第13号 平成23年6月30日


  あじさいの花が、雨に美しく濡れていますね。今年度最初の臨床研究推進室Newsをお届けします。今年度当院に着任された方は、初めてご覧いただくことになりますね。このニュースでは、治験・臨床研究に関する最新情報や当院での取り組みなどを紹介しいます。みなさんに充実した内容をお伝えしていけるよう頑張ります!  

p2 平成22年度活動報告
p3 アドベンチャーHospital in 大阪医療センター
  早期エントリーへの取り組み
p4 知ってる?!治験のこと:原資料の保管
  セミナー案内/IRB開催日のお知らせ

PhaseT試験を導入して

東6階病棟看護師長  東 有紀子
 平成22年度よりPhaseT試験を導入して、半年以上が経過しました。治験課題は、悪性軟部腫瘍患者を対象とした第T相臨床試験です。これは、当院を含めて全国で3施設36例契約され、うち4例が当院の課題であり責任重大でした。
 CRCの方からスタッフへの導入前説明は、治験の流れや副作用、CRCとの連携方法についてなど病棟スタッフが動きやすいよう具体的でイメージしやすい内容で、採血時間などもトラブルなく実施することができました。
 先ず私が行なった治験導入前の準備としては、チームのバランスを見て偏らないように担当者を割り当てることでした。説明を受けていないスタッフが担当した時は、治験に関する専用ファイルにそって流れを説明しました。また、治験を進めていく上で困ることがあればCRCに連絡し、内容の確認や病棟に来てもらうなどの調整も行いました。
 このようにして導入した1人の患者様との実際を少し紹介します。患者様は、説明どおり遅延性の悪心が出現しました。肝機能とCPKの数値が4桁と今までに見たことのない値まで上昇しました。患者様は、検査の数値が上がった為に病院に拘束されることの苦痛や不安から、治験を続けることに迷いが生じました。治験の効果への期待もあるものの、残された人生を有意義に過ごす時間も大切、治験を受けることで薬が認可されるまでの一端を担うことになるという責任感もあり葛藤が生じたのだと思います。
 このような時、医師だけでなくCRCの方々と今起こっている病態やご本人の思いなどを情報共有することは、治験をすすめていく上で大変重要であると考えます。患者様も、いろいろな職種で支えてもらえるという安心感となり、チーム医療の充実につながるのではないかと思います。病棟スタッフも、困った時にCRCの方に相談すれば何とかなるということが実感でき、スタッフ自身の支えとなり治験を受け入れやすくなったようです。治験を受けられる患者様は、現在の治療では効果が無く治験薬への期待が大きい半面副作用への不安等も大きい。しかし、常に前向きで私達医療者が患者様の治験に対する思いだけでなく生き方についてなど学ぶことが多くあります。このような方々に1日でも早く薬が認可されることを願いつつ、今後も治験に携わる方々と連携を図りながら治験の受け入れを行っていきたいと考えています。



昨年度の当院の治験実施状況を報告します。受託研究の請求金額は、目標の2億円を超え、国立病院機構内では第2位でした。がんを専門とする施設が上位を占めており、当院でもがん領域の治験を多く(42/58件)実施しました。また、昨年度から本格的に抗がん剤での第1相試験病床運用を開始しました(悪性軟部腫瘍患者対象の治験、乳がん患者対象の治験)。

・「当院での治験の効率化に対する取り組み」が院長表彰を受けました。
・国際共同治験で初めてGlobal監査を受けました。



6月12日(日)10:00〜15:00 第3回アドベンチャー Hospital in 大阪医療センターが開催されました。臨床研究推進室も「治験って、なに?」をテーマに出展しました。日本医師会治験促進センターのご協力のもと、治験リーフレットや治験啓発マンガ、治験啓発パネルを見ていただきながらクイズに挑戦していただきました。また、今年は治験のマスコット「ちけん君」も来場し、ちけん君との写真を手作りのフォトフレームに入れた記念写真や手作りのちけん君おめんは好評でした。友達同士や親子連れなど多くの方に来ていただき、熱心にパネルをご覧になったりCRCがどのような仕事をするのか質問もありました。これをきっかけに、将来CRCを目指してくれる方がいると嬉しいです。



 現在、当院の治験の研究費は4半期毎の出来高払いとなっており、エントリー期間中の 早期に被験者をエントリーした方がよいしくみになっています。また、近年、国際共同治 験が増加し、グローバルの治験のスピードに追いつき、ドラッグ・ラグを解消するために も、治験のスピードアップが求められています。
 早期エントリーのための取り組みとしては、
1.IRB前のヒアリング前には担当CRCを決定し、契約に並行して早期に治験開始できるように
  準備を進めています。
2.エントリーが進まない治験に関しては、随時責任医師・分担医師へ患者様の状況を確認して
  います。
3.再度スタートアップミーティングを開催するなど、治験内容などを確認する機会をセッティング
  します。
4.必要に応じて、病診(病病)連携機能を活用し、近隣の医療機関と連携をとり、紹介制度を活用
  します。
5.最近では、適格基準がカルテを見ただけでは容易に判断できない治験もあり、担当CRCが
  カルテスクリーニングを行い、該当患者がいる場合は、責任医師・分担医師へ相談すると
  いうことをしている治験もあります。この方法は時間を要しますが、確実に組み入れが進みます。
  この方法でエントリーできない場合は、当院には適格患者が通院していない可能性もあります。



 治験では原資料の保管期限が定められており、医師法におけるカルテやレントゲンフィルムの保管期間とは異なる規定があります。
1.J−GCP(日本の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」)の規定
  1)製造販売承認日
  2)治験の中止若しくは終了後3年を経過した日のいずれか遅い日まで
2.ICH−GCP(ICH:日米EU医薬品規制調和国際会議の略で、国際共同治験で使用される基準)の
  規定
  1)承認/開発中止後2年間&審査中の国がなくなるまで
   (現状では治験依頼者または各国の規制に委ねられることもあり、治験終了後15年間保管の
   場合もある)
 従って、現在は電子カルテおよびフィルムレスへ移行していますが、紙カルテおよびレントゲンフィルムが存在する患者様が治験にエントリ−された場合、原資料として長期保管が必要となります。
→廃棄されないよう治験にご参加いただいた患者様のカルテであることをわかりやすいように工夫しています。
●紙カルテ
表紙の下に黄色の紙をはさみ、治験名・診療科・責任医師などを明記しています。

●紙の分冊カルテ
青のマチ付き封筒で保管しています。


●レントゲンフィルム
赤のフィルム袋へ入れ、左上に治験名・診療科・責任医師などを明記し、右上あたりに撮影年を記載しています。




看護師向け治験セミナー:10月後半予定  
 被験者に直接かかわる機会の多い看護師のみなさん対象に、抗がん剤治験の特徴と抗がん剤投与の基本についてCRCとがん化学療法認定看護師から講義をします。多くの方の出席をお待ちしています。
治験セミナー(第3回目):10/14(金)予定  
 治験責任医師・分担医師をされる方は受講が必須です。受講証の有効期間は3年間です。更新が必要な方、未受講の方は今年度、最後のセミナーとなりますので、受講をお願いします。医師以外の方々の出席もお待ちしています。
臨床研究セミナー(第3回目):10/3(月)予定  
 臨床研究の倫理指針と利益相反についての講義です。臨床研究を行われる方は職種を問わずぜひ受講してください。
新規課題の申請は先着順で月に10件までとなっております。 申請数が越えた場合は、次回になりますのでご了承ください。
開催予定日 申請締切日
2011年 7月26日(火) 2011年 6月29日(水)
2011年 8月23日(火) 2011年 7月27日(水)
2011年 9月27日(火) 2011年 8月24日(水)
2011年10月25日(火) 2011年10月25日(火)
2011年11月22日(火) 2011年10月26日(水)
2011年12月27日(火) 2011年11月24日(水)
2012年 1月24日(火) 2011年12月28日(水)
2012年 2月28日(火) 2012年 1月25日(水)
2012年 3月27日(火) 2012年 2月29日(水)



編集後記  じめじめした日が続きますが、体調を崩されていませんか?
昨年度はPhaseTが本格的に開始され、関連部門の皆さまのご協力のもと順調に
進んでいます。今年度も、治験が円滑に進むよう各部門の皆さまと連携し、
サポートしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。


発行:独立行政法人 国立病院機構  大阪医療センター 臨床研究推進室




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