治験管理センター
楠岡英雄

治験等の受託研究は、医療の向上への寄与を目的とする国立病院等が果たすべき先駆的な政策医療の一分野であることから、公務として取り扱われている。当センターは平成11年4月に設立され、以来、受託研究に関し、契約前から研究終了までの事務的管理業務、臨床サイドでの支援業務を統括し、臨床試験における倫理性・科学性を保証し、信頼性の高い研究を行うための支援を行ってきている。
平成13年には、国立病院部政策医療課に設置された国立病院等治験推進検討会において、国立病院・療養所治験標準様式が取り纏められたが、当院では、これを受けて平成14年初頭に受託研究諸規程の改訂を行った。平成14年度よりこれに基づく受託研究の受け入れを行っている。
当センターは受託研究審査委員会(IRB)事務局としての機能も担っており、当院で実施される受託研究の審査が透明性を保ちつつ円滑に且つ十分な審査審議がなされるよう、情報の整理・提供を行っている。また、平成14年7月に施行された「疫学研究の倫理指針」に基づき、当院医学倫理委員会規程・臨床試験取扱指針を改訂し、従来よりIRBにて審査を行っていた自主研究に加え、疫学研究の倫理指針の対象となる研究についてもIRBにおいて審査を行い、当センターにおいて適切な実施管理がなされるようにしている。また、平成15年度4月には自主研究審査申請様式を改訂し、管理体制を整備する予定としている。受託研究のみならず自主研究をも含め臨床研究全体を正確に把握し、適切に管理することにより、EBMにつながる臨床研究の実施に寄与しようとしている。
さらに、院外の治験の推進、啓発の取り組みとして、厚生労働省主催の治験コーディネーター養成研修生の受け入れ、共同基盤研究「臨床研究の実施・管理ガイドラインの策定」、「治験コーディネーターの現任教育に関する研究」への参加を行い、また、センターの構成員は治験推進協議会・医療推進財団主催の「治験推進研修会」の講師の依頼を受けて勤めている。さらに、センター長は大阪府医師会の共同治験審査委員会の審査委員も勤めている。
当センターの定員については、平成14年1月に看護しCRC1名(非常勤職員)が増員になり、現在、センター長、センター長補佐、治験薬管理者、CRC主任2名、事務取扱主任1名、CRC4名、事務員2名の構成となっている。センター員増員に伴い、平成14年度からは、治験のみならず、新規に開始された市販後臨床試験への支援業務も行っている。来年度には治験データマネージャーを配備し、さらなる治験の質向上に寄与できるものと期待している。

【平成14年度研究業績発表】
A-1
楠岡英雄、井上通敏、遠藤實、黒川清、中野重行、福原俊一、堀正二、吉矢生人、魚井徹、編集:「治験の国際化に向けて[4]」、メディカル・パブリケーションズ

A-2
森下典子、政道修二、楠岡英雄:患者本位の医療と大学病院 インフォームドコンセント、からだの科学「増刊」21世紀の大学病院、矢崎義雄 編:112-115、日本評論社

森下典子、柚本育世、豊田俊江、北川智子、堀川裕子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄折戸哲也、池田和彦、神谷晃、渡辺耕治ほか:第7節 治験実施機関から見た事例C、「臨床試験におけるプロトコール逸脱の事例解析・防止対策集」:155-163、技術情報協会

A-3
中村直子、坂本照美、小原泉、中尾みどり、森下典子、長前キミ子、江向洋子、高戸サチエ、益子照江、内藤正子:治験コーディネータが治験内容の説明場面で用いたアプローチ。Quality Nursing 8(7):59-64

A-4
楠岡英雄:新GCPの基本について。平成14年度第1回大阪府医師会「治験セミナー」講演抄録、大阪府医師会、pp.3-10

楠岡英雄:被験者への負担軽減と健康被害補償−自主研究への取り組みの経験から。Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)、30:813-815

楠岡英雄:国立医療システムが抱える治験に係わる問題点。医療57:3-6

A-6
楠岡英雄:平成14年度海外派遣者帰国報告「ジョンズ・ホプキンス大学医学部の臨床試験」。近畿 495:6

B-1
是恒之宏:国際治験に参加して。第5回臨床治験の国際化シンポジウム、神戸、2002年9月

B-3
楠岡英雄:治験の円滑な進捗を目指した国立医療システムの構築。第57回国立病院療養所総合医学会、福岡、2002年10月 楠岡英雄:臨床試験の現状と問題点。第66回日本循環器学会学術集会、札幌市、2001年4月

楠岡英雄:臨床研究における患者保護。第42回日本核医学会総会ランチョンセミナー、神戸市、2002年11月

B-4
北川智子、豊田俊江、柚本育世、堀川裕子、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:内容治験薬の包装形態に対する被験者の意識調査。第23回日本臨床薬理学会、大阪、2002年12月

森下典子、柚本育世、豊田俊江、北川智子、堀川裕子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:一般市民の治験へのイメージから今後の被験者ケアのあり方を考える。第57回国立病院療養所総合医学会、福岡、2002年10月

柚本育世、森下典子、豊田俊江:市民公開講座のアンケート結果から治験の被験者ケアのあり方を考える。平成14年度大阪府看護協会看護研究学会、大阪、2002年12月

B-7
政道修二:治験事務局の組織と役割。平成13年度 第1回新GCPのもとでの治験推進研究会、大阪、2002年3月

森下典子:治験事務局の役割。平成13年度 第1回新GCPのもとでの治験推進研究会、大阪、2002年3月

森下典子:事例紹介。平成14年度 国立病院部治験研修会、東京、2002年9月

森下典子:医療消費者にとって望ましい治験とは。日本製薬工業協会主催パネルディスカッション、東京、2002年9月

政道修二:治験事務局の組織と役割。平成14年度 第2回新GCPのもとでの治験推進研究会、大阪、2002年12月

森内宏治:治験の契約と諸経費の算出。平成14年度 第2回新GCPのもとでの治験推進研究会、大阪、2002年12月

楠岡英雄:治験責任医師の立場から?治験実施サイドの立場から。第7回医薬品開発基礎研究会、東京都、2002年11月

楠岡英雄:治験責任医師の要件と責務及び治験分担医師の役割?治験事務局の役割。治験推進協議会平成13年度新GCPのもとでの治験推進研修会、大阪市、2002年3月

楠岡英雄:新薬の治験とその仕組み。治験推進協議会近畿ブロック市民公開講座、大阪市、2002年3月

楠岡英雄:新GCPにおける治験について。国立療養所宇多野病院院内講演会、京都市、2002年3月

楠岡英雄:新GCPの基本について。平成14年度第1回大阪府医師会「治験セミナー」、大阪市、2002年5月

楠岡英雄:治験責任医師の要件と責務。平成14年度第2回治験推進協議会「新GCPのもとでの治験推進研修会(医師向け)」、仙台市、2002年11月