泌尿器科
岡 聖次

 平成14年(2002年)も臨床面で当科が取り扱った2大疾患は、悪性腫瘍と尿路結石症であったが、平成13年の入院患者総数454名の内、悪性腫瘍患者は200名(44.1%)、尿路結石症患者は73名(16.1%)であり、悪性腫瘍患者数が始めて200名に達した。
 悪性腫瘍の病種別では、例年と同様、膀胱癌(105名)、前立腺癌(55名)、腎細胞癌(19名)が3大取り扱い疾患であった。昨年始めて前立腺癌患者数が前立腺肥大症(膀胱頚部硬化症を含む)の患者数を上回った(前立腺癌患者56名、前立腺肥大症48名)が、本年の前立腺肥大症患者数は35例と減少していることにより、その差が更に広がっている。それ故、経尿道的手術についても、前立腺肥大症に対するTUR-Pが34件であったのに対し、膀胱癌に対するTUR-BTが95件と、TUR-Pを大きく上回っていた。平成14年に膀胱癌に対し膀胱全摘を行ったのは9名であった。限局性前立腺癌に対する治療方法は、患者の年齢をも考慮して決定しているが、根治療法としては前立腺全摘除術と放射線療法があることを患者に提示し、充分なインフォームド・コンセントを行った後にどちらを選択するかを患者に決めてもらっている。放射線療法を選択される患者も多く、平成14年に前立腺癌に対し前立腺全摘除術を行ったのは6名と少なかったが、術後持続的な尿失禁を合併した症例はなかった。
 近年、腎細胞癌に対する根治的腎摘除術や部分摘除術、腎盂・尿管癌に対する腎尿管全摘除術、前立腺癌に対する前立腺全摘除術、さらには膀胱癌に対する膀胱全摘除+尿路変更術までもが、単独あるいはhand-assist下で腹腔鏡下に手術が行われるようになっている。われわれも腹腔鏡下手術を悪性腫瘍に対する治療法の選択肢に入れているが、悪性腫瘍に対する手術方法選択の最大基準は腫瘍の取り残しのない、生存率が最も高い方法を選ぶことにあることを忘れずに、ブームに流されずに、その適応を慎重に見極めていきたいと考えている。
 研究面では、当科は従来より悪性腫瘍患者のコンピューターによるデータ化を基に、臨床的検討を中心に行っているが、平成14年度は新たにまとまった検討を行うことが出来なかった。その反省を踏まえ、平成15年には、平成11年に行った当科の泌尿器科癌の臨床的検討を、その後に変更された「泌尿器科癌取り扱い基準」に則って見直しを行うとともに、毎年治療成績を更新し、ホーム・ページを通じて公開出来るシステムを構築したいと考えている。
 研修教育においては、レジデント(桃原実大)および臨床研修医(永原 哲)に対し、例年の如くに症例報告を中心に学会発表・論文化させ、また泌尿器科関連の学会や研究会には可能な限り参加するよう指導している。

【平成14年度研究業績発表】
A-0
TSUJIMURA A, MATSUMIYA K, KOGA M, MIURA H, NISHIMURA K, KITAMURA M, KONDOH N, TAKEYAMA M, TAKAHARA S, OKUYAMA A: Outcome of surgical treatment for obstructive azoospermia. Arch Androl 48: 29-36

KANAZAWA T, KONO T, WATANABE M, MATSUSHIMA-HIBIYA Y, NAKANO T, KOYAMA K, TANAKA N, SUGIMURA T, WAKABAYASHI K: Bcl-2 blocks apoptosis caused by pierisin-1, a guanine-specific ADP-ribosylating toxin from the cabbage butterfly. Biochem Biophys Res Commun. 296(1): 20-25

A-2
KITAMURA M, OKA T, MATSUMIYA K, TSUJIMURA A, OKUYAMA A, SEYA T: Prostasomal CD46 and anti-measles virus effect. "Prostasomes Wenner-Gren International Series" Ed.Ronquist G., Nilson BO.: 81-89, Portland Press, London, 2002

A-3
北村雅哉、岡聖次、奥山明彦:高プロラクチン血症とED。日本臨床60:341-343

熊本悦明、塚本泰司、広瀬崇興、松川雅則、高橋 聡、国島康晴、萩原雅彦、石橋 啓、茂田士郎、吉田 浩、今福祐司、村井 勝、渡辺清明、小林芳夫、内田 博、松田静治、佐藤新一、藤目 真、藤田和彦、猪狩 淳、小栗豊子、山口惠三、松本哲哉、樫谷総子、大江 宏、西川美年子、岡 聖次、北村雅哉、高野右嗣、松岡庸洋、古濱俊成、公文裕巳、門田晃一、河野 茂、宮崎義継、朝野和典、青木志保、餅田親子、平寫洋一:尿路感染症分離菌に対する経口並びに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第22報 2000年)その2.患者背景。THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 55:399-411

熊本悦明、塚本泰司、広瀬崇興、松川雅則、高橋 聡、国島康晴、萩原雅彦、石橋 啓、茂田士郎、吉田 浩、今福祐司、村井 勝、渡辺清明、小林芳夫、内田 博、松田静治、佐藤新一、藤目 真、藤田和彦、猪狩 淳、小栗豊子、山口惠三、松本哲哉、樫谷総子、大江 宏、西川美年子、岡 聖次、北村雅哉、高野右嗣、松岡庸洋、古濱俊成、公文裕巳、門田晃一、河野 茂、宮崎義継、朝野和典、青木志保,餅田親子、平寫洋一:尿路感染症分離菌に対する経口並びに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第22報 2000年)その3.感受性の推移。THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 55:568-655

B-4
松岡庸洋、横溝 智、甲野拓郎、北村雅哉、岡 聖次、河原邦光、倉田明彦、高野右嗣:4cm以下の腎細胞癌に対する根治的腎摘除術の検討-腎部分摘除術の妥当性について。第90回日本泌尿器科学会総会、東京、2002年4月.

公文裕巳、門田晃一、熊本悦明、塚本泰司、荻原雅彦、茂田士郎、吉田 浩、村井 勝、渡辺清明、小林芳夫、藤目 真、猪狩 淳、小栗豊子、松田静治、山口恵三、松本哲哉、大江 宏、岡 聖次、河野 茂、平潟洋一:尿路感染症分離菌に対する抗菌薬の抗菌力比較。第50回日本化学療法学会総会、神戸、2002年5月

B-6
松岡庸洋、横溝 智、新井浩樹、甲野拓郎、北村雅哉、高羽 津、岡 聖次、河原邦光、倉田明彦:MVAC療法が有効であったベリニ管癌の1例。第178回日本泌尿器科学会関西地方会、奈良、2002年2月.

桃原実大、横溝 智、甲野拓郎、北村雅哉、赤井秀行、高羽 津、岡 聖次、河原邦光、倉田明彦:腎leiomyoma の1例。第179回日本泌尿器科学会関西地方会、千里、2002年6月

甲野拓郎,横溝 智,桃原実大,松岡庸洋,北村雅哉,高羽 津,岡 聖次,河原邦光,倉田明彦:腹壁より発生したと考えられた骨外性骨肉腫膀胱浸潤の1例。第179回日本泌尿器科学会関西地方会、大阪、2002年6月

桃原実大、永原 啓、甲野拓郎、北村雅哉、赤井秀行、高羽 津、岡 聖次、河原邦光、倉田明彦:成人Mesoblastic nephroma の1例。第181回日本泌尿器科学会関西地方会、泉佐野、2002年12月