泌尿器科

岡 聖次

 平成17年(2005年)も当科は悪性腫瘍と尿路結石を2大疾患として取り扱ってきたが、平成17年の入院患者総数651名のうち悪性腫瘍患者が338名(51.9%)であり、悪性腫瘍患者数が50%以上を占めている。
 悪性腫瘍患者の増加は、前立腺癌患者の増加に負うところが大きいが、当科では限局性前立腺癌患者に対しては、手術のみを勧めるのではなく、患者の苦痛を取り除く独自の工夫を加えたIr-192(イリジウム-192)を用いた遠隔操作方式(RALS)の高線量組織内照射法をも提示し、インフォームド・コンセントを得るために、それぞれの長所・短所の説明を充分に行った後に、治療法の最終選択を患者に委ねている。このことを講演会やホーム・ページ等を通じて広報したところ、放射線治療を希望して来院される患者も増加し、当科では昨年に引き続き、年間の放射線治療患者数が前立腺全摘除術患者数を上回っている。 
 腎細胞癌に対する根治的腎摘除術や腎部分摘除術、腎盂・尿管腫瘍に対する腎尿管全摘除術においては、4?7cmの皮膚切開層で行うミニマム創手術を積極的に行っているが、平成17年には腎切石術や、尿管切石術、腎盂形成術などもミニマム創で行った。この手術法は、腹腔鏡下手術よりも安全であるのみならず、使用器具も安価であり、かつ摘除のために必要な最小切開創のみで行うため、皮膚切開創の合計は通常の腹腔鏡下手術創よりも短くて済む。今後は、前立腺全摘除術(現在でも10cm以下の切開創で行っているが)、膀胱全摘+尿路変更術などにもこの方法の適応を拡大する予定である。
 尿路結石症に対する体外衝撃波結石破砕術(ESWL)治療器であるMPL-9000(X線装置付き)は1992年5月に設置されて以来長期に渡って使用してきたが、本年12月をもってその役割を終え、平成18年1月からはドルニエ社のリソクラスターSに更新されることになりました。位置合わせが容易になり、砕石効果も高まることより、治療時間が短縮されることになり、より多くの患者さんの治療が可能になるものと期待している。
 教育面においては、初期臨床研修制度が昨年4月に導入されたため、本年は研修医がいないが、レジデントが1名(河嶋厚成)在籍し、例年の如くにオン・ザ・ジョブ・トレーニングを通じて泌尿器科専門医取得に向けての研鑽を積むとともに、症例報告や臨床的検討を加えた学会報告を行うなど、学会活動にも積極的に参加している。

【2005年研究発表業績】
A-0
MIYAGAWA Y,TSUJIMURA A,MATSUMIYA A,TAKAO T,TOHDA A,KOGA M,TAKEYAMA M,FUJIOKA H,TAKEDA S,KOIDE T,OKUYAMA A:Outcome of gonadotropin therapy for male hypogonadotropic hypogonadism at university affiliated male infertility centers:A 30-year retrospective study.J Urol,173,2072-2075,2005.

MATSUMOTO F,TOHDA A,SHIMADA K,KUBOTA A:Pancreatic pseudocyst arising from ectopic pancreas and isolated intestinal duplication in mesocolon caused hydronephrosis in a girl with horseshoe kidney.J Pediatr Surg,40,E5-E7,2005.

A-1
東田章:性分化異常、TEXT泌尿器科学、第3版.P155−164、南山堂、東京、2005.

A-3
野原隆弘、河嶋厚成、永原啓、北村雅哉、赤井秀行、岡聖次、真能正幸:短期間に急速な増大を示した多中心性巨大脂肪肉腫の1例、泌尿紀要、51:21-23、2005.

北村雅哉、野原隆弘、河嶋厚成、高橋徹、赤井秀行、高羽津、岡聖次、宮川康:pL1腎盂尿管癌に対するadjuvant therapyとしてのMEP療法の有用性、西日泌尿、67:496-498、2005.

北村雅哉、野原隆弘、河嶋厚成、高橋徹、赤井秀行、高羽津、岡聖次:腎に対するミニマム創手術の試み、泌尿器外科、18(9):1135-1138、2005.

野原隆弘、河嶋厚成、高橋徹、北村雅哉、赤井秀行、岡聖次、真能正幸:甲状腺に転移をきたした前立腺癌の1例、日泌尿会誌、96(7):697-700、2005.

松本富美、東田章、島田憲次:小児における尿管利用膀胱拡大術の手術成績、日泌尿会誌、96(1):7−10、2005.

東田章、松本富美、島田憲次:泌尿器科的外傷の管理、小児外科、37(2):181−184、2005.

東田章、永原啓、松本富美、島田憲次:膀胱、膣内異物の診断と治療、小児外科、37(8):889−891、2005.

東田章、永原啓、松本富美、島田憲次:小児泌尿器科の手技を再考する;尿道下裂、泌尿器外科、18(9):1067−1070、2005.

熊本悦明、塚本泰司、松川雅則、国島康晴、広瀬崇興、茂田士郎、山口脩、石橋啓、錫谷達夫、吉田浩、今福祐司、村井勝、渡辺清明、小林芳夫、内田博、松田静冶、佐藤新一、藤目真、藤田和彦、猪狩淳、小栗豊子、山口惠三、古谷信彦、出口隆、石原哲、大江宏、西川美年子、岡聖次、北村雅哉、福原吉典、守殿貞夫、荒川創一、公文裕巳、門田晃一、松本哲朗、高橋康一、内藤誠二、江頭稔久、小西高俊、河野 茂、平潟洋一、近藤晃、松田淳一、中野路子、鈴木由美子:尿路感染症分離菌に対する経口ならびに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第25報2003年) その1、感受性について、日本抗生物質雑誌、58(6):518-543、2005.

熊本悦明、塚本泰司、松川雅則、国島康晴、広瀬崇興、茂田士郎、山口脩、石橋啓、錫谷達夫、吉田浩、今福祐司、村井勝、渡辺清明、小林芳夫、内田博、松田静冶、佐藤新一、藤目真、藤田和彦、猪狩淳、小栗豊子、山口惠三、古谷信彦、出口隆、石原哲、大江宏、西川美年子、岡聖次、北村雅哉、福原吉典、守殿貞夫、荒川創一、公文裕巳、門田晃一、松本哲朗、高橋康一、内藤誠二、江頭稔久、小西高俊、河野茂、平潟洋一、近藤晃、松田淳一、中野路子、鈴木由美子:尿路感染症分離菌に対する経口ならびに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第25報2003年) その2、患者背景、日本抗生物質雑誌、58(6):544-556、2005.

熊本悦明、塚本泰司、松川雅則、国島康晴、広瀬崇興、茂田士郎、山口脩、石橋啓、錫谷達夫、吉田浩、今福祐司、村井勝、渡辺清明、小林芳夫、内田博、松田静冶、佐藤新一、藤目真、藤田和彦、猪狩淳、小栗豊子、山口惠三、古谷信彦、出口隆、石原哲、大江宏、西川美年子、岡聖次、北村雅哉、福原吉典、守殿貞夫、荒川創一、公文裕巳、門田晃一、松本哲朗、高橋康一、内藤誠二、江頭稔久、小西高俊、河野茂、平潟洋一、近藤晃、松田淳一、中野路子、鈴木由美子:尿路感染症分離菌に対する経口ならびに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第25報2003年) その3、感受性の推移、日本抗生物質雑誌、58(6):557-654、2005.

B-6
松岡庸洋、宮川康、田中宏光、井口尚子、喜多村晃一、高橋徹、辻村晃、松宮清美、西宗義武、奥山明彦:半数体精子細胞特異的遺伝子α131の単離と解析、第93回日本泌尿器科学会総会、東京、2005年4月

宮川康、辻村晃、藤田和利、松岡庸洋、高橋徹、高尾徹也、高田晋吾、松宮清美、大崎康宏、高沢正志、奥直彦、畑澤順、奥山明彦:ヒト陰茎勃起に関与する中枢神経機構の解析、第93回日本泌尿器科学会総会、東京、2005年4月

高橋徹、野原隆弘、河嶋厚成、北村雅哉、赤井秀行、岡聖次、吉田謙、能勢隆之:前立腺癌に対する高線量率組織内照射の経験、第93回日本泌尿器科学会総会、東京、2005年4月

河嶋厚成、野原隆弘、高橋徹、北村雅哉、赤井秀行、岡聖次:前立腺生検を契機に発見された膀胱腫瘍の検討、第93回日本泌尿器科学会総会、東京、2005年4月

河嶋厚成、野原隆弘、高橋徹、北村雅哉、赤井秀行、岡聖次:嚢胞性腎盂尿管炎の1例、第191回日本泌尿器科学会関西地方会、豊中、2005年6月

松本富美、永原啓、川越真理、東田章、島田憲次:当科におけるDrash症候群の経験―性腺の肉眼像の重要性について、第14回日本小児泌尿器科学会総会、福岡、2005年7月

島田憲次、東田章、松本富美、永原啓、川越真理:尿道下裂に対するPrepuce-sparing TIPU.第14回日本小児泌尿器科学会総会、福岡、2005年7月

松本富美、島田憲次、東田章、永原啓、川越真理:先天性水腎症に対する腎盂形成術の効果:何がいつ改善するか? 第14回日本小児泌尿器科学会総会、福岡、2005年7月

永原啓、川越真理、松本富美、東田章、島田憲次:難治性尿路感染症を繰り返し上部尿路変更術を要した先天性後部尿道弁(PUV)の1例、第14回日本小児泌尿器科学会総会、福岡、2005年7月

高橋徹、河嶋厚成、東田章、北村雅哉、岡聖次、竹田雅司、真能正幸:膀胱尿路上皮癌の既往を有する尿管小細胞癌の1例、第193回日本泌尿器科学会関西地方会、京都、2005年12月

B-8
岡聖次:「排尿障害について」、西淀川区医師会講演、2005年1月18日

岡聖次:「前立腺疾患について」、城東区医師会講演、2005年2月15日

岡聖次:「前立腺肥大症および前立腺癌への対策」「総合司会」、おおさか健康セミナー、2005年7月

高橋徹:「前立腺肥大症および前立腺癌への対策」「前立腺肥大症で苦しまないために」、おおさか健康セミナー、2005年7月

北村雅哉:「前立腺肥大症および前立腺癌への対策」「前立腺癌で死なないために」、おおさか健康セミナー、2005年7月

岡聖次:「前立腺がんの治療戦略」、大阪府薬剤師会講演、2005年10月

岡聖次:「前立腺がんと告げられたら」、阪急サロンレクチャー講演、2005年12月