精神・神経科
谷口典男
 当科では、外来診療・入院診療としての神経科(神経内科)と外来診療としての精神科の2診療部門を統合することにより、より包括的、全人的な立場にたった医療を志している。          
 具体的には、神経科(神経内科)診療では、政策医療である神経難病を中心にパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、重症筋無力症などの治療を行っている。また、精神科診療においては、外来診療で可能な疾患の治療にあたっており、うつ病、神経症などを中心に診療をおこなっている。なお、心療内科に関しては、現在、水曜日の初診のみ診察を行っている。

【科案内】
 1.スタッフ
部長     谷口典男   
医員     真野恵子
レジデント   廣瀬千治
レジデント   滝沢義唯
研修医    竹村泰隆 
臨床心理士 西村輝明  
招聘医師   上西圀宏、槇永剛一
 
2.カンファレンス
抄読会火曜日午後5時半から7時
 入院カンファレンス水曜日午後1時半から4時半
      
【成果】
 神経科疾患については、政策医療である神経難病、特にパーキンソン病に対して、積極的に取り組んできた。パーキンソン病の診断治療ガイドラインとパーキンソン病教室を軸に診療にあたっている。慢性炎症性脱髄性多発神経根症(CIDP)、ギランバレー症候群に大量免疫グロブリン療法が認可されたため、従来より、積極的な治療が可能になり、入院治療のみならず外来治療においても治療を継続している。また、眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頚にボツリヌス毒素による治療も行っている。
 精神疾患については、外来部門のみならず、院内での精神症状について、リエゾン精神医学としてコンサルテ−ションに応じている。
 
【臨床研究のテーマ】
1. パーキンソン病におけるwearing-off現象に関する薬物動態的研究
2. 筋萎縮性側索硬化症における段階的告知に関する研究

【教育方針】
 高齢化社会、ストレス社会を迎え、精神神経科領域への要求は、複雑化、多岐化をきたし、患者数は、これから益々増加するものと考えられる。
 当科では、従来、神経内科と精神科に分けられていた領域を統合的に扱うことにより、より総合的な診断とプラクテカルな治療を行おうと試みている。
 神経内科領域では、中枢性神経疾患、末梢性神経疾患、筋疾患の診断治療の修得をめざす。精神科領域では、内因性の精神病、神経症、人格障害などの疾患を扱い、身体他科病棟で発生する精神症状への対応(リエゾン精神医学)も学ぶことができる。
 さらに当院においては、日本神経学会教育関連病院に指定されているために、神経内科認定医の取得が可能である。また精神保健指定医取得のための精神科臨床研修も積むことができる。
 また、研修医、レジデント期間中に日本神経学会ならびに日本精神神経学会への発表、また一流雑誌への論文投稿を行うように指導している。

【将来計画】
 神経内科疾患に関しては、神経難病を中心とした診療を継続し、治療のみならず、パーキンソン病教室のような将来的なQOLを含めた形での取り組みをしていきたい。
 精神疾患においては、外来通院治療並びに院内で生じる精神症状への対応(リエゾン精神医学)に重点をおいていくつもりである。特にうつ病などの内因性精神疾患においては、できるだけ十分な維持療法に心がけ、再発予防を目標としている。
 さらに、当科の特徴をいかして、神経内科と精神科部門にわたる、痴呆やてんかんなどの疾患にも、疾患の治療のみならず、家族を含めた心理的なサポートをしていきたいと考えている。
 国立病院の使命としての治験にも努力していきたいと考えている。現在は,アルツハイマー型痴呆、うつ病の治験を取り扱っている。
 医療経済を声高くいわれる時代に入り、精神神経疾患もいかに合併症、随伴症状をおこさずに、予防医学的な見地から治療にあたることを要求されている。このような視点も考慮に入れたより実践的な医療を心がけていきたい。  

【平成15年度研究業績発表】
A-3
谷口典男、真野惠子、廣瀬千治、滝沢義唯、篠崎和弘:小鋭棘波様の脳波を認めた高齢期発症のてんかん。精神医学、45巻, 667-669, 2003