第9号 平成22年7月8日

今年度最初の臨床研究推進室Newsをお届けします。今回は「アドベンチャー Hospital in大阪医療センター」と「院内治験実務担当者会議」についての内容です。

■p2  アドベンチャーHospital
   in大阪医療センター
■p3 院内治験実務担当者会議
■p4 治験のABC:GCPについて

臨床試験にかける期待
外来化学療法室長  三嶋秀行
平成22年4月より受託研究審査委員となりました。試験を提出する側から審査する側に変わり、視点を変える機会をいただきました。
    医学の進歩において、多施設臨床試験による臨床研究は近年ますます重要になっています。大腸癌では化学療法の進歩が比較的遅く、私は卒後15年頃まで重要な臨床試験には殆ど関与せず、手術手技の向上に専念していました。2000年頃から大腸癌の化学療法が進歩し、化学療法の臨床試験を本格的に行うようになりました。当時はよかれと思う臨床研究に制限があり、サポートがないと不満に思っていたものでした。抗がん剤の効果を腫瘍の増減で評価する多施設臨床試験の責任者として、登録後CT検査を一度も行わない医師がいることを経験し、大腸癌手術の経験と化学療法臨床試験のレベルは相関しないことを実感しました。
   2010年ASCO(アメリカ臨床腫瘍学会)において、肺癌に対するALK阻害剤が発表されました。日本で発見された分子標的薬ですが、臨床試験を含む薬の開発は日本以外の国で行われ、日本の患者さんが韓国に行って治療したとのことでした。ドラッグラグは薬が承認されるという最終段階だけでなく、開発する早期臨床試験の段階からあることを示しています。
 抗がん剤に関して日本にはドラッグラグがあるので海外で承認されている新薬をすぐには使えないとの批判がありますが、皆保険制度がある日本では、承認は遅いけれど承認後はより多くの人が新薬の恩恵を受けることができます。
   日本の医療経済が破綻すれば自国で新薬開発などできなくなるでしょうが、それまでは科学技術の発展の一つとして、日本でも新薬の発見から開発までできるようになることを願っています。化学療法は専門の腫瘍内科が担当すべきですが、消化器がん特に大腸がん化学療法を専門に担当する腫瘍内科医の数はまだまだ少なく、現状では消化器内科医や消化器外科医が多くの化学療法を行っています。また消化器がんを担当する専門の腫瘍内科は主として早期開発の治験を
担当するようになり、薬の承認後に標準治療を確立するための大規模な臨床試験を行うためには、臨床試験が分かる内科医や外科医の協力が必須です。臨床試験や臨床研究に関する教育システムが乏しく、治験ではCRCの多くのサポートがありますが、治験以外の臨床試験では担当医の熱意に依存せざるをえない状況が続いています。受託研究審査委員として、審査だけでなく、治験や臨床試験を行いやすい環境作りに貢献したいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。



「アドベンチャー Hospital in 大阪医療センター」 が開催されました。
   5月15日(土)10:00〜15:00 第2回アドベンチャー Hospital in 大阪医療センターが開催されました。今回から臨床研究推進室も「治験って、なに?」をテーマに、出展しました。日本医師会治験促進センターのご協力のもと、治験リーフレットや治験啓発マンガ、ちけん君バッヂを準備し、ボールペンやオリジナルのちけん君おめん(心を込めて作りました)を参加賞に、治験啓発パネルを見ていただきながら、クイズを実施しました。お一人での参加から、友達同士や親子連れなど、多くの方に来ていただきました。また、院内の皆様も多数お越しいただきました。少しでも治験を身近に感じていただけたならば、うれしく思います。
さぁ、準備完了です! ちけん君もいよいよ出番です。いつもは臨床研究推進室窓口にいます。 会場はこのような設営になっていました。
クイズは何問正解でしたか? ちけん君おめんは、中高生にも好評でした。*写真の掲載は了承済みです

昨年12月発行の号外でお知らせした、日本医師会治験促進センターから大賞を受けた「当院での治験の効率化に対する取り組み」が、院長表彰を受けました。院内のみなさまの協力があってこその表彰です。この場を借りてお礼を申し上げます。
今後ともよろしくお願いします。


   この会議では年1回、当院の治験の実施状況や当室の運営状況の報告を行い、各部門からの意見についても検討しています。出席者は、治験責任医師、看護部・薬剤科・検査科・放射線科・事務部からの代表者です。今年は3/2(火)に開催し、15名が出席しました。
   この紙面をお借りして、昨年度の当院の治験の実施状況の報告をさせていただきます。
・今年度の第1相試験病床運用開始に向けてのワーキング活動を開始しました。
・国立病院機構本部中央治験審査委員会を初めて利用しました(慢性心不全患者を対象とした治験)。
・当院初の医療機器治験を開始しました(拡張型心筋症を対象とした免疫吸着療法の医療機器の治験)。




   GCPとは、被験者の人権、安全、および福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保するためのルールで、治験依頼者(製薬会社)や治験にかかわる医療スタッフなど、すべての人が遵守しなければなりません。当院でも、治験責任医師を中心にいろいろな職種が治験にかかわっていますが、GCPで明記されていることに従って治験を実施しているのです。みなさんに日頃協力をお願いしている、有害事象の連絡や検査などのスケジュール調整についても、GCPに則り進められています。


・看護師向け治験セミナー:7/9(金)18:00〜19:00
   被験者に直接かかわる機会の多い看護師のみなさん対象に、治験全般の講義や被験者のどのような点を観察してほしいのか、何に留意してほしいのかを説明します。入院でお願いする治験が増えています。多くの方の出席をお待ちしています。
・治験セミナー(第3回目):秋に予定
   治験責任医師・分担医師をされる方は受講が必須です。受講証の期限は3年間です。今年度更新の方は、最後の機会となりますので、受講をお願いします。トピックステーマとして「第1相試験」を予定しています。医師以外の方々の出席もお待ちしています。
・臨床研究セミナー(第3回目):秋に予定
   臨床研究の倫理指針の改正について、是恒臨床研究センター長が講義します。臨床研究を行われる方は職種を問わずぜひ受講してください。
編集後記 
じめじめした季節ですね。
みなさま、体調をくずされてませんか?
前年度は、目標を達成し受託研究請求金額は国立病院機構145施設で第3位でした。今年度も、治験が円滑に進むよう各部門の皆さまと連携し、サポートしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
5月から経理係研究費担当として配属になりました西村和雄です。 以前は人事担当をしておりました。今後は研究予算全般の管理についての体制強化と、また、臨床研究推進室の一員として医療職の方々とはまた違った視点からのお手伝いが出来ればと思っております。よろしくご指導お願いいたします。
<西村 和雄>

6月末より臨床研究推進室で事務をさせて頂くことになりました三宅美佐子です。初めて経験する職場環境に緊張していますが、少しずつ、色々な事を覚え頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
<三宅 美佐子>




発行:独立行政法人 国立病院機構
大阪医療センター 臨床研究推進室




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