治験管理センター

楠岡英雄

 治験等の受託研究は、医療の向上への寄与を設置目的としている国立病院等が果た すべき政策医療の一分野とされ、全国の国立病院・療養所38カ所に治験管理室が設 置されている。当院においても平成11年4月に治験管理センターとして設立され、 以来、受託研究に関する契約前から研究終了までの事務的管理業務、臨床サイドでの 支援業務を行うとともに、他の一般臨床試験における倫理性・科学性の保証にも関与 し、信頼性の高い臨床試験を行うための支援を目標としている。
 当センターは、治験事務局としての機能のみならず、受託研究審査委員会(IRB) 事務局としての機能も担っている。また、受託研究以外の自主研究についても、昨年 度に定められた臨床試験(公費臨床研究、自主研究)取扱指針に従い、研究が適切に 実施されるよう審査・管理を行っている。とくに、今年度より、研究責任者には、少 なくとも年1回、実施状況をIRBに報告することが義務づけられており、IRBが承認し た自主研究においても、研究者の責任意識の向上が図られている。治験管理センター は、このような自主研究に対する取り組みに対しても、治験と同様、管理的業務を担 当している。当院において実施される臨床研究全体をより正確に把握し、適切な管理 を行うことにより、EBMにつながる有用な臨床研究の実施に寄与しているものと考え ている。
 平成13年度においては、治験を担当する医師のGCP等に対する教育として、 「治験担当医師のためのセミナー」を3回開催した。また、昨年度と同様、厚生労働 省予算に基づく治験コーディネーター養成事業における実地研修施設を引き受け、5 名の研修生を受け入れた。その他、国立病院療養所共同基盤研究「臨床研究の実施・ 管理ガイドラインの策定」の主導、「治験コーディネーターの現任教育に関する研 究」への参加、治験推進協議会主催の治験担当者研修会での講師などの活動を行って いる。
 当センターの職員は、平成13年4月に薬剤師CRC1名、事務員1名(いずれも非 常勤職員)を増員し、平成13年10月には治験薬剤師、治験看護婦各1名ずつが施 設として定員配置された。さらに、平成14年1月に看護婦CRC1名(非常勤職員) を増員し、現在、センター長、センター長補佐、CRC主任2名、事務取扱主任1 名、CRC4名、事務員2名の構成となっている。センター員増員に伴い治験のみなら ず市販後臨床試験の支援業務、その他臨床研究への関与も検討しており、今後、業務 内容をできる範囲において拡大させる予定である。

【平成13年度研究業績発表】
―著述発表―
A-1
遠藤 実、楠岡英雄、黒川 清、小林真一、中野重行、福原俊一、堀 正 二、吉矢生人、魚井 徹、編集:「治験の国際化に向けて[2]」、エルゼビア・サ イエンス/ミクス、2001

楠岡英雄井上通敏、遠藤 実、黒川 清、小林真一、中野重行、福 原俊一、堀 正二、吉矢生人、魚井 徹、編集:「治験の国際化に向けて[3]」、 エルゼビア・サイエンス/ミクス、2001

井上通敏楠岡英雄、監修:「治験-あなたの疑問にお答えし ます」、日本製薬工業協会、2001

A-4
森下典子:治験コーディネーター業務と体制。医薬品の臨床試験と CRC 281-288、2001年

A-5
森下典子堀川裕子政道修二柚本育世是恒 之宏楠岡英雄:臨床治験におけるスタートアップミーティングの評 価。臨床薬理 32:161S-162S、2001

A-6
国立大阪病院治験管理センター。Japan Medicine 15面、2001年10月<> ―口演発表―
B-1
政道修二:治験管理の電子化の事例。第3回臨床治験の国際化シンポジウ ム、大阪、2001年3月、大阪、2001年3月

B-3
楠岡英雄:国立病院・療養所における臨床研究と評価。第56回国立病院療 養所総合医学会、仙台、2001年11月

楠岡英雄:国立病院・療養所における臨床研究のあり方−特に治験推進方策 について−。第56回国立病院療養所総合医学会、仙台、2001年11月

B-4
森下典子柚本育世北川智子堀川裕子政道 修二是恒之宏楠岡英雄:CRC養成研修要項の評価。第56回 国立病院療養所総合医学会、宮城、2001年11月

政道修二北川智子柚本育世堀川裕子森下 典子西田佳奈子庄田千恵美藤村誠司是恒之宏 楠ェ英雄:治験管理システムNMGCP/Standardによる治験業務の電算化 について。第56回国立病院療養所総合医学会、宮城、2001年11月

堀川裕子北川智子柚本育世森下典子政道 修二是恒之宏楠岡英雄:治験実施管理システムによる治験業 務IT化の現状。第22回日本臨床薬理学会、神奈川、2001年12月

B-5
楠岡英雄:公益法人が設置する治験審査委員会の意義。大阪府医師会基本 的医療課題講演会「わが国治験の促進を期して」、大阪、2001年6月

楠岡英雄:近畿地区の病院におけるCRCの活動状況−アンケート調査から。パ ネルディスカッション「CRCの現状と問題点」、平成13年度第1回近畿地区治験推 進協議会、大阪、2001年8月

楠岡英雄:自主研究への取り組みの経験から。第1回CRCと臨床試験のあり かたを考える会議、大分、2001年10月

楠岡英雄:新しい治験のあり方。平成13年度血液・造血器疾患研修会 、名古屋、2001年10月

B-6
堀川裕子政道修二熊谷加奈子西田真佐夫田伏 成行小森勝也赤野威彦是恒之宏楠岡英雄: 当院の治験管理業務における薬剤科の取り組み。第22回日本病院薬剤師会近畿学 術大会、京都、2001年2月

B-8
楠岡英雄:治験管理者から見た治験の現状と問題点−依頼者への提言及び治 験の電子化について。講演会「日本における治験の推進に向けて」、東京、 2001年3月