麻酔科
 
平田隆彦
日常の手術麻酔や術後管理を通しての臨床研究が中心である。その主流をなすものは術後痛対策であり、ことに硬膜外沈痛法では投与薬の選択、至適投与量の決定など、より有効な術後鎮痛法を目指して検討を重ねてきた。すなわち硬膜外鎮痛法の導入→非麻薬性鎮痛薬の間欠投与から持続投与への移行→麻薬の持続投与→局所麻酔薬の添加と推移し、一連の研究は1996年度の大阪大学麻酔集中治療学術奨励賞を受賞した。さらに鎮痛効果と副作用発現について検討し、鎮痛薬の過量投与が副作用の原因であることを明らかにした。すなわち投与量を減じることによっても鎮痛効果に影響せず、且つ副作用のない、より快適な鎮痛法の確立は理にかなっている。この流れに沿って次年度は患者自身による疼痛管理(PCEA)へと研究を進めていく予定である。
 今後の課題としては;
1) 鎮痛法の定時処方化:“痛みがあっての鎮痛薬投与”ではなく、“痛がらせないことを目標とした疼痛管理”を目標とする。
2) 術後痛の自然経過に見合った投薬:術後痛は癌末期疼痛と異なり、時間の経過とともに軽減する。このため投薬も漸減法を用い、過量投与による副作用を防止する。
3) 早期離床の評価:鎮痛効果についてはこれまで検討してきたが、運動量の評価が行われていない。
4) 硬膜外麻酔以外の鎮痛法の確立:血液凝固異常などのために硬膜外穿刺の行えない患者に対しては持続静脈内投与などの鎮痛法を確立する必要がある。
などが残されている。

【平成15年度研究発表業績】
A-0
HASEI M, HIRATA T, MORI T: The Inexpensive and Easy-to-Use Stopper to Reduce the Leakage of Waste Anesthetic Gases During Inhaled Induction, Anesthesia & Analgesia 96(5):1527, 2003

A-2
清水智明:神経疾患合併妊婦、「周産期麻酔マニュアル」木内恵子、北村征治:311-313、真興貿易、東京、2003年11月

A-3
長谷井真理、稲森紀子、人見一彰、谷上博信、平田隆彦、森隆比古:急性肺血栓症の集中治療。麻酔52(1):14-19、2003

長谷井真理、平田隆彦、西原秀信、谷上博信、高階雅紀、森隆比古:吸入麻酔薬を併用した麻酔導入時の麻酔科医の職業的曝露。麻酔52(4):394-398、2003

長谷井真理、西村匡司、西原秀信、谷上博信、平田隆彦、森隆比古:急性期に限り筋弛緩薬を併用し肺保護を行ったacute respiratory distress syndromeの一症例。日本集中治療医学会雑誌:10(4):369-370、2003

B-3
西原秀信、谷上博信、長谷井真理、太田典之、梁 勉、平田隆彦、森隆比古:ハイリスク胸部大動脈瘤手術の術後管理の検討。第30回日本集中治療医学会総会、札幌、2003年2月

B-4
玉井裕、岡田俊樹、赤松哲也、渋谷博美、谷口洋、清水智明:経動脈エコー検査による周術期脳循環リスクの評価。日本麻酔科学会第50回学術集会、横浜、2003年5月

土井真太郎、平田隆彦、梁 勉、西田朋代、大田典之、森隆比古:当院における心破裂症例(8例)の検討。日本麻酔科学会第50回学術集会、横浜、2003年5月

B-6
日生下由紀、太田典之、平田隆彦、森隆比古:Brugada症候群患者の麻酔経験(2症例報告)。第48回日本麻酔科学会関西地方会、大阪、2003年9月