センタ−ニュ−ス

治験管理ニュース 第26号
平成19年4月26日
はじめに 今年度最初のセンターニュースです。タイトル等デザインを一新してみました。いかがでしょうか?また、今年度は、「治験のABC」として、治験の基礎知識のコーナーを毎号に掲載する予定にしています。みなさんに治験のことをもっと知っていただけたらと思います。

「小児疾患を対象とした臨床試験について」
小児科 多和昭雄

 2006年12月に審査を受けた「小児急性骨髄性白血病(AML)に対する多施設共同後期第U相臨床試験AML-05」(日本小児白血病リンパ腫研究グループAML委員会立案)の研究代表者としての経験をふまえて、小児疾患を対象とした臨床試験について日頃から感じていることを述べてみたい。
 小児血液腫瘍疾患の臨床研究では、その疾患の治療成績を向上させることを目的に、従来の治療法に比較し新しい治療法の生存率が統計学的に有意に良好であることを証明しようとする場合が多い。従って、二つの治療法を比較する無作為割付第V相試験が組めれば理想である。
 はたしてそれが可能か?小児AMLの症例数について大阪府のがん登録から推定していただいた所、18歳未満の年間新規症例数は日本全国でもわずか226名とのことであった。この226名から急性前骨髄球性白血病やダウン症候群に伴うAMLはその治療法が異なるため外れる。また、近年小児AMLに対して層別化治療が行われるようになり、再発の危険性に基づき治療の強度の異なる3つの群に分けるのが一般的となっているため、一つの群の症例数は最も多い群でも2年間で100名程度となってくる。小児AMLの場合、従来の治療成績が3年全生存率で78%と良好なため新規治療によってさらに10%以上の成績向上を期待することは困難である。仮に、新規治療が従来の標準的治療と比較し生存率で10%上回ると仮定して無作為割付試験を組もうとしても、片群に200〜300例が必要でとても症例数が足りないことになる。つまり、小児がんの中でも比較的症例数の多いAMLを対象とする場合でも無作為割付第V相試験は行えないわけである。
 小児疾患特に症例数の少ない疾患を対象とした臨床試験の歴史は浅く、日本の生物統計専門家で小児の臨床試験に関与していただける方も極めて少ないため、小児疾患を対象とした臨床試験については明確な指針がない状態である。あえて、今後の方向性をさぐると、症例数の少なさをカバーするために国際共同研究をめざすか、国内で行うのであればきっちりとしたデータ管理下に全例参加の1アームの第U相試験を繰り返しながら標準治療の確立をめざすことになるであろう。

「院内の治験の決まりごと」
19年度が始まりましたね。異動や新たな仲間を迎え各外来診療科、病棟では慌しい日々が続いていることと思います。職員の中には治験の仕組みや院内のシステムについて知らないない方も多くなってきています。そこで今回は当院の治験に関わる仕組みや決まりごとについて再確認の意味も兼ねて説明します。ゴールドの診察券や赤色のフィルム袋を見たことありませんか?
電子カルテへの表示

目的:「治験参加中」であることを医療者が認識できる
 併用禁止薬の投与や併用禁止療法が行われることを防ぐ

・カルテの患者氏名の横(年齢の上)に「青いお薬マーク」が表示される

処方は院内処方になります!
治験期間中の処方は、当該診療科及びそれ以外 の診療科を受診された場合も院内処方となりますので注意してください。

・患者掲示板のMessage Boardに「参加中の治験課題名、責任医師名、
 担当CRC名」を表示

担当医師・CRCのPHS番号も掲載していますので、患者様から質問等を受けた時は遠慮なく連絡してください。Information Boardにも「参加治験名」が表示されます。
救急外来又は緊急で外来受診された場合には担当医師・担当CRCに連絡を下さい。患者様の病状によっては依頼者(製薬会社)に報告をする必要があります。

ゴールドカードの診察券

目的:「治験参加中」であることを医療者が認識できる


赤色のレントゲン袋

目的:治験データとなる原資料(レントゲンフィルム等)の正しい保管

通常のカルテの保存期間は医師法では5年間と定められています。
(当院の規定では入院診療録10年、外来診療録7年)しかし、治験ではGCPで「治験薬の製造・輸入の承認日、または治験の中止もしくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日まで」と義務づけられ通常より長期間の保存が必要になることがしばしばあります。このためデータが確実に保管できるよう通常の保管袋とは色を変えています。( 治験のABC参照)

治験参加カード

目的:他院を受診した際に治験内容や、併用禁止薬、併用禁止療法の情報提供をする。
お財布に入るサイズで上記内容が記載されたカードを患者様に携帯していただいています。 他院を受診される時は、受診先の医師に提示していただくようお願いしています。

感謝状

目的:治験にご参加いただいた患者様の志に感謝の意を表す
治験終了後、次の外来時に主治医より感謝状を渡していただいています。


去る4月20日に責任医師、検査科、薬剤科、放射線科、看護部の方に出席を頂き、昨年に引き続き院内の治験担当者会議を開催しました。

平成18年度治験管理センターの活動報告

人事異動:H19年1月1日付 治験管理センター長及び副センター長の交代、IRB委員の交代について
契約状況、実施率:18年度の契約金額は約1億8千万円で、機構本部から通達があった目標額2億円は達成できませんでしたが、今年度はすでに5月までに10件の治験の契約が見込まれ、2億円達成に向け好スタートを切りました。T相、U相、V相及び製造販売後臨床試験の補正実施率は毎月74%前後をキープし、3月末では78.4%でした。
逸脱事例報告

実際にあった逸脱の事例を報告し、生じやすい逸脱については責任医師、関連部署にも周知いただき、逸脱を回避できるよう協力を依頼しました。
検査科より関与した治験の報告

治験への協力検査の件数および各検査に費やしている時間等のデータが示されました。
治験の採血だけで年間約2200本、採血・分離の処理時間は年間700時間にのぼるということです。
 治験は責任医師のリーダーシップを中心に関連部署の協力が不可欠です。チームワークよく実施することが患者様の安全を守りつつ信頼のおけるデータを確保する事につながります。今後とも責任医師、CRCをはじめ各部門とも密な情報交換を行うことにより、治験の円滑な実施、質の向上につなげていきたいと考えますので協力よろしくお願いします。

平成18年度受託研究実施率(H19.3.31)

研究課題数 実施症例数
T相 2件 0件
U相 24件 124例
V相 14件 67例
製造販売後臨床試験 12件 114例
合計 52件 305例
実施率 78.4%
W相その他 76件

研究課題数は52件で昨年より7件増加し、実施症例数は305例では昨年より36例増加しています。

CRC年間活動(延べ件数)


H17年 H18年




被験者対応数 689 1668
治験の補助説明 119 119
有害事象対応 28 24
被験者からの電話相談 94 154


調
他部門との調整 28 7
スタートアップミーティング 28 18
治験薬説明会(薬剤科) 8 10




ヒアリング(事務局・CRC) 45 57
モニタリング 196 281
監査 5 4
実地調査 1 1
依頼者との対応(来訪) 881 843


病院や一般の薬局では様々な薬が使われていますが、それらはすべて厚生労働省からその使用について承認を得ています。 承認を得るためにはその薬を使用したときの効果と安全性が十分検討されなければならず、実際に人に投与して評価をしなければなりません。このように厚生労働省から薬としての承認を得る目的で、人を対象に行われる試験のことを治験といいます。治験は、有効性と安全性を科学的な方法で正確に評価するために行われますが、参加いただく患者様の人権や安全が何よりも最優先に守られる必要があります。そのため治験を実施する際は、「薬事法」に基づいた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」いわゆるGCP(Good Clinical Practice)という法律に従うことが義務づけられています。GCPの主要な基準は、@治験の依頼に関する基準、A治験の管理に関する基準、B治験を実施する基準の3基準で、@Aは主に治験依頼者(製薬会社)にかかわる基準で、Bは治験を行う医療機関、医師、医療関係者に関する基準が定められています。実施していく上で矛盾等があるため、年々改正されています。内容としては主に次のようなものに関して詳しく記載されています。
1.治験の原則
2.治験審査委員会の責務、運営
3.治験を実施する医療機関の要件及び医療機関
  の長の責務
4.治験責任医師の要件及び責務
5.被験者の選定とインフォームド・コンセント
6.治験依頼者の責務
7.治験実施計画書の記載内容
8.治験薬概要書の記載内容

IRB第2委員会開催日・申請締め切りのご案内
IRB第2委員会 申請締切日
平成19年5月22日(火) 平成19年4月25日(水)
平成19年6月26日(火) 平成19年5月23日(水)
平成19年7月24日(火) 平成19年6月27日(水)
平成19年8月28日(火) 平成19年7月25日(水)
平成19年9月25日(火) 平成19年8月29日(水)
平成19年10月23日(火) 平成19年9月26日(水)
平成19年11月27日(火) 平成19年10月24日(水)
平成19年12月25日(火) 平成19年11月28日(水)
平成20年1月22日(火) 平成19年12月26日(水)
平成20年2月26日(火) 平成20年1月23日(水)
平成20年3月25日(火) 平成20年2月27日(水)
上記以外の変則申請(申請遅延等)は原則受け付けておりません。
治験責任医師のためのセミナー開催の
お知らせ

日時: 平成19年5月14日(月)
18:00〜19:00
場所: 災害医療棟2階 視聴覚室

内容: 「GCPについて」
「CRC業務について」
「治験にかかわる診療費と被験者
       負担軽減費について」
「当院における出来高払いの算定について」

治験責任医師、分担医師の指名には
本セミナーの受講が必須(3年間有効)となっております。


編集後記
過ごしやすい季節になってきました。今年度は治験の基礎知識を毎号少しずつお伝えしたいと思っています。
これで、治験が身近なものに感じてもらえればうれしいです。次回は夏にお会いしましょう。

 

発行: 独立行政法人 国立病院機構
大阪医療センター 治験管理センター


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