心臓血管外科
磯部文隆
診療科の特徴
 当科では、若年者を除く先天性心疾患、心臓弁膜症、虚血性心疾患等の後天性心疾患を中心とし、近年高齢化社会を反映し増加している大血管疾患および膝下抹消血管を除く血管疾患まで幅広い心臓血管外科全般を診療対象としている。
 弁膜症での人工弁置換術においては、年齢・性別を考慮して代用弁を選択し、積極的に生体弁を使用する方針をとっている。また、僧帽弁では、可能な限り自己弁を温存する方針であらゆるテクニックを用いて弁形成術を試みて高率に成功している。大動脈弁においても、弁輪拡大による閉鎖不全例では自己弁温存術式を施行している。
 虚血性心疾患として、冠動脈バイパス術では動脈グラフトを積極的にしようする方針を取り、また動脈硬化病変の憎悪傾向から塞栓症防止の目的で人工心肺を用いない低侵襲冠動脈バイパス術(off pump bypass:OPCAB)に積極的に取り組み、約60%の症例に実施している。心室中隔穿孔・左心室破裂などの緊急事態にも対応している。
 大血管疾患として、待期的手術は勿論、解離性第動脈瘤・動脈瘤破裂など急性大血管疾患の緊急手術にも積極的に対応している。
 特に当科では不整脈手術に努力しており、弁膜症に合併する心房細動例には根治術として独自に開発した両心耳温存メイズ手術を積極的に実施し96%の成功率を得ている。その他、ペースメーカー植込みも施行している。
 手術のみでなく、心疾患の診断・術後評価のため心臓血管外科としても心臓カテーテル検査および心臓超音波検査を実施している。

【平成15年度研究発表業績】
A-2 
心室頻脈の外科治療:「心不整脈学」362-368 南江堂、東京

B-6 
村上忠広、磯部文隆、佐々木康之、岩田圭司、衣笠誠二、斉藤素子、元木学:維持透析未導入慢性腎不全症例の腎機能温存におけるOPCABの有用性の検討。第46回関西胸部外科学会、京都、2003年6月

元木学、磯部文隆、佐々木康之、衣笠誠二、岩田圭司、村上忠広、斉藤素子:偶然発見された左室内腫瘍の1手術例。第46回関西胸部外科学会、京都、2003年6月

秦雅寿、岸本英文、川田博昭、三浦拓也、帆足孝也、中島徹、萱谷太、稲村昇、石井円、角由紀子:閉鎖式右室滅圧術後の二心室修復への予後規定因子の検討。第46回関西胸部外科学会、京都、2003年6月