第4号 平成21年2月16日

 節分も過ぎて春の足音が少しずつ感じられるようになりました。
今回のNewsでは、「臨床研究推進に事務職としてどう関わるか」というテーマで事務部長からの寄稿を掲載しています。
また、臨床研究推進室では、2月より新しいメンバーを迎えCRCが8名に なりました。より一層パワーアップしていきたいと思っています。


臨床研究推進に事務職としてどう関わるか
事務部長 村田 庄司


 臨床研究において「治験」の推進は、医療水準の向上を図る為には最も重要であり、それに関わるCRCの任務は大きい。医師、薬剤師、看護師は患者さんへの説明と同意(IC)、製薬メーカなど委託者との調整等の業務に携わられているが、契約事務、器財の購入・管理、研究費の経理については、事務職が担当している。
それぞれの職種が、その業務を分担して処理に当たることが効率的であり、多くの治験受け入れが可能となる。要するに役割分担によることが効率的で効果が上がる。
 ところで、以前に他の病院でCRCの定数を確保すべく治験を推進し、多くの契約を取り付けるからと機構本部の所管部とやりとりしたことがある。
病院から製薬メーカーに出向き契約を取り付けますから是非とも定数を増やして頂くよう本部に懇願したが、1千4百万円超の収納がなければ職員定数は認められないとのことであった。心意気や意気込み気持ちは必要であるが、本部でも製薬メーカーを訪問し、推進に努力している。しかし、結果は簡単に分かりましたと言って契約が増加する状況になっていない。ましてや田舎の病院で特別な機能も何の取り柄もない病院、医師もいない病院で契約増加が見込める訳がない。と厳しく諭され。この時の悔しい思いが何時までも頭の隅に残っている。
事務職が出来ることは、病院の特性・機能、医師の専門性をPRすることや治験の受入体制を確立していくこが任務と考える。
そこで、事務職として出来ることは治験推進に向け治験受け入れ説明のためのパンフレットの作成を考えた。(以前勤務した病院) 病院の機能、これまでの治験の状況、治験の手続きなどをCRCの方と一緒にメーカー訪問し、説明することとした。
結果は、病院が備えている機能や治験の受入体制が取られていることなど理解が得られ効果はあった。
今後においても、常勤事務職員の配置や係長ポストの設置など強化を図ることが重要と考えている。経理事務の適性化と効率化を行うことにより管理も一緒に付いてくる。そのことが冒頭に申し上げた役割分担と効率的・効果的な活動となる。
さあ、皆さんと共に頑張ろう!!


『CRCと臨床試験のあり方を考える会議in金沢』
平成20年10月11日〜12日
「CRC実務経験年数と逸脱発生との関連性」
 発表者:石山
H12年4月〜H20年3月の逸脱とCRCの経験年数との関連性を分析し、改善策を検討しました。結果は、総逸脱件数は263件で、CRCの担当1症例あたりの逸脱件数(平均逸脱件数/担当症例数)を比較すると1年目が多く、経験不足は逸脱の一要因と考えます。経験年数と逸脱が発生した時期の関連では、スクリーニング期では1、2年目の逸脱が多い傾向にあり、プロトコール内容の理解不足が影響していると考えます。
登録1、2例目での逸脱件数は経験年数が増えるごとに減少していますが、3、4例目での逸脱件数は経験年数が増えても減少していませんでした。経験年数が増えても3例目以降の逸脱件数は減少していないことから、エントリーが進むと慣れによる思い込みで逸脱が起こりやすいと考えます。改善策として、経験年数に関わらず複数確認が確実にできるシステム作りと、1年目が担当する課題で特に1、2症例目はプロトコール解釈も含めて複数確認するなど、経験年数別の逸脱傾向を踏まえた機会教育も必要だと考えます。

『第62回国立病院総合医学会』
平成20年11月21日〜22日 東京国際フォーラム
「過去8年間におこった逸脱の現状分析」 発表者:小野

8年間の傾向として、逸脱は増加傾向にありました。中でもメンバーが多く入れ替わった年の逸脱は急増していました。CRC1年目では担当課題数と担当症例数は最も少ないのですが、1症例あたりの逸脱は最も多くなっていました。逸脱内容は「検査・観察項目の逸脱」が最も多く、逸脱原因は「確認不足」が65%を占めていました。また、CRC経験年数に関わらず、症例登録の順番が早い程、逸脱を起こす傾向があることがわかりました。これらのことより「逸脱はCRC経験1年目に多く、組み入れ早期で発生しやすい」「年々逸脱が増加傾向にあるのはCRCの異動や複雑化するプロトコールも一因である」「主担当のみの確認による思いこみが多いため、個人の解釈ではなく複数のチェックで逸脱は減少できる可能性がある。」と考えます。
よって、
◆各課題において症例登録が1例目,2例目にあたる被験者においては5年目以上とダブルチェックを徹底することにより逸脱が減少できる可能性がある。
◆CRC経験の蓄積は逸脱防止のポイントが分かるため逸脱減少に効果があると考えられる。

『第29回日本臨床薬理学会年会』 平成20年12月4日〜6日 京王プラザホテル
「治験実施状況の評価 −治験期間、実施率の全国平均値との比較−」 発表者:北川
当院では2002年度に終了した治験課題以降を対象として、当院の実施状況が全国水準に達しているかどうかを検討するため、定期的に治験実施状況の評価を行っています。治験においては、製薬会社から治験の依頼を受けてからどれだけ早く患者登録に至り、治験が終了できるかが、実施施設の1つの評価となります。この治験実施のスピードと実施率をベンチマークとして、日本製薬工業協会が調査している全国の施設平均値と比較しています。
今回は、2006年度に終了した治験課題の実施状況の評価を行いました。2006年度終了課題の実施率は79%で、全国平均(62%)より良好でした。スピードは、治験薬が搬入され、実施の準備が整ってから最終患者登録までの期間は全国平均と比べて極めて短く、当院においても年々短縮が図られていました。一方、治験依頼からIRB審査日までの期間は全国平均より長くなっていました。この結果を受けて当院では2009年1月よりIRBへの申請締切日を変更しました。これにより、治験依頼からIRB審査日までの期間は全国平均より短くなると期待しています。
今後も治験の質を維持しながらスピードアップを図るため、定期的に実施状況を評価していく必要があると考えています。




 治験を実施する医療機関は、被験者から集められるデータを製薬企業に提出し、それらのデータは厚生労働省の審査を受けるための貴重な資料になります。
そのため、集められたデータは信頼性が確保されたものでなくてはなりません。
 モニタリングとは、治験の品質を管理するために治験依頼者が行う活動の1つで、治験の進行に応じて随時被験者の人権を保護し医療機関から重要な情報を得るとともに、治験依頼者の情報を医療機関に提供する活動を行います。
一方、監査とは治験が治験実施計画書、GCP等を遵守して行われていたか否かをモニタリング部門とは独立して評価することです。両者はよく混同されがちですが、違いを下図に示します。


モニタリング 監査
目的
  • 被験者の人権、安全、福祉が保護されている
  • 治験がGCP、治験実施計画書を遵守して実施されている
  • 報告されたデータ等が正確・安全で原資料等の治験関連記録で検証できることを目的とした、品質管理(QC)業務に属する活動
モニタリングでの確認事項に加え、
  • 治験データ等の記録、解析、報告が正確なこと
  • 治験の依頼・管理に関する業務がGCPを遵守していることを品質管理業務から独立分離して確認又は評価することを目的とした品質保証(QA)業務に属する活動
実施する者 モニター 監査担当者
対象医療機関 治験に参加した全医療機関 選定された医療機関
実施時期 治験の前・中・後 継続的 治験の前・中・後 適宜
  (平成9年度厚生科学研究「新GCP普及定着総合研究」最終報告書を中心に より一部抜粋)




《上級者臨床研究コーディネーター養成研修》
去る11月13日(木)・14日(金)、大阪医療センターにおいて「上級者臨床研究コーディネーター養成研修」(主催:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が開催され、45名が受講しました。
この研修では「治験・臨床研究をめぐる最近の動向」「国際共同治験」「上級CRCへの期待」等の講義とグループディスカッションがありました。講義では、国際共同治験にCRCとして参画し確かな実績を作ることが重要であること、上級者CRCへの期待としてこれまでのCRC経験を生かして自主研究の支援への業務拡大も求められていること等、今後の課題を明確にする事ができました。グループディスカッションは「国際共同治験」のグループに参加し、英語記載の症例報告書の原資料をカルテにどのように残すか等、実務面でディスカッションもでき、今後の業務に生かしたいと思います。
今回研修に参加させていただき、最新の知識が得られたこと、他施設のCRCとのディスカッションができたことは、スペシャリストとしての自覚を持ち行動することの重要性を再確認できました。(石山)


平成20年度受託研究契約実績について
 今年度は当初、治験・製造販売後臨床試験の新規依頼が例年より少ない傾向にありましたが、秋頃より依頼が増えてきており、1月末現在では例年並みとなっています。(右表)
 3月には平成21年度への継続金の請求がありますが、その金額が約7,500万円になると見込んでいます。今年度の契約状況から、平成21年度の受託研究費請求額の目標を2億円と設定しました。
【平成20年度受託研究契約実績(1月末現在)】
新規課題数
(治験・製造販売後臨床試験)
17件
全課題数
(治験・製造販売後臨床試験)
58件
全受託研究費請求額
(W相・その他を含む)
12,048,496円
 治験・製造販売後臨床試験の研究費は出来高により請求することになります。目標金額を達成できるよう、来年度も治験等実施支援に取り組んでいきたいと考えています。


新メンバーのご紹介
2月から臨床研究推進室で働かせていただくことになりました薬剤師の村西礼子です。
 以前は他施設で病院薬剤師として勤務していましたので、治験の仕事は初めてです。
 今は日々勉強の毎日でCRCの先輩方に手取り足取り丁寧に一から教えていただいてます。
 まだまだご迷惑をおかけする事も多いと思いますが、今までの経験を生かして早く皆様のお役に立てるよう頑張ります。
 皆様のご指導の程よろしくお願いいたします。
編集後記
 今回の臨床研究推進室Newsはいかがでしたでしょうか?
立春をすぎましたが、まだまだ寒い日が続いています。
インフルエンザも流行しています。
皆様、体調をくずされませんように。

治験Quiz??
<問題>治験におけるインフォームドコンセントについて正しいものを選んでください。

@ 説明文書には患者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉を用いる。
A 緊急状況下における救命的治験の場合、被験者の身元が明らかでない場合でも治験の対象とできる。
B 視力障害等により説明文書を読むことができない患者は、いかなる場合にも治験に参加することはできない。
C 治験薬に関する新たな情報を入手した場合には、必ず新たな情報を追加した説明文書を改訂し、再度同意を得なければならない。

治験Quiz解答:@


発行:独立行政法人 国立病院機構
大阪医療センター臨床研究センター臨床研究推進室




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