センタ−ニュ−ス

治験管理ニュース 第27号
平成19年7月25日
はじめに
 暑さ厳しい折ですが皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今回は昨年9月まで治験管理センターで勤務されていた政道薬務主任にご寄稿いただきました。
今年7月に当院は治験・臨床研究の拠点病院に選ばれました。詳細は特集をご覧ください!!

治験管理センター設立当時を振り返って・・・
薬剤科 薬務主任(医薬品情報担当)
政道 修二

「欧米か!」タカアンドトシのギャグを最近、よく耳にするようになりましたが・・・。
 1990年、先進諸国に見習い本邦独自のGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準:J-GCP)が施行、まさにこの年、治験の欧米化への一歩が踏み出されました。時は流れ1997年、GCPが国際標準であるICH-GCPに準拠して現在のGCP(新GCP)に新たに生まれ変わり、治験の仕組みも「欧米か!」とつっこみを入れられてもおかしくないような、そんな大きな変革のうねりが押し寄せていました。この欧米化により国内では海外の臨床試験成績を有効に利用し、新薬の開発がスピーディに、同時に国内臨床試験の成績も評価され欧米での新薬承認審査に利用できるような、そんな基盤が整備され、実際に臨床試験を行う現場である病院の体制が大きく変化し始めたときでした。
 従来、臨床研究の実施者である医師らは多忙の中、ともすればちょっとした事務手続きの手違いや記録の不備など、試験データの質を保つことが困難な環境で協力者もなく孤軍奮闘していましたが、この新GCP施行に伴い、日本の治験にも欧米並のCRC(治験コーディネータ)の導入といわゆるチーム医療がスタートしたのでした。
 当院でも、この時流に乗り治験管理センターが設置、コーディネータが導入され、その第一陣として小生と当時病棟副看護婦長の森下氏(現機構本部治験推進室治験専門職)が配属され二人であれこれ相談しながら体制を作り上げたものでした。当時のことで印象に残っていることは患者さまに治験の説明の際、「わかったわかった」と説明半ばにして早々に話を切り上げようとする方、「むつかしゅーてわかれへんわ」、「人体実験やな?」、「モルモットか」など、臨床試験がまだまだネガティブなイメージでとらえられている方が少なからずいたことです。わずか8,9年前のことですがインフォームドコンセントも患者さまには十分浸透しておらず、悪戦苦闘していたことが思い起こされます(中には私を製薬メーカーの研究担当者(回し者)と思われた方もありました)。今でも人体実験、モルモットなどといわれる方もいらっしゃいますが、往事の印象とはずいぶん異なり、臨床試験を前向きに捉え「人体実験」と揶揄されているように感じられます。
 今、外資系製薬企業は韓国、中国など日本以外の東南アジア諸国に急速に進出、臨床試験の場を日本からこれらに移行しつつあると言われます。日本人の民族性、文化、日本の医療環境などから被験者リクルートが困難、時間がかかる上、コストもかかると諸外国と比較して日本はまだまだ臨床試験においては後進国と認めざるを得ませんが、新たな治験活性化5カ年計画の策定、実施が変革のうねりをますます加速させていくことを期待しています。
 被験者たる患者さまの考えも「お任せ医療」から「自己決定の医療」へとまさに「欧米化」、はたまた「欧米か!」といえる明日を夢見る、元コーディネータでした。

  
全国治験活性化3ヵ年計画」(厚生労働省・文部科学省)の後を引き継ぐ形で2007年3月に「新たな治験活性化5ヵ年計画」が示されました。3カ年計画の遂行で患者数が多く評価しやすい一般的な疾患においては、治験は進行するようにな
ってきましたが、難治性疾患など症例数が少なく技能を要する治験は進行しにくいという現状が明らかとなり、今後、医学・臨床的にも価値のある治験・臨床試験が日本で行われず、患者の新規治療薬へのアクセスの低下、日本の医療水準の低下が懸念される状況が浮かび上がりました。これを背景に「治験活性化5ヵ年計画」の策定がすすめられ、その目的は、「国民に質の高い最先端の医療が提供され、国際競争力強化の基礎となる医薬品・医療機器の治験・臨床研究実施体制を確保し、日本発のイノベーションの創造を目指す」とされています。
 その主な取り組み事項は次のようになっています。

 人材を中核・拠点病院に集中的に投入し、技能の集約化を図ることで効率的に治験、臨床研究が実施できる体制を構築するのがねらいです。さらにネットワークの構築とその中心的役割を担い、治験・臨床研究専門スタッフの養成を行います。国立病院機構の施設は手続き上拠点病院には応募できないことになっていますが、国立病院機構施設の治験の実績が評価され、拠点病院並びとして情報交換や施設間の連携を強化する目的で開催される治験中核病院・拠点医療機関等協議会に参加できることになりました。全国で5ヶ所が選定され、当院はその1施設に選ばれました。

大分大学医学部附属病院、北里大学医学部、慶応義塾大学医学部国立がんセンター中央病院、国立国際医療センター、国立循環器病センター、国立成育医療センター、国立精神・神経センター武蔵病院、千葉大学医学部附属病院、国立病院機構本部

(大阪府下)
大阪市立大学附属病院、近畿大学附属病院、府立成人病センター、府立母子保健センター

(国立病院機構)
東京医療センター、名古屋医療センター、大阪医療センター、 四国がんセンター、九州医療センター

 医師にとっては、治験・臨床研究は時間を割いて労力を必要とする割に、業績として評価が得られにくいという問題があります。治験実施の動機付けとして、治験・臨床研究の実施を臨床業績の評価として考慮すること、また人事考課への反映や学位の取得にもつながる環境を整備することが示されています。CRCに関しては、各養成団体間の研修内容の統一を図り、新規CRC3000人の養成が 目標です。
中核・拠点病院では治験責任医師一人あたり0.5人以上のCRC配置、また施設の30%以上のCRCが認定資格を有することが求められています。

 この点からは、臨床研究登録と登録データベースの活用促進、被験者のインセンティブ向上のため、被験者負担軽減費のあり方の検討、患者への情報提供機能の充実等に取り組むことが明記されています。情報提供という点では「患者情報室」等の設置、本人の治験の結果や治験薬が上市されたかなどの情報を提供する体制整備の実施を進めることが求められています。

 ここでは治験の契約等の窓口の一元化、契約や申請書式を統一し、共通手続きとすること、また書類の郵送受付を行っていくことで企業側の負担軽減を図ることが盛り込まれました。さらに出来高払いを導入し、治験コストの適正化を図ることも示されています。

 ■当院の取り組むべき課題とは?
 治験活性化5ヵ年計画では拠点病院に期待される体制・機能が示されています。大きくわけて「人材」「機能」「患者対応」「事務・IRB等」の4項目から成り、細かい検討事項は色々とありますが、特に当院で今後取り組むべき課題には次のようなものが挙げられます。




 CRCはClinical Research Coordinatorの頭文字からそう呼ばれています。
日本語訳にする時に治験を実施するチームの一員と位置づけられ「治験コーディネーター」と訳されたため、治験のみのコーディネーターと思われがちですが、本来の意味としては「臨床研究コーディネーター」になります。ただ、人員的にも充分ではないため、日本では治験のみに携わっていることがほとんどです。今後は「臨床研究コーディネーター」としての役割を徐々に担っていくことが求められています。
 では、治験コーディネーターとはそもそも何故できたのでしょう・・・?
治験は国際的な合意に基づいて定められた基準、つまりGCPを遵守して実施しなければならないと薬事法に記載され、1997年3月に法制化されました。このGCPには、インフォームドコンセントのあり方、患者を保護するための事項、倫理を保障する委員会に関する事項、その他治験責任医師と治験依頼者の厳守すべき事項などが記されています。日本では医師は外来や病棟で多くの患者の診療を行いながら、自分の持ち時間を調整して治験を実施しているのが実情です。このような多忙な日常業務の中で、GCPの求める厳格な要求を満たしつつ治験を適正に実施するためには、治験責任医師を支援しながら全体をコーディネートする専任スタッフの協力が必須となってきます。そこで誕生したのが、CRCです。
 治験は、依頼者である製薬企業、医師、患者が存在し成り立っています。CRCはこの3者の中に入り、治験が円滑に進むように支援するとともに、全体をコーディネートして3者間の調整を図る役割を担っています。
治験コーディネーターとしての仕事を簡潔にまとめると
  1.ボランティアとして参加する被験者のケア
  2.治験責任(分担)医師の支援
  3.治験依頼者側との対応(モニタリングと監査)
  4.全体のコーディネーション     となります。

異動のおしらせ
事務職員の退職
飯田 容代(いいだ やすよ)
昨年7月末よりお世話になり、当初は「治験」という言葉を聞くのも初めてで、右も左も解らず、皆様には大変ご迷惑をお掛けした事と思います。ここで勤務する様になり、これまで当たり前の様に飲んでいたお薬が、物凄い時間と、それに携わる人達の労力の結果なのだ、という事を知りました。短い間でしたが、沢山の良い経験が出来ました。有難うございました。
田中 智美(たなか ともみ)
昨年4月から治験管理センターでお仕事をさせて頂き、本当に皆さんにはお世話になりました。まだまだ未熟な私ですがここでの経験を今後に活かせたらと思います。本当にありがとうございました。

8月より来年3月までCRCの小野が産休に入ります。その間、以前当センターでCRCとして勤務経験のある 柚本 育世が着任しました。
柚本 育世(ゆうもと いくよ)
4年3ヶ月ぶりに職場復帰しました。慣れないことも多く戸惑いもありますが、皆様のご指導を受けながら頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします。
事務には7月より松原 美華(まつばら みか)が着任しました。今後ともよろしくお願いいたします。



 

発行: 独立行政法人 国立病院機構
大阪医療センター 治験管理センター


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