心臓血管外科
磯部文隆

 当科は、弁膜症、虚血性心疾患等の後天性心疾患を中心に、大血管疾患と膝下末梢血管を除く末梢血管疾患、先天性心疾患まで幅広く心臓血管外科全般を対象としている。
 弁膜症としては、リウマチ性弁膜症から変性性性弁膜症への疾患内容の変化に応じ、人工弁置換術だけでなく可能な限り自己弁を温存する方針で弁形成術を目指している。弁膜症に多く合併する心房細動には、不整脈根治術として心房細動根治術としてのメイズ手術を積極的に行い97%の成功率を得ている。メイズ術後の心房血液運搬能とリザーバー機能の改善、心房性利尿ホルモン分泌能の温存、さらに術式の簡素化をめざした両心耳温存メイズ手術を考案し実施している。虚血性心疾患として、冠動脈バイパス術では動脈グラフトを積極的に使用する方針を取り、近年、疾患の重症度から約60%の症例で人工心肺を使用しないoff pump bypass(低侵襲手術)を施行している。心室中隔穿孔、左室破裂までの緊急事態にも対応している。大血管疾患に対しては高齢者の増加にともない手術症例が増加しており、特に大動脈瘤破裂・急性解離性大動脈瘤などの緊急手術にも周辺医療施設と緊密に連絡を取りながら積極的に対応している。その他、不整脈に対する手術治療やペースメーカー治療を行っている。また、無輸血手術を施行すべく努力している。日常診療だけでなく、高度先進医療を施行すべく、循環器疾患の研究にも努力している。

【平成14年度研究業績発表】
A-2
磯部文隆:不整脈の外科治療「循環器疾患最新の治療」366-371、南江堂、東京

A-3
佐々木康之、磯部文隆、衣笠誠二、岩田圭司、文元建宇、加藤泰之、有元秀樹、秦 広樹:腹部大動脈瘤術後吻合部仮性動脈瘤十二指腸穿破の1救命例。日本心臓血管外科学会雑誌31(5):363-366

B-3
磯部文隆、佐々木康之、岩田圭司、衣笠誠二、文元建宇、有元秀樹、秦 広樹、齋藤素子:心シンポジウムU房細動根治療法の中・長期遠隔期成績-内科は外科を乗り越えられるか?-。心房細動に対する両心耳温存メイズ手術(BAP-maze)の中期手術成績。第17回日本ペーシング・電気生理学会、富山、2002年5月

磯部文隆:サテライトシンポジウムT「心臓術後の不整脈-最近の進歩-」。第17回日本ペーシング・電気生理学会、富山、2002年5月

磯部文隆:教育セッションTリードトラブル「1.小児ペースメーカー植え込みにおけるリードトラブル-特に心筋電極について-」。第17回日本ペーシング・電気生理学会、富山、2002年5月

B-6
齋藤素子、岩田圭司、秦 広樹、有元秀樹、文元建宇、衣笠誠二、佐々木康之、磯部文隆:AAE,ARに脳合併症を伴った急性解離(Stanford A)をきたし急性左心不全を呈した1症例。第16回日本血管外科学会近畿地方会、大阪、2002年3月

文元建宇、磯部文隆、佐々木康之、衣笠誠二、岩田圭司、有元秀樹、秦 広樹、齋藤素子:Tracheo-Innominate artery fistula(TIF)の一手術救命例。第16回日本血管外科学会近畿地方会、大阪、2002年3月

齋藤素子、岩田圭司、佐々木康之、衣笠誠二、文元建宇、秦 広樹、有元秀樹、磯部文隆:急性脳梗塞を発症した症例での開心術手術時期についての検討。第45回関西胸部外科学会、津市、2002年6月

B-8
磯部文隆:最近の心臓血管外科領域の進歩。第21回東大阪地区臨床懇話会、東大阪市、2002年10月