産  科

伴 千秋

 産科的合併症は経過が急で母体・胎児に重篤な異常を来すことも多い。またそれ以 外の合併症も、非妊時とは異なる病像を呈したり、妊娠経過に重大な影響を与えるこ とがよくある。このような場合、従来の産科診療は、「とにかく早くお産を終わらせ る」ことに重心を置きすぎていた様に思う。子宮内の胎児の状態を知りようもなく、 言わばブラック・ボックスを扱っているようなものであったからやむを得ない面もあ ったのだが、例えば糖尿病妊婦では、妊娠中に胎児が胎内死亡することがあるため に、糖尿病の重症度にしたがって数週間以上も人工的に早産させていた。その結果救 われる児もあったが、逆に早産のために死亡したり重篤な後遺症を残したりした児も 多かった。
 しかし20年ほど前から胎児心拍モニタリング・超音波断層法が導入されて子宮内の 胎児の状態を推測することが可能となり、個々の事例に応じたリスク管理をすること が可能になってきた。新しい知識・技術を駆使して「とにかく早くお産を終わらせ る」という診療の陰の部分を是正し、症例に応じた適切な個別管理を行うことを通じ て、より適正な診療体系を作っていくことが当科の基本目標である。
 また、血小板特異抗原(HPA)の母児不適合による胎児・新生児の血小板減少症研 究の一環として、妊婦における抗HPA抗体の出現頻度に関する調査を赤十字血液セン ター・東大病院輸血部と共同で行っており、その成果は高く評価されている。

*産科の業績は、婦人科と共に掲載