号外 平成21年12月10日



テーマ:モチベーション向上のための研究費の算定方法と使用方法の工夫
【趣旨】
    治験の効率的な実施のための医療機関における取り組みの募集は、新たな治験活性化5カ年計画の趣旨を踏まえ、優れた取り組みを医療機関が共有する場を提供することで、他の医療機関での実施を促し、わが国全体の治験の効率的な実施に資することを目的としている。
【募集について】
・期間:2009年7月7日(火)〜8月14日(金)
・対象:医療機関及び治験ネットワーク
・方法:治験促進センターウェブサイトでの応募
・結果:応募医療機関、ネットワーク数:62 /応募取り組み数:142
【部門賞の投票について】
・期間:2009年9月28日(月)〜10月14日(水)
・治験に関連する業務に携わる方
・治験促進センターウェブサイトでの投票
・結果:投票者数:179名 /有効投票数:480票
【各賞受賞医療機関の選定方法について】
・大賞:治験促進センターの技術企画評価委員会が1題を選定
     大賞は全応募取り組み数142のなかから当院が選ばれました。
・部門賞:治験関連業務に携わる方による一般投票結果により選定
                「治験実施準備部門」「治験実施部門」「治験環境部門」「治験その他の部門」4部門
     大賞受賞「モチベーション向上のための研究費の算定方法と使用方法の工夫」は、=治験環境部門= の一般投票でも1位を獲得しました。また、「Englishへの挑戦!」も =治験その他の部門= で2位に選ばれました。
【大賞受賞式・発表】
  平成22年2月27日(土)日本医師会館(東京)で行われる予定


   治験実施者にとって、研究費の獲得は治験実施のインセンティブの1つである。当院では院内の関連部門や治験担当医師のモチベーション向上につながるよう、研究費の算定方法や使用方法に工夫を加え、運用している。

【治験担当医師のモチベーションの向上】
    当院では研究費の出来高請求に際し、早期登録促進を目指し、医師のインセンティブを考慮した独自の算定方法を作成している。

<大阪医療センターの出来高算定方法>
    契約金額のうち、症例登録の有無に関わらず必要な経費とする一部を除いた費用を出来高相当分とし、四半期ごとにその実施状況を踏まえ、請求している。当院では、実施状況を評価するにあたり、修正実施率という独自の実施率を使用している。修正実施率とは、登録期間に対する実施経過期間の割合より、その期間で実施すべき症例数に対して実際に登録した症例数の比のことであり、「修正実施率=登録症例数/[契約症例数×契約開始から調査時までの総月数/登録期間の総月数]×100」で算出する。出来高相当分の費用を四半期ごとに按分し、その金額に当該四半期の修正実施率を乗じた金額を出来高分として請求している。また、出来高分請求時には1四半期遡り、当該四半期との修正実施率の差を評価し、前四半期より修正実施率が向上している場合には、その差額分を追加で請求することとしており、請求金額の著しい減額を防いでいる。 この出来高算定方法の最大の特徴は、最終実施率は同じでも、登録スピードにより、出来高費用の請求金額が異なる点である。症例登録の遅延により、出来高相当分の請求金額が減少するが、早期に症例登録を行うことにより、請求金額が増加する可能性がある。(ただし契約金額を超えることはない。)

<取り組み>
    治験担当医師に対し、セミナー等の機会を通じ、定期的に本算定方法に関する説明を行っている。治験責任医師には、四半期ごとに当該四半期の請求金額および減額金額を通知し、意識付けを行っている。

<効果>
    早期登録により研究費の請求金額が増加する可能性があり、医師のモチベーションの向上に繋がっている。治験依頼者にとっても契約金額以上に費用が請求されることはなく、これにより治験実施のスピードアップに繋がれば利点は大きいと思われる。

【院内関連部門のモチベーションの向上】
<方法>
    国立病院機構においては、契約金額の25/130に当たる費用を各施設の院長の裁量により使用することが可能となっている。当院ではこの費用の一部を院内の関連部門へ協力金として分配している。対象は治験実施上、特に関わりが多く、連携を密にする必要がある看護部・検査科・放射線科としている。分配額は各年度の請求金額に応じ室長が決定している。年に1度開催する院内治験担当者会議に各部門の代表者も出席し、その場で分配額を伝達することとしている。この分配金の使用目的は限定されず、必要物品や出張旅費など各部門の判断で使用することが可能である。

<効果>
    各部門へ研究費を分配することにより、治験実施への協力がより得られやすい体制となっている。





当院の出来高算定方法について、もう少し詳しく説明します
★組み入れのスピードによる臨床研究費 ※1 の経費算定の比較
組み入れ期間1年の治験を、出来高算定分400万円として
  8例契約して6例実施で終了した場合
の臨床研究費の算定〜
 
*1 臨床研究費とは臨床試験研究経費+治験薬管理経費をさします







<動機>
近年当院でも国際共同治験は年々増加傾向にあり、
英語環境への対応が1つの課題となっている。
この課題における当院での対策としていくつかあげる。
<取り組み>
@ 一人に一台電子辞書の配布
A 英語勉強会 
<具体的方法>
@ 国際共同治験では、プロトコールは英語版がオリジナルであり、日本語版はあくまで参考資料である。治験を進めていくうえで解釈上疑問が生じた場合には、原文に戻って内容を確認する必要が生じる。またEDCやSAE報告書も英語であることが多く、入力・記入に時間を要する。このような状況でも、いつでも手元に自分専用辞書があれば簡単に調べることができ、自分の力で調べることも習慣になる。
A これは週一回行われる臨床研究推進室のミーティング後の時間を利用して行っている。この勉強会では英文読解をしていくうえで、担当制を取っている。治験を進めていくうえで必要な英語に慣れ親しんでいくため、英文も治験に関連した文章を選んで課題としている。具体的には英語版プロトコール、英語のGCP問題集、海外の学会発表で使用されたスライドの読み進めなどである。これらを読んでいくことで、治験関連の専門的な英単語に多くふれることができる。あらかじめ訳する担当箇所を割り当てられ、担当者は自分の訳を発表する。なお、発音については是恒臨床研究推進室長の厳しいチェックが入る。ただ他人が訳した文章を聞くだけでは身に付かず、前後の文章もある程度分かっていないと文章全体の意味が理解できないため、担当以外の文章もしっかり聞いて理解していく必要がある。
<効果>
これらの対策はすぐに結果・成果がでるというものではない。しかし英語に触れる機会を自然と増やしていくことで、日々の積み重ねがこれからますます増えていくと予想される国際共同治験をスムーズに実施していくうえで重要であると考える。またいくら英語対策といっても、回りの環境を整えてばかりで各個人が努力をしなければ前進できる課題ではないので、それぞれが「挑戦する!」という意識を強くもって積極的に取り組んでいくべきである。



 今回受賞した大賞は、臨床研究推進室のスタッフ全員にとって大変な励みになりました。従来より日本の治験は、質は高いが症例組み入れスピードが遅く、コストがかかりすぎるという評価がなされていました。受賞内容は当院独自の治験費用算定法で、対象症例を速やかに組み入れないとたとえ最終的に全症例を登録できても減額になるというもので、早期組み入れを促進する狙いがあります。元々、楠岡院長が治験センター長であったときに考案された方法で、この方式を取り入れることにより症例組み入れが経年的に早くなってきました。機構本部の算定はより単純なもので、本年度、研究経費算定が統一フォーマットでのweb入力となってからは当院もそれに倣うように指示されていました。
我々も迷うところはありましたが、今回の受賞を糧に今後もよい伝統を継承していきたいと思います。
   今後とも当院における臨床研究の推進に皆様方のご支援、ご協力をお願いします。
今年一年の締めくくりに「大賞受賞!!」というビッグニュースが飛び込んできました。この賞は院内の皆様のご協力のおかげでいただけたものであると感謝し、号外をお届けします。
 これからもスタッフ一同ますますがんばっていきますので、今まで以上にどうぞよろしくお願いいたします。

発行
独立行政法人 国立病院機構
大阪医療センター 臨床研究推進室






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