眼 科
斉藤喜博
 

当院における研究は、豊富な手術件数をもとにした多くの臨床症例による臨床研究が主になっている。網膜硝子体疾患の分野では糖尿病網膜症の治療 成績、黄斑部疾患の視機能評価法、稀な網膜疾患の症例報告、緑内障疾患においては難治である血管新生緑内障の治療成績、ぶどう膜炎に続発した緑内障に 対する解析など、また、角膜疾患やぶどう膜炎の治療においても最先端の研究成果をあげている。また、数名の医師は国内学会の座長として、あるいはシン ポジウムの演者として招かれ、高い評価を受けている。このように国内外を問わず、さまざまな学会報告や論文投稿、医学書の執筆がなされている。
 当院眼科の臨床実績として他に誇るべき代表的なものは手術である。その数の多さと質の豊富さにおいては、他の一般総合病院眼科を圧倒するものがあ る。その対象疾患の多彩さだけではなく、術後の視機能の保持という手術の質に重きをおいている。2002年の眼科における総手術件数は総計1740件であり、 前年と比較して約15%増加した。内訳は@白内障手術(水晶体摘出術)1116件、(うち超音波摘出術 1088件)うち眼内レンズ挿入術併施のもの1104件  B緑内障手術133件 C網膜復位術 46件 D硝子体手術(硝子体茎離断術、増殖硝子体網膜症手術、網膜下手術) 309件 Eその他 100件。と多種、多 岐にわたる。当院の研究はこのような豊富な臨床症例をもとにしての臨床研究が主になっている。
 とくに網膜硝子体疾患や緑内障疾患においては、毎年さまざまな学会報告や論文が上梓されている。とくに硝子体手術では、施設基準の50例の6倍にもな るなど、黄斑部疾患や糖尿病網膜症への硝子体手術では、近畿圏では最終病院のひとつであるし、新生血管緑内障の手術治療では、国内随一の症例数を誇っ ている。米国フロリダ州で開催されるARVOという世界の眼科・視科学をリードする国際学会でも2001年には5題、その後もまた例年演題が採用されるなど、 国際的にも大きな評価を受けている。
 さらに当院の特徴のひとつであるAIDS基幹病院の眼科として、AIDSの眼合併症に対する重要な症例報告をはじめとする臨床研究がおこなわれている。さら に角膜疾患やぶどう膜炎の治療の分野においても国内をリードする研究成果をあげている。
 このような手術内容や手術機器の充実度に比べて、臨床検査機器の方面ではまだまだ国際的に最先端の機器を備えているとはといえない。そのため、より 一層の充実を目指して、最新の設備の充実によりさらなる臨床研究を推し進めていく予定である。
 進行中の具体的なプロジェクトとしては次の項目がある。血管新生緑内障、ぶどう膜炎に合併した併発緑内障の治療。SGBによる眼血流変化の臨床的評 価。硝子体手術のあたらしい術式の開発研究。黄斑部疾患、特に黄斑円孔の視機能の評価。AIDSの眼合併症の診断と治療。眼科画像データのデジタル化 ならびにデータベース作成。さらに、国立病院政策医療ネットワークの一員として、緑内障、加齢黄斑変性の遺伝子診断についての研究が開始される予定で ある。

【平成15年度研究業績集】
A-0
KIUCHI Y, OKADA K, ITO N, HAYASHIDA Y, FUKUI K, OHNISHI T, ISHIMOTO I, SAITOH Y. Effect of a single drop of latanoprost on intraocular pressure and blood-aqueous barrier permeability in patients with uveitis, Kobe J Med Sci. 48:153-9, 2002

UEMOTO R, SAITO Y, SATO S, IMAIZUMI A, TANAKA M, NAKAE K. Better Success of Retinal Reattachment with Long-standing Gas Tamponade in Highly Myopic Eyes, Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 241:792-796, 2003

KOREKANE H, TAGUCHI T, SAKAMOTO Y, HONKE K, DOHMAE N, SALMINEN H, TOIVONEN S, HELIN J, TAKIO K, RENKONEN O, TANIGUCHI N. Purification and cDNA cloning of UDP-GlcNAc: GlcNAc?1-3Gal?1-4Glc(NAc)-R [GlcNAc to Gal]??1,6N-acetylglucosaminyl transferase from rat small intestine: a major carrier of dIGnT activity in rat small intestine. Glycobiology, 13:387-400, 2003

A-2
塩谷易之、前田直之:角膜トポグラフィー、「角膜クリニック第2版」、177-184、医学書院、東京、2003.

A-3
林田康隆、木内良明、福井佳苗、大西貴子、石本一郎、斉藤喜博:血管新生緑内障患者にラタノプラストを1回点眼した時の眼圧と血液房水関門の透過性 の変化。眼科臨床医報 97:1-7、2003.

伊藤重雄、木内良明、中江一人、塩谷易之、浜中紀子、岡田康平、相馬剛至、伊東奈美、斉藤喜博:血管新生緑内障でのマイトマイシンC併用線維柱帯切除 術成績に影響する因子。眼紀 54:892-897、2003

伊東奈美、木内良明、岡田康平、中江一人、塩谷易之、浜中紀子、相馬剛至、伊藤重雄、斉藤喜博、木田一男:マイトマイシンC併用線維柱帯切除術後に生 じた晩期低眼圧黄斑症の治療。眼紀 54:907-911、2003

細田ひろみ、尾藤誠司、長谷川貴子、野田徹、田中靖彦、水野谷智、瀬川要司、柳田隆、山本美保、砂川光子、斉藤喜博、石本一郎、大島浩一、小木曾正 博、高木郁江、久保田敏昭、手島倫子:白内障手術患者のクリティカルパス ―患者立脚型医療アウトカムにより臨床評価―。臨床眼科 57:1125-28、 2003

斉藤禎子、椿森省二、阪本吉広、岡本紀夫、福田全克:透析中の糖尿病網膜症患者における眼循環動態。日本眼科紀要、54:172-175、2003

A-4
木内良明:プロスタグランジン関連薬処方時の留意点。「月刊眼科診療プラクティス98 緑内障診療のトラブルシューティング」根木昭、133、2003

木内良明:術後の視力低下。「月刊眼科診療プラクティス98 緑内障診療のトラブルシューティング」根木昭、173,文光堂、東京、2003

木内良明:中心視野消失。「月刊眼科診療プラクティス98 緑内障診療のトラブルシューティング」根木昭、173,文光堂、東京、2003

伊東奈美、木内良明:低眼圧黄斑症はいつ、どうするか。「月刊眼科診療プラクティス98 緑内障診療のトラブルシューティング」根木昭、174,文光堂、 東京、2003

木内良明:悪性緑内障の処置。「月刊眼科診療プラクティス98 緑内障診療のトラブルシューティング」根木昭、175,文光堂、東京、2003

岡田康平、木内良明:濾過胞炎の治療。「月刊眼科診療プラクティス98 緑内障診療のトラブルシューティング」根木昭、175、文光堂、東京、2003

岡田康平、木内良明:眼内炎と硝子体手術の実際 。「月刊眼科診療プラクティス98 緑内障診療のトラブルシューティング」根木昭、178、東京、文光堂、 2003

塩谷易之:全層角膜移植術、術後浅前房。「月刊眼科診療プラクティス101 前眼部疾患のトラブルシューティング」根木昭、111、文光堂、東京、2003

塩谷易之:全層角膜移植術、術後虹彩前癒着。「月刊眼科診療プラクティス101 前眼部疾患のトラブルシューティング」、111、文光堂、東京、2003

塩谷易之:全層角膜移植術、術後縫合不全。「月刊眼科診療プラクティス101 前眼部疾患のトラブルシューティング」、112、文光堂、東京、2003.

B-2
OKADA K, KIUCHI Y, HAMANAKA N, SHIOTANI Y, SAITO Y, NAKAE K, ITO N, ITO S, NISHIDA K:Trabeculectomy With Mitomicin C in Uveitic Glaucoma. ARVO Annual Meeting、Fort Lauderdale、Florida USA、2003.5.4-9

B-4
木内良明、森和彦、大鳥安正、狩野廉:インストラクションコース 関西緑内障道場-レクトミー術後管理の奥義。第26回日本眼科術学会、京都、2003年1月

阪本吉広、岡本紀夫、斎藤禎子、福田全克、西川憲清:透析導入による糖尿病網膜症への長期の影響。第9回糖尿病眼学会総会、仙台、2003年3月

前田真貴子、山本勇、西田真理、藤尾慈、元村卓嗣、五十嵐敢、阪本吉広、岡本紀夫、福田全克、東純一:メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素の遺伝子多型 と糖尿病網膜症および腎症との関係。第9回糖尿病眼学会総会、仙台、2003年3月

牧野里砂、日下俊次、大路正人、瓶井資弘、生野恭司、五味文、斉藤喜博、林篤志、田野保雄:糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術の長期予後と内境界膜剥 離の効果。第107回日本眼科学会総会、福岡、2003年4月

藤岡佐由里、辛島薫子、西川憲清、斉藤喜博:糖尿病患者における血清アルブミン値と眼所見およびカラードップラー所見。第107回日本眼科学会総会、福岡 、2003年4月

長野弘、陳慶文、熊澤俊彦、中山幸晴、城森孝仁、斉藤喜博、田野保雄:エンドセリン1、誘発家兎眼循環障害モデルにおける視神経乳頭血流量に対する Kallidinogenaseの作用。第107回日本眼科学会総会、福岡、2003年4月

大下貴志、牧野里沙、藤井清美、田中雅子、日下俊次、佐藤達彦、斉藤喜博、大路正人、田野保雄:小児の家族性滲出性硝子体網膜症に伴う網膜剥離に対す る手術成績。第59回日本弱視斜視学会・29回日本小児眼科学会総会、神戸、2003年6月

西田健太郎、木内良明、中江一人、塩谷易之、岡田康平、斉藤喜博、大鳥安正、桑山泰明、狩野廉:偽落屑症候群に対する治療戦略(トラベクレクトミーか、 トラベクロトミーか)。第57回日本臨床眼科学会、名古屋、2003年10月

岡田康平、木内良明、伊東奈美、斉藤喜博、中島正之、水谷泰之、桑山泰明、大鳥安正、池田恒彦、湯浅武之助:ぶどう膜炎続発緑内障と原発開放隅角緑内 障の線維柱帯切除術術後成績。第57回日本臨床眼科学会、名古屋、2003年10月

藤岡佐由里、辛島薫子、斉藤喜博、西川憲清:内頚動脈閉塞性病変(70%以上狭窄)を有する患者における眼動脈カラードップラー所見。第57回日本臨床眼 科学会、名古屋、2003年10月

木内良明、森和彦、大鳥安正、狩野廉:インストラクションコース 関西緑内障道場-レクトミー術後管理の奥義 パート2。第57回臨床眼科学会、名古屋、 2003年10月

西田健太郎、斉藤喜博、中江一人、塩谷易之、阪本吉広、濱中紀子、岡田康平、北口善之、高橋睦:ICGを用いたILM剥離後の視野障害を認めた2例の検討。 第42回日本網膜硝子体学会総会、福岡、2003年12月

B-5
木内良明:正常眼圧緑内障の薬物治療。 第15回置賜眼科医会、山形、2003年4月

斉藤喜博:パネルディスカッション「眼科手術小物」。ネオサージェオンファイトクラブ、京都、2003年5月

斉藤喜博:特別講演「糖尿病網膜症アップデート」。第5回甲子園内科眼科糖尿眼カンファレンス、2003年6月

斉藤喜博:特別講演「糖尿病網膜症と眼循環」。第32回京滋眼科臨床懇話会、京都、2003年6月

木内良明:緑内障治療の謎。関門症例検討会、北九州、2003年6月

木内良明:緑内障薬物療法と手術療法の境界線。岡山水島・玉野地区眼科勉強会、玉野、2003年9月

木内良明:緑内障治療の落とし穴。大阪府眼科医会中央区南支部勉強会、大阪、2003年10月

木内良明:緑内障薬物療法 NTGの治療戦略。旭川眼科医会、旭川、003年10月

木内良明:緑内障治療の落とし穴。福井県緑内障セミナー、福井、2003年11月

斉藤喜博:パネルディスカッション「眼科手術合併症」。ネオサージェオンファイトクラブ、大阪、2003年11月

B-6
牧野里砂、日下俊次、大路正人、瓶井資弘、生野恭司、五味文、斉藤喜博、林篤志、田野保雄:糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術の長期予後と内境界膜剥 離の効果。第332回大阪集談会、大阪、2003年2月

伊藤重雄、塩谷易之、西田健太郎、伊東奈美、岡田康平、濱中紀子、中江一人、木内良明、斉藤喜博:クロルヘキシジン点眼が著効したアカントアメーバ角 膜炎の1症例。第332回大阪集談会、大阪、2003年2月

伊藤重雄、塩谷易之、西田健太郎、伊東奈美、岡田康平、濱中紀子、中江一人、木内良明、斉藤喜博:クロルヘキシジン点眼が著効したアカントアメーバ角 膜炎の1症例。第27回角膜カンファレンス、軽井沢、2003年2月

木内良明:視野障害の進行になかなか気づかれなかった1例。第3回近畿眼科オープン、大阪、2003年7月

藤岡佐由里、辛島薫子、斉藤喜博、西川憲清:内頚動脈閉塞性病変(70%以上狭窄)を有する患者における眼動脈カラードップラー所見。第336回大阪集談 会、大阪、2003年10月

高橋睦、北口善之、西田健太郎、岡田康平、濱中紀子、阪本吉広、塩谷易之、中江一人、斉藤喜博、建林美佐子、木内良明:シリコーン眼内レンズにみられ たレンズ後面石灰化の一例。第336回大阪集談会、大阪、2003年10月

B-8
木内良明:加齢と眼。心斎橋ロータリー「ロータリー卓話」、大阪、2003年7月