心臓血管外科

磯部文隆

 当心臓血管外科は現在スタッフ6名、レジデント3名にて構成されている。
 対象疾患は、心臓弁膜症、虚血性心疾患等の後天性心疾患を中心に、膝下以下の末 梢血管を除く大血管及び末梢血管疾患、先天性心疾患まで幅広く心臓血管外科全般で ある。2001年には、年間124例の開心術、総数166例の心臓血管外科手術を行った。
 当科の特徴として、弁膜症に対しては、人工弁置換術だけでなく可能な限り自己弁 を温存することを基本方針とし弁形成術を積極的に施行している。人工弁置換例で は、機械弁だけでなく65才以上の年齢層患者には基本的に生体弁を選択し抗血栓性を 高めQOLの向上を目指している。したがって、年々機械弁の使用頻度は減少してきて いる。さらに、弁膜症に多く合併する心房細動の根治術として改良メイズ手術:両心 耳温存メイズ手術(BAP-maze procedure)を開発し、世界に向け紹介した。96%の高 い成功率とより良好な術後心機能・ANP分泌能の維持確保が可能なことを立証し、患 者様により良い術後QOLを提供できていることを誇っている。虚血性心疾患に対する 冠動脈バイパス術では、人工心肺を使用できない高度動脈硬化病変合併例に対し人工 心肺を使用しない冠動脈バイパス術:off pump bypass(OPCAB)を1998年から積極的 に導入し施行している。その頻度も年々増加し2001年度には冠動脈バイパス術の50% に達した。必然的に、動脈グラフトを多用することから、将来の開存率の向上が期待 される。その他、心室中隔穿孔・左室破裂などの緊急症例にも対応している。高齢化 社会を反映し近年増加している大血管疾患に対しても積極的に取り組み、その手術例 も年々増加している。待機手術は勿論、急性大動脈解離・動脈瘤破裂等の緊急手術症 例も飛躍的に増加した。残念ながら特殊性から小児例の先天性心疾患は扱っていない が、成人例では、心房中隔欠損、心内膜床欠損などを扱っている。その他、不整脈に 対する手術治療やペースメーカー植込みも施行している。
 当院の方針である高度先進医療の実施をモットーに、チーム一丸となり心疾患の診 断・治療と研究に日夜努力している。

【平成13年度研究業績発表】
―著述発表―
A-0
KATO Y, ISOBE F, KODERA K, KUMANO H, NAGAMACHI K: Mitral insufficiency associated with primary antiphospholipid syndrome and chronic renal failure. The Japanese Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 49(3): 171-174, 2001

KATO Y, ISOBE F, SASAKI Y, KUMANO H, NAGAMACHI K, ARIMOTO H: Secondary mitral valve replacement in antiphospholipid syndrome and chronic renal failure C. The Japanese Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 49(12): 728-731, 2001

ISOBE F, KUMANO H, ISIKAWA T, SASAKI Y, KINUGASA S, NAGAMACHI K, KATO Y: A new procedure for chronic atrial fibrillation: bilateral appendage-preserving maze procedure Annals of Thoracic Surgery 72:1473-1478, 2001

MIYAGAWA Y, OKA T, TAKANO Y, TAKAHA M, CHOI S, ISOBE F: Renal artery aneurysm causing hydronephrosis Urology 8:463-466, 2001

SASAKI Y, ISOBE F, KINUGASA S, IWATA K, NAGAMACHI K, KATO Y, ARIMOTO H, HATA H: Early and late outcome after reoperation for prosthetic valve endocarditis. The Japanese Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 49(4):224-229, 2001

A-3
佐々木康之磯部文隆衣笠誠二島村吉衛熊 野 浩長町恵磨加藤泰之有元秀樹:腹部大動脈瘤 症例における術前冠状動脈造影と冠血行再建術の有用性。日本心臓血管外科学会 雑誌30(2):63-67、2001

A-4
磯部文隆:心房細動の非薬物治療法 メイズ手術:治療学Biomedicine and Therapeuics 35(9):63-67、2001

―口演発表―
B-3
磯部文隆佐々木康之衣笠誠二岩田圭司:両心耳 温存メイズ手術の手術成績。第回日本心臓ペーシング・電気生理学術大会、 つくば市、2001年5月

B-4
佐々木康之磯部文隆衣笠誠二岩田圭司長 町恵磨加藤泰之有元秀樹秦 広樹:人工弁感染性 心内膜炎に対する手術治療成績。第31回日本心臓血管外科学会、宇部市、 2001年2月

B-6
有元秀樹磯部文隆佐々木康之衣笠誠二岩 田圭司長町恵磨加藤泰之秦 広樹:MRSAグラフト 感染をきたした腹部大動脈人工血管置換2症例に対する処置。第15回日本血管外科 学会近畿地方会、京都市、2001年3月

秦 広樹岩田圭司有元秀樹長町恵磨衣笠 誠二佐々木康之磯部文隆:間欠性開放位固定を認めた大動脈 弁位人工弁機能不全の一例。第44回関西胸部外科学会、大阪市、2001年6月

B-6
加藤泰之磯部文隆佐々木康之衣笠誠二岩 田圭司長町恵磨有元秀樹秦 広樹:超低体温循環 停止、順行性脳分離体外循環を用いた真性弓部大動脈瘤に対する手術成績の検討。 第44回関西胸部外科学会、大阪市、2001年6月