今後も必要といえます(図1)。B契約締結〜治験薬交付は、依頼者側では更に短縮したいという意向があるようです。当院では、この期間にスタートアップミーティング、薬局説明会を開催しており、CRCがプロトコールを十分に把握し、実施体制を整える期間ともいえます。大幅な短縮は難しい現状がありますが、スタートアップミーティングと薬局説明会の同日開催などをすすめ、少しでもこの期間が短縮できるように努力していきたいと考えています。
D Eは、図2,3のように全施設の中で一番日数を要していました。これは、治験期間が2年以上ある課題が半数以上あり、それに伴いエントリー期間も長いことが原因と考えられます。2004年、2005年は実施期間が短い治験が増えたため、期間も短縮しています。しかし、治験期間が長いプロトコールの中には、期間の半ばでのエントリーが少なく、後半で慌てて組み入れをしていると思われるものもあり、責任医師、分担医師の先生方には、治験期間に関係なく早期にエントリーを進めていただくようお願いいたします。
大阪02:大阪医療センター2002
大阪03:大阪医療センター2003
大阪04:大阪医療センター2004
大阪05:大阪医療センター2005
国大02:国公立大学病院2002
国大03:国公立大学病院2003
私大02:私立大学病院2002
私大03:私立大学病院2003
国病02:国立病院2002
国病03:国立病院2003
公病02:公立病院 2002
公病03:公立病院2003
私病02:私立病院2002
私病03:私立病院2003
平均02:全国平均2002
平均03:全国平均2003


「第60回国立病院総合医学会」が9月22日、23日に国立京都国際会館で開催されました。当治験管理センターでは、「近畿ブロックにおける治験等の実施・管理に関する均質化の取り組み」についてポスターセッションを政道が行いました。平成11年度から、国立循環器病センターと近畿ブロック内の国立病院機構の病院で「治験実務者会議」を年2回行っています。この会の目的は施設間の認識を統一し、各施設での改善点や取り組みをブロック内で共有することにあります。今までに、治験管理室の運用、独立行政法人化後の対応、改正GCP・倫理指針への対応、参加施設での事例検討を行ってきました。また、最近では、依頼者(製薬企業)との合同意見交換会も行い、依頼者側と病院側の業務分担、逸脱・安全性情報の取り扱い、症例報告書作成時の問題点について検討しています。これらの活動は共同基盤研究等にまとめ、全国の国立病院に発信し、初めて治験に取り組む施設の参考となっています。これらのことをポスターで発表しました。この活動を参考にしているという意見も多くありました。
「第6回CRCと臨床試験のあり方を考える会議」が10月7日、8日大宮ソニックシティで開催されました。当治験管理センターでは、「治験実施状況の評価−治験期間、実施率の全国平均との比較−」についてポスターセッションを名畑が行いました。《特集》で一部を紹介していますのでご覧下さい。
 この会議は、日本臨床薬理学会、日本看護協会、日本病院薬剤師会、日本臨床衛生検査技師会、日本薬剤師研修センター、日本製薬工業協会、日本SMO協会の7団体で構成されるCRC連絡協議会を母体として開催されています。CRCのバックグラウンドが様々な職種であることが、反映されています。現在、臨床薬理学会認定CRCが442名と着実に増加しており、臨床試験の質の向上に貢献しています。更なるCRCの飛躍を期待して、今回は「臨床試験の質の向上とCRCの専門性」というテーマで行われました。

10月1日付けで治験主任の政道が、薬剤科薬務主任へ異動になり、後任として国立病院機構滋賀病院より、加藤亜紀さんをお迎えしました。政道は、10月いっぱいは治験管理センターにいる予定です。また8月より事務職員として飯田容代さんを迎えています。


平成10年夏、薬剤科長から治験の研修を命ぜられたのが運のつき、理由(わけ)のわからぬまま2ヶ月間、都立駒込病院で臨床試験、治験、治験事務局、治験コーディネータ(CRC)のいろはをたたき込まれてから早8年、臨床研究の大きな変革のうねりの最中(さなか)で学んだこと経験したことは今後の業務にも必ず役立つものと思います。薬剤師 政道を今後ともご指導をお願いいたします。


はじめまして、治験主任の加藤亜紀です。治験の仕事はほとんど経験がないにもかかわらず、政道先生の後任という大役を仰せつかり、その重圧感に少しブルーになっていたのですが、治験管理センターの方々の情熱あふれる仕事っぷりに、私も熱くなりたいと思っています。どうかよろしくお願いいたします。


これまで一般企業で長年会計のお仕事をしておりましたが、センターの事務はとても特殊で、まずは「治験」というもの自体を理解するところからのスタートです。CRCの皆さんをはじめ、周りの方々には大変ご迷惑をお掛けしているので、1日も早く皆様のお役にたてるように頑張ります。よろしくお願い致します。


前回の「治験管理センターニュース」で第3回目の治験担当医師のためのセミナーを秋に開催と案内しましたが、都合により1月に変更いたします。本セミナーではGCPで謳われている「十分な治験教育」に該当します。また、IRBに提出する履歴書にこのセミナー番号の記載が必須となりますので、今年度、治験責任医師・分担医師の先生で未受講の方は1月の本セミナーを是非受講してください。また、11月22日(水)13:00〜17:15大阪南医療センターで近畿ブロック医療技術研修「治験研修会」があります。この受講は本セミナーと同じ扱いにさせていただきます。
GCP第42条 治験責任医師の要件 1)「治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有すること。・・・」この要件は依頼者も確認されます。


 

発行:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
    治験管理センター


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