第16号(No.45) 平成24年3月30日





 今年度4回目の臨床研究推進室Newsをお届します。今回は、受託研究審査委員会の委員でもある木村企画課長にご寄稿いただきました。また研修報告や当室の取り組みについて報告しています!


p2 研修・実務担当者会議報告
p3 新たな治験活性化5カ年計画と当院の取り組みの総括
p4 モニタリングと監査って何?

       臨床研究を推進するために
企画課長 木村一夫

 国立病院機構は診療事業、臨床研究事業、教育研修事業を運営方針として活動しています。臨床研究事業については、全国10カ所の臨床研究センターを、62カ所の臨床研究部を設置して、治験の推進・EBM研究推進・競争的外部研究費の獲得等に積極的に取り組んでいるところです。当院においても、臨床研究推進室を設置し、機構の運営方針に沿った活動を行っています。当院に赴任してきた時は、治験及び研究の件数、金額の多さに驚いたものでした。
 研究にかかる契約及び経理業務を企画課が補助しておりますが、膨大な量の処理に日々健闘しております。元々自己完結を目指して臨床研究推進室が設置されたと聞いておりますが、かなりの部分を企画課が関与しております。原因は、CRCが会計部門にも積極的に関与し、臨床研究業務全般を統括すべきではありますが、そのような態勢になっていないのが現状です。その原因は、人数もあるでしょうが、会計業務は事務部門の業務という国時代の考えがいまだに引き継がれているからです。
 私は、国立病院機構の使命としての臨床研究を推進していくためには、受託しやすい制度づくり及び研究しやすい環境づくりと同じく臨床研究推進室の更なる態勢づくりが必要であると考えております。
 今後も企画課として臨床研究の推進のために協力を惜しみませんが、従前から行われているからと漫然と行われているところに違和感を感じましたので、あえて書かせていただいた次第です。




貴重なご意見をいただきました。
CRCは、治験・臨床研究を専門的な立場から支援し、被験者ケア、研究者の支援、検査・看護等の関連部署のコーディネーションをすることが役割です。研究の契約・経理業務は専門の経理担当者をおき、それぞれが専門性を発揮して研究支援ができる体制を検討したいと思います。











日本病院薬剤師会主催第14回CRC養成研修

臨床研究コーディネータースキルアップ研修
研修日時:平成23年8月
22日(月)
〜24日(水)
受講者:辻本有希恵

 東京で開催され参加した156名の中には、CRCとして勤務する人やこれから目指す人がいました。8月に異動した私は治験に関する知識がゼロでしたが、基本的な内容の講義で初心者にも理解につながりやすい講義でした。同意説明の演習もあり、研修生がCRC役と被験者役となり行いました。私のグループは経験者がおらず、みんなで意見を出し合い、何に注意をして説明するべきか、治験というのをどう伝えるべきかと考えながら行いました。
 被験者が医師と良好な関係をつくり治療に臨めるようサポートすることが重要な役割であると感じました。治験はCRCや医師、外来スタッフ・病棟スタッフ・薬剤科・検査科・事務など病院内の様々なスタッフの協力により行えるものであり、連携の必要性を研修に参加して痛感しました。経験が浅い今は疑問点だらけですが、学びを振り返りながら日々の業務に活かせるよう頑張っていきます。
研修日時:平成23年10月
21日(金)
〜22(土)
受講者:土井敏行

 治験研修に参加するのは6年ぶりであり、少し不安を感じながら研修に参加させていただきました。CRC経験が1年以上の薬剤師、看護師、臨床検査技師等29名が参加しました。
 1日目は、国立病院機構における臨床研究と治験の現状および今後の方向性、新たな治験活性化5ヶ年計画の今後の方針等についての講義を聴講し、治験を推進するための業務の効率化、臨床研究の活性化に向けた今後の方向性について学ぶことができました。2日目は、症例集積性の向上・効率化について3施設(金沢医療センター、大阪医療センター、岩国医療センター)より報告がありました。効率化に向けた取り組みではリモートSDV(メリット:タイムリーなSDVが可能である、SDVに移動を要しない)の報告は興味深いものでした。
 今回の研修では、特に治験の効率化・症例集積性の向上・臨床研究を推進するためにはいかにCRCの役割が重要であるかを再認識し、その重責を痛感しました。研修で習得した知識を活かしCRCとしての役割を果たしていきたいと考えています。
 平成24年2月23日(金)に「平成23年度第2回近畿ブロック内治験実務担当者会議」を開催しました。近畿ブロック内の機構施設14施設と国立循環器病研究センターから、医師・CRC・治験担当事務員等、計31名の出席がありました。今回は、@「各施設から今年度の活動報告」、A「平成24年4月1日から施行されるGCP改正に伴う体制整備について」、B「CRCの定員について」をテーマとして実施しました。
 @については、今年度宇多野病院が主任研究者を務める医師主導治験がスタートした他、他の施設でも医師主導治験に参加している報告が多くありました。Aについては、主には事務手続きに関する改正で、手続きを効率化するためのものになります。改正への対応方法について意見交換がなされ、対応にばらつきが無いよう意識統一ができました。Bについては、これまで施設の実績(研究費の請求金額)によってCRCの定員数が国立 病院機構本部より提示されていました。その定員数の計算方法が変更され、一部の施設では増員 が可能となりました。当院は、現在CRC6名の定員ですが、本部の提示は9名で3名の増員が 可能です。右の特集でも述べますが、今後は治験だけでなく臨床研究全般の支援が求められて おり、その体制整備は今後の施設の課題となります。
 近畿ブロックは、全国でも治験活性化をリードする立場にあり、今後も各施設のつながりを 大切にしながら協力して取り組んでいきたいと思います。

 平成15 年4月に文部科学省と厚生労働省は共同で「全国治験活性化3カ年計画」を策定し、治験等の活性化に取り組みました。この計画は1年延長され、平成18 年度まで実施され、平成19 年3 月には、「新たな治験活性化5カ年計画」が策定され、本年度までの5年間取り組んできました。当院での様々な取組みと結果をご報告します。

@当院の治験実施状況の変化
 当院の治験の主な対象疾患はがん領域で、全課題数の60% を占めています。また、国際共同治験が増加しており、より 複雑な治験実施計画書や英語での対応など難易度が上がって います。抗がん剤領域の第T相試験を平成22年度より本格 的に受託を開始し、現在3件実施しています。3件の内訳は、 乳腺外科2件で入院は東5階病棟、整形外科1件で入院は東 6階病棟で、いずれも問題なく実施されています。
A 治験の効率化
 これまで世界の中で日本の治験は「遅い」と言われてきた ため、治験の実施の効率化が課題とされてきました。事務 局業務の見直しにより、製薬企業が治験を依頼してIRB開催までの諸手続きは、32日→19日に短縮しました。 また、治験の実施でも平成22年度調査では、契約から1例目の被験者が組み入れられる日数は122日で、他の治験の拠点医療機関の平均値より短く、早期の組入れができています。当院の研究費は早期に組み入れるほうが研究費を減額なくもらえる仕組みになっていますので、今後も早期組み入れを目指していきます!
B 症例集積性の向上
 当院では、病診連携、病病連携を利用したネットワークを活用し、他院から治験の候補患者さんを紹介していただいています。
 紹介システム利用当初は、組み入れにつながる症例がほとんどなかったのですが、平成21年7月以降の治験では契約症例数の3割の紹介があり、紹介患者11例中10例が組み入れにつながっています。
 今後もシステムが上手く機能して早期の組み入れにつながるようにしたいと思います。


 平成24年度からは「臨床研究・治験活性化5カ年計画2012」として取りまとめられており、今後は治験はもちろん臨床研究の実施体制強化が求められます。現在、当室でもCRCの臨床研究支援体制を検討しています。
 今後の取り組みについては、今後の臨床研究推進室ニュースでご紹介していきます。


 治験の品質確保をするために省令GCP(医薬品の臨床試験の実施に関する基準)では、実施中の治験を「品質管理するモニタリング」、実施された治験を「品質保証する監査」が義務付けられています。
患者様のプライバシーを保護するため以下を実施しています。
@日を限定した専用のID・パスワードを モニターに発行(パスワードは毎回変更)
A担当する治験に参加されている患者様のカルテしか見られないよう閲覧を制限
B誤って書き込みをしないよう、参照権限のみ付与
モニタリングは治験前、中、終了後まで継続的に実施され、モニターと呼ばれる治験を依頼する製薬企業や治験業務を代行する受託機関の担当者が行います。モニターは病院で治験が患者様(被験者)の人権や安全が保護され、省令GCPや実施計画書を守って実施されているか、製薬企業へ報告されるデータがカルテに基づき正しいものであるかということを確認します。モニターが病院まで出向き実際に医療記録である電子カルテを見て確認します。


また、病院の職員以外の人がカルテを見ることになるので、患者様には治験に参加される前にモニタリングについての説明も行い、同意を得ています。カルテを確認する以外に、治験担当医師と面談を行い、副作用や治験薬との因果関係、治験薬の効果などを医師がどのように判断したのか確認もします。また、医師・CRC・モニターで進捗状況や治験の進め方に関して協議をして、双方が協力して治験を円滑に実施できるようコミュニケーションの場でもあります。

監査は、報告された治験のデータが実施計画書に従って正しく集められたということを保証するために行われます。モニターとは別の部門の担当者(治験の実施とは直接かかわらない)が、第三者の立場で検証します。モニタリングと同様に電子カルテを見るほか、院内の治験業務に関連する部門の見学をされることもあります。例えば薬剤科では治験薬が適正に管理されているか、検査科では検査機器や方法、温度管理がどのように行われているか、放射線科で使用されているCTやMRIなどの機器や精度管理の方法などを確認し、正しく実施されているということを保証します。また治験担当医師や治験コーディネーターとの面談も行い、実施状況についても確認されます。 以上のように、モニタリングも監査も治験が正しく行われるためには必要なものなのです。院内の関係部署の協力を得て実施が出来ています。



研修会のお知らせ
「平成24年度初級者臨床研究コーディネーター養成研修」が下記の通り開催される予定です。
【日時】平成24年5月14日(月)
    〜5月18日(金)
【場所】国立病院機構本部
【対象】1年未満のCRC経験者
今後CRC業務に携わる予定のある者

院内職員のCRC業務の見学を受け入れます!
 当室では院内職員を対象に随時CRC業務の見学を受け入れます!CRCってどんな仕事をしているのかな?の疑問にお答えし、実務を見学できます。
編集後記
 桜の時期が近づき、蕾がぐんぐん膨らんでいます。朝晩はまだまだ寒い日が続いていますが、みなさん体調は崩されていませんでしょうか。
 今年度も臨床研究推進室Newsをご覧いただきありがとうございました。来年度は新臨床研究センターの建築や「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」がスタートします。
今後も、みなさまのご協力とご指導いただけますようよろしくお願いいたします。

発行:独立行政法人 国立病院機構  大阪医療センター 臨床研究推進室




臨床研究センター 臨床研究推進室 トップページへ 臨床研究推進室News目次ページへ