薬剤科
赤野威彦
 平成10年4月より開始された院外処方箋の前面発行も、15年度において88.7%強を推移しているが、当初目標(かかりつけ薬局の推進、面分業の推進、90%以上の発行等)より若干低下しつつある状況です。
 今回、経営改善の一環として院外発行率93%(平成10年4月以降の最大発行率)を目標に本年1月より院外発行推進を実施しています。
 院外処方箋前面発行を契機に又、独立行政法人化へ抜けた薬剤科として、薬剤科員一人一人が危機意識を持ち、経営改善恵の積極的な取り組みと患者中心の医療を目指し、医師、看護師、また他の多くの職種の方々の協力と指導を得ながら、医療の最前線で専門的知識を駆使し、評価を確立すべく日々努力している薬剤科業務の現状を紹介します。
 
業務内容
T. 病棟業務(薬剤管理指導業務・病棟薬品管理業務)
 患者個々の薬物療法に参画し、医薬品情報の提供と薬学的管理に基づいた情報の収集・評価・蓄積によって、医薬品の適正使用を支援する薬剤管理指導業務については平成10年6月より全病棟に拡大するまでに至っている。
 全病棟(15)薬剤師1〜2名配置体制で、各診療科での診療内容は多岐に渡り、診療科の特色に合わせて、十数種のパンフレットや説明書を作成し、薬物療法の理解を進めるための一助としている。各診療科担当者は当該診療科の回診、カンファレンスに毎週参加し、医師に対し副作用情報、治療情報等適切な情報の提供を行っている。また、薬学的観点から持参薬の確認や医師の処方内容についてチェックし、リスクの軽減を図っている。

U. IVH・抗癌剤の無菌調整
 感染対策上よりも注射薬の混合調整については、無菌室・クリームベンチ・安全キャビネット内での調整が「良質の医薬品の提供」と言う意味でも最良である。
 IVHに関しては、平成10年5月より開始し、現在は月間に660本近く無菌調整を行っている。抗癌剤に関しては、平成14年7月に外来化学療法室が解説され、現在外科、内科、婦人科、消化器科等の全外来患者を対象に月間700本の抗癌剤無菌調整を行っている。
 IVH調整には、処方監査及びラベル作成に1名、無菌調整に2名が携わり8時30分から準備を行い、また、抗癌剤調整ではプロトコール確認・取り揃え・ラベル作成・監査に1名、無菌調整に2〜3名の薬剤師が携わり、月・水・金曜日の外来化学療法室実施患者に対しては13時30分までのオーダーに対応し、過誤防止に努めている。

V. 情報管理(収集・提供)
 情報化社会の現在で医療の中で取り扱う情報のすべては、医薬品の使用者である患者の有効性・安全性を確保し、『医薬品の適正使用』にいかに貢献することであり、当薬剤科においても情報の収集・整理・提供について、常に常勤3名の薬剤師を配置している。
 当院は、近畿管内に於いてHOSPnet幹事施設であり、医薬品情報提供ホームページ及びQ&Aに於いての情報提供を行っている。また、医薬品尾より医療用材料の副作用報告についても積極的に関わっており、全国1,2位を争う報告数を提供している。緊急安全性情報を初め安全性に関わる情報については、迅速に院内メール等を通じて周知徹底している。
   医薬品安全性情報報告数 218件(平成16年2月28日現在)

W. 治験業務
 適正な治験実施については、国際的な評価に値する臨床データの作成がもとめられており、厚生労働所としても新GCPに基づく治験の実施に関わる指導を強化しているところである。当薬剤科にあっても治験支援業務を行うCRC(Clinical Research Coordinator)を新たな病院薬剤師業務として位置付け、平成13年度より治験主任薬剤師、その他専任薬剤師2名を配置している。
 これは治験管理センターに於ける薬剤師・看護師によるコーディネーターの役割が非常に大きく、信頼の出来る治験管理体制である。

X. 医薬品適正使用より
1. くすり相談室の充実
 現在、薬剤科では政策医療のひとつでもあるHIV患者さんに対するコーディネーターとして定員2名体制である。「HIV感染患者に対する服薬指導」は入院患者さんは基より外来患者さんには“くすりの相談室”を通じて積極的に実施し、増加しつつある患者に対応し、何時でも気軽に訪れ易い環境整備を図っている。
 又、薬剤科としては「くすり」に係わる情報をより多くの人達に提供することが、医薬品の適正使用に繋がると確信し、「おくすり相談室」を通じて麻薬管理指導・治験支援等を行っているが今後、担当薬剤師が常時対応できる体制整備を図る。
2. 医薬品試験の充実
 薬剤科においては特殊疾患、非市販薬品等に係わる特殊製剤については薬事委員会の承認を得て、医師の依頼に積極的に応じている。しかし、調整された薬品の品質及び臨床使用された評価については、検討事項が多々あり、今後を踏まえて業務の強化を図っていく。

Y. 卒前・卒後教育の充実
 薬学生、開局薬剤師及び他施設薬剤師・厚生労働省(日本薬剤師研修センター)
 薬剤師実務研修生の教育
 現在、病院薬剤師・開局薬剤師に求められていることは、臨床的知識の充実且つ臨床的業務の確立であり、当薬剤科では薬学生・薬剤師を積極的に受け入れている。
 近年の医療技術の高度化、医薬分業の推進等に伴う医薬品の安全使用や薬害の防止などの社会的要請に応え、教養教育や医療薬学を中心とした専門教育および実務実習の充実が必要であり、基幹施設としての役割でもあり社会的にも評価を高めるべく指導強化をし、薬学教育6年に延長に抜けて教育の充実を図っていく。

【平成15年度研究発表業績】
A-3
齋藤誠、河合実、小林優子、安部晴彦、是恒之宏、恵谷秀紀、北村良雄、赤野威彦:正常腎機能患者におけるアンジオテンシンII受容体拮抗薬の尿酸代謝への影響。臨床薬理34,37-42

A- 6
堀川裕子、北川智子、豊田俊江、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:国立大阪病院におけるワークシート作成への工夫点・注意点。月刊PHARMSTAGE 7月号p25-32

吉野宗宏:当院におけるLopinavir/ritonavirの使用成績調査。MEDICAL REVIEW 48,

B-2
NAKATA T, TERAKAWA N, SHIOTANI Y, ITOH S, SAITO Y, KITAMURA Y, AKANO T:Acanthamoeba keratitis effectivery treaded wih chlorhexidine gluconate,The 63th International Congress of FIP,Australia Sydney,2003.9.4-9

B-3
田中利夫、宮下まさみ、繁浦洋子、里美絵理子、辻仲利政:外来抗癌剤無菌調製によるリスクマネージメント。第5回医療マネージメント学会、仙台、2003年6月

B-4
堀川裕子、北川智子、豊田俊江、森下典子、政道修二:国立病院大阪医療センターにおけるワークシート作成への工夫点・注意点。第3回CRCと臨床試験のあり方を考える会、東京、2003年9月

岩本雅美、齋藤誠、河合実、小林優子、是恒之宏、北村良雄、赤野威彦:抗血小板薬内服患者における臨床検査値の推移。第13回日本医療薬学会年会、神戸、2003年9月

足立加那子、安達紀美子、岸本歩、北村良雄、赤野威彦:卵巣癌に対するCPT-11を用いた癌化学療法の標準ケア計画の実際。第13回日本医療薬学会年会、神戸、2003年9月

河合実、齋藤誠、岡聖次、北村良雄、赤野威彦:前立腺癌のエストロゲン療法における抗凝固薬の影響。第13回日本医療薬学会年会、神戸、2003年9月

島田志美、西田真佐夫、齋藤誠、北村良雄、赤野威彦、加藤道夫、池田昌弘:Riba+IFN併用療法でのHb減少に関する調査報告。第13回日本医療薬学会年会、神戸、2003年9月

齋藤誠、岩本雅美、河合実、小林優子、是恒之宏、恵谷秀紀、北村良雄、赤野威彦:アンジオテンシンII受容体拮抗薬の血清尿酸値への影響。 第13回日本医療薬学会年会、神戸、2003年9月

寺川伸江、中田智子、山下保喜、吉崎悦郎、木内良明、伊東奈美、北村良雄、赤野威彦:自己血清点眼液のレボフロキサシンによる防腐抗菌効果の検討。第13回日本医療薬学会年会、神戸、2003年9月

中田智子、齋藤誠、西田真佐夫、小林優子、北村良雄、赤野威彦:抗悪性腫瘍薬無菌調製におけるインシデントとその対策。第13回日本医療薬学会年会、神戸、2003年9月

島田志美、西田真佐夫、齋藤誠、北村良雄、赤野威彦、加藤道夫、池田昌弘:Riba+IFN併用療法での当院におけるHb減少の副作用調査。第58回国立病院療養所総合医学会、札幌、2003年10月11月

寺川伸江、中田智子、山下保喜、木内良明、斉藤喜博、北村良雄、赤野威彦:自己血清点眼液のレボフロキサシン添加による防腐処理の有効性について。第58回国立病院療養所総合医学会、札幌、2003年10月11月

堀川裕子、北川智子、豊田俊江、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:治験薬管理業務の評価に対する検討。第58回国立病院療養所総合医学会、札幌、2003年10月11月

深井照美、羽白誠、吉田美和子、青野勝成、坂本富士美、川西園代、鞍田三貴、伊藤浩一、霜野正幸:国立大阪病院における褥瘡対策への取り組みと課題。第58回国立病院療養所総合医学会、札幌、2003年10月11月

吉野宗宏、永井聡子、桑原健、下司有加、織田幸子、谷岡理恵、森正彦、長谷川善一、上田千里、上平朝子、白坂琢磨:初回療法におけるABCとEFVの使用成績調査。第17回日本エイズ学会、神戸、2003年11月

堀川裕子、北川智子、羽田かおる、豊田俊江、森下典子、政道修二、是恒之宏、楠岡英雄:治験薬管理経費に関する検討。第24回臨床薬理学会年会、横浜、2003年12月

古川哲也、政道修二、堀川裕子、老田章、山内一恭、土井敏行、楠康代、三原正和、玉田太、高田耕蔵、北村良雄:近畿管内国立病院・療養所における薬剤科の臨床試験への関わりと薬剤師の意識について。第24回臨床薬理学会年会、横浜、2003年12月

B-5
西田真佐夫、島田志美、齋藤誠、北村良雄、赤野威彦:チェック式薬剤管理指導記録による業務効率化の試み。第24回日本病院薬剤師会近畿学術大会、大阪、2003年1月

桑原健:薬物血中濃度と副作用・新薬について。平成14年度エイズブロック拠点病院医師研修会、大阪、2003年1月

桑原健:抗HIV薬の服薬援助。平成14年度エイズブロック拠点病院カウンセリング研修会、大阪、2003年2月

吉野宗宏:HIV治療薬と服薬指導。平成14年度近畿ブロックエイズカウンセリング、大阪、2003年2月

桑原健:現在の治療状況 治療ガイドライン。平成14年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業成果発表会、北海道、2003年3月

桑原健:治療の現状と新しい治療法。平成14年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業成果発表会、東京、2003年3月

吉野宗宏、永井聡子、桑原健、北村良雄、赤野威彦、大谷成人、上田千里、上平朝子、白坂琢磨:第17回近畿エイズ研究会学術集会、大阪、2003年6月

齋藤誠:ワーファリン教室開催の反響と服薬指導。岸和田五ツ星薬局フォーラム、大阪、2003年7月