治験管理センター
 
楠岡英雄
 治験を含む受託研究は、国立病院等が果たすべき先駆的な政策医療の一分野であり、公務として取り扱われている。当センターは設立以来、受託研究の契約前から研究終了まで、事務的管理業務、臨床サイドでの支援業務を統括・実施し、臨床試験における倫理性・科学性の保証、信頼性の高い研究を行うための支援を目標に業務展開してきている。また、当センターは受託研究審査委員会(IRB)事務局としての機能も担っており、当院で実施される受託研究の審査の透明性を保ち、また、円滑且つ十分な審議がなされるよう、情報の整理・提供を行っている。
 平成15年4月には、自主研究の審査申請様式について全面改訂を行うとともに、受託研究のみならず自主研究をも含めた研究の実施状況を把握し、適切に管理するための体制の整備を行ってきた。平成15年7月に厚生労働省からの「臨床研究に関する倫理指針」が施行され、その影響により自主研究の審査申請が増加している。平成15年1月〜12月の間に、新規研究100件を審査したが、内訳は受託研究55件、自主研究45件であった。また、平成15年7月30日付けの省令GCPの改訂により医師主導の治験が実施可能となったが、今後、医師主導型治験が当院でも実施可能となるように環境を整備する必要がある。またこれに伴い、審査申請の益々の増加が見込まれ、治験管理センターのさらなる機能強化、効率化を推し進めていく必要があると考えられる。
 院外の活動にもセンターとして積極的に取り組んでいる。各種学会・研究会での発表は、ほぼ例年通りに行っている。また、国立病院療養所共同基盤研究「臨床研究の実施・管理の質の向上に関する研究」(研究代表者:楠岡英雄)、「看護職に対する治験の啓発活動とその効果に関する研究」(研究代表者:小原泉)へ参加している。教育・研修への貢献として、前年同様、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構主催(厚生労働省委託)の治験コーディネーター養成研修の実習施設となり、治験推進協議会・医療研修推進財団主催の「新GCPのもとでの治験推進研修会」ではセンター員が講師を勤めている。さらに、地域への貢献として、センター長・楠岡は、大阪府医師会の共同治験審査委員会の審査委員を勤めている。
 当センターの構成員は、現在、センター長、センター長補佐、治験薬管理者、治験コーディネーター主任2名、事務取扱主任1名、治験コーディネーター4名(1名欠員)、事務員2名である。さらに、今後はデータマネージャーを配備し、さらに治験の質を向上させていきたいと考えている。

【平成15年度研究発表業績】
A-2
楠岡英雄:治験責任医師の立場から見たグローバルプロトコールの問題点−治験医師の立場から。pp.100-113、第7回医薬品開発基礎研究会講演記録集、医薬品開発基礎研究会、東京、2003年

A-4
楠岡英雄:国立医療システムが抱える治験に係わる問題点、医療57:3-6, 2003

堀川裕子、北川智子、豊田俊江、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:国立大阪病院におけるワークシート作成の工夫点・注意点、PHARM STAGE 3(4):25-32, 2003年11月

A-5
北川智子、豊田俊江、柚本育世、堀川裕子、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:内用治験薬の包装形態に対する被験者の意識調査、臨床薬理、34: 219S-220S, 2003

B-3
楠岡英雄:医療研修会「治験推進のために」:治験支援センターの役割。第45回日本消化器病学会大会、大阪、2003年9月

B-4
堀川裕子、北川智子、駐cかおる、豊田俊江、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:治験薬管理業務の評価に関する検討。第58回国立病院療養所総合医学会、札幌、2003年10月

森下典子、小原泉、坂本照美、中村直子:看護職の治験に対する認識調査。第58回国立病院療養所総合医学会、札幌、2003年10月

堀川裕子、北川智子、駐cかおる、豊田俊江、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:治験薬管理経費に関する検討。第24回日本臨床薬理学会、横浜、2003年12月

堀川裕子、北川智子、豊田俊江、森下典子、政道修二:国立病院大阪医療センターにおけるワークシート作成への工夫点・注意点。第3回CRCと臨床試験のあり方を考える会議、東京、2003年12月

B-5
森下典子:治験チームとの連携。第58回国立病院療養所総合医学会CRC意見交換会、札幌、2003年10月

B-7
堀川裕子:モニタリングと監査の実際。平成14年度 第1回新GCPのもとでの治験推進研究会、大阪、2003年8月

B-8
楠岡英雄:医薬品情報等の共有の必要性とその課題について。医薬品情報等の共有化に関する講演会、大阪、2003年3月

楠岡英雄:GPCの基本事項,特に治験責任医師の責務について。平成15年度第1回大阪府医師会「治験セミナー」、大阪、2003年5月

森下典子:治験のしくみと看護職のかかわり。国立療養所宇多野病院院内講演会、京都、2003年8月

楠岡英雄:公開パネルディスカッション「臨床試験におけるIRB」事例報告。平成15年度第1回近畿地区治験推進協議会、吹田、2003年9月

楠岡英雄:シンポジウム「被験者の保護について」:治験における被験者に対する医師の責任について。平成15年度第1回東北地区治験推進協議会、仙台、2003年9月

楠岡英雄:治験・臨床研究の実施体制について。第29回近中セミナー、公立学校共済組合近畿中央病院、伊丹、2003年12月