泌尿器科

                  岡 聖次

 平成18年(2006年)も当科は悪性腫瘍と尿路結石を2大疾患として取り扱ってきたが、平成18年の入院患者総数651名のうち悪性腫瘍患者数が328名(50.4%),尿路結石症患者数が84名(12.9%)であり、悪性腫瘍患者が圧倒的多数を占めている。

 癌患者にはほぼ全員に「がん告知」を行っているが、病状を充分に説明し、手術法も含め治療選択を患者および家族との相談で決めている。特に限局性前立腺癌に対しては、手術のみを勧めるのではなく、患者の苦痛を取り除く独自の工夫を加えたIr-192(イリジウム-192)を用いた遠隔操作方式(RALS)の高線量組織内照射法やホルモン療法、更には当院では行っていないI-125(ヨード-125)密封小線源永久挿入治療法や粒子線治療法をも提示し、インフォームド・コンセントを得るために、それぞれの長所・短所の説明を充分に行った後に、治療法の最終選択を患者およびその家族に委ねている。その結果、当科では毎年、年間の放射線治療患者数が前立腺全摘除術患者数を上回っているのが特徴である。

 当科では腎細胞癌に対する根治的腎摘除術や腎部分摘除術、腎盂・尿管腫瘍に対する腎尿管全摘除術に加え、腎切石術や、尿管切石術、腎盂形成術なども47cmの皮膚切開で行うミニマム創手術に取り組んでいるが、平成18年度は腹腔鏡下手術に習熟した原田医師の赴任により後腹膜鏡下での腎尿管全摘除術を3例に行った。そのため、腎癌や腎盂尿管癌に対する手術法も2方法を提示し、患者の希望に添えるようにしている。

 前立腺癌に対する前立腺全摘除術は約10cmの小切開創で行っているが、更に小さな皮膚切開創で行えるミニマム創内視鏡下前立腺全摘除術が現状では理想的な手術法と考え、取り組んでいるところである。

 小児泌尿器科に習熟した東田医師に対する紹介患者が増加したのも本年度の特徴であり、平成18年には12名の小児患者に手術を行ったが、1歳未満が4名含まれている。

 尿路結石症に対する体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は平成181月からドルニエ社のリソトリプターSに更新され、X−線透視下での位置合わせが中心ではあるが、位置合わせが容易となり、治療時間が短縮されている。

 平成18年度の教育面においては、平成16年度から開始された新しい初期臨床研修制度下では初めての経験であるが、選択科として当科を希望した研修医を2名受け入れ、レジデント1名と共に、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを通じて、研修医には泌尿器科の基礎を、レジデントには泌尿器科専門医取得に向けての教育を行い、症例報告を中心に学会発表を行わせ、学会活動にも積極的に参加させている。

 

【2006年1月〜3月研究発表業績】

河嶋厚成:当院の限局性前立腺癌に対する高線量率組織内照射単独治療の現状。21回大阪UroradiologyOUR)研究会、大阪、20061

 

【2006年度研究発表業績】

A-0

KOHNO T, KITAMURA M, AKAI H, TAKAHA M, KAWAHARA K, OKA TPlasmacytoid urothelial carcinoma of the bladder. Int. J. Urol., 13: 485-486, 2006.

 

YOSHIDA K, NOSE T, SHIOMI H, YOSHIOKA Y, FUJITA Y, KURODA S, YOSHIDA M, TAKAHASHI T, KITAMURA M, ARAI H, OKA T, HOSOKI TNew ambulatory implant technique of high-dose-rate interstitial brachytherapy for prostate cancer. Radiat Med. 24: 595-599, 2006.

 

A-3

岡聖次:特集、ここが聞きたい泌尿器科検査ベストプラクテイス。逆行性尿道膀胱造影の適応、方法、基本的読影法について教えて下さい臨泌604):182-1852006.

 

岡聖次:特集、ここが聞きたい泌尿器科検査ベストプラクテイス。逆行性尿道膀胱造影検査に際し、どうしても力んでしまう患者に対してはどう対処するのがよいでしょうか。そのコツを教えて下さい臨泌604):186-1872006.

 

岡聖次:特集、ここが聞きたい泌尿器科検査ベストプラクテイス。鎖膀胱尿道造影の適応、方法、基本的読影法について教えて下さい臨泌604):188-1902006.

 

河嶋厚成野原隆弘高橋徹東田章北村雅哉赤井秀行岡聖次:嚢胞性腎盂尿管炎の1例。西日泌尿68(4)156-1582006

 

北村雅哉:男子性腺機能低下症。ホルモンと臨床54(増刊号):241-245, 2006.

 

河嶋厚成岡聖次吉田謙:当院における高線量率前立腺組織内照射(192Ir-HDR ISBT)治療経験と工夫。Radiolody Frontier9(3)68-702006

 

東田章:内分泌症候群(第2版)その他の内分泌疾患を含めて—VII 性文化、発育 男性仮性半陰陽 5α-レダクターゼ欠損症。日本臨床、新領域別症候群シリーズ No.2594-5972006

 

河嶋厚成高橋徹東田章岡聖次:前立腺癌生検時に発見された膀胱腫瘍の検討。西日泌尿68(10)480-4822006

 

熊本悦明、塚本泰司、松川雅則、国島康晴、広瀬崇興、茂田士郎、山口脩、石橋啓、錫谷達夫、吉田浩、今福祐司、村井勝、渡辺清明、小林芳夫、内田博、松田静治、佐藤新一、藤目真、藤田和彦、猪狩淳、小栗豊子、山口恵三、古谷信彦、出口隆、石原哲、大江宏、岡聖次北村雅哉、福原吉典、守殿貞夫、荒川創一、公文裕巳、門田晃一、松本哲朗、村谷哲郎、内藤誠二、江頭稔久、小西高俊、河野茂、平瀉洋一、近藤晃、松田淳一、中野路子:尿路感染症分離菌に対する経口ならびに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第262004年)その1 感受性についてJpn J Antibiotics593):177-2002006

 

熊本悦明、塚本泰司、松川雅則、国島康晴、広瀬崇興、茂田士郎、山口脩、石橋啓、錫谷達夫、吉田浩、今福祐司、村井勝、渡辺清明、小林芳夫、内田博、松田静治、佐藤新一、藤目真、藤田和彦、猪狩淳、小栗豊子、山口恵三、古谷信彦、出口隆、石原哲、大江宏、岡聖次北村雅哉、福原吉典、守殿貞夫、荒川創一、公文裕巳、門田晃一、松本哲朗、村谷哲郎、内藤誠二、江頭稔久、小西高俊、河野茂、平瀉洋一、近藤晃、松田淳一、中野路子:尿路感染症分離菌に対する経口ならびに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第262004年)その2 患者背景Jpn J Antibiotics593):201-2132006.

 

熊本悦明、塚本泰司、松川雅則、国島康晴、広瀬崇興、茂田士郎、山口脩、石橋啓、錫谷達夫、吉田浩、今福祐司、村井勝、渡辺清明、小林芳夫、内田博、松田静治、佐藤新一、藤目真、藤田和彦、猪狩淳、小栗豊子、山口恵三、古谷信彦、出口隆、石原哲、大江宏、岡聖次北村雅哉福原吉典、守殿貞夫、荒川創一、公文裕巳、門田晃一、松本哲朗、村谷哲郎、内藤誠二、江頭稔久、小西高俊、河野茂、平瀉洋一、近藤晃、松田淳一、中野路子:尿路感染症分離菌に対する経口ならびに注射用抗菌薬の抗菌力比較(第262004年)その3 感受性の推移Jpn J Antibiotics593):217-3152006

 

日本小児泌尿器科学会学術委員会(東田章、浅沼宏、岩村喜信、柿崎秀宏、生野猛、林祐太郎、松岡弘文):停留精巣診療ガイドライン日本小児泌尿器科学会雑誌14(2): 117-152, 2005(実際には20066月発行)

 

B-4

東田章北村雅哉高橋徹河嶋厚成岡聖次:腎に対するミニマム創手術の試み。94回日本泌尿器科学会総会、福岡、20064

 

吉田栄宏、植村元秀、原田泰規、西村健作、三好進、菅野展史:放射線性出血性膀胱炎に対する高気圧酸素療法の臨床的検討。94回日本泌尿器科学会総会、福岡、20064

 

植村元秀、吉田栄宏、原田泰規、西村健作、三好進、菅野展史:膀胱全摘除後の尿路変向術(特に禁制型、Indiana pouchおよび回腸新膀胱)の臨床的検討。94回日本泌尿器科学会総会、福岡、20064

 

島影美鈴、河原邦光、笹川寿之、原田志津子、岡聖次、新家俊明:腎細胞癌とnephroblastomaにおけるEpstein-Barrウィルスの発現。65回日本癌学会学術総会、横浜、20069

 

B-5

東田章:シンポジウム 停留精巣の未来を探る−停留精巣に対する補助生殖医療。 55回日本泌尿器科学会中部総会、名古屋、200610

 

B-6

福田聡子佐藤元孝高橋徹原田泰規東田章安永豊岡聖次平尾素宏竹田雅司真能正幸:食道癌腎転移の1例。196回日本泌尿器科学会関西地方会、京都、20069

佐藤元孝福田聡子高橋徹原田泰規東田章安永豊岡聖次竹田雅司真能正幸:精巣myxoma1例。196回日本泌尿器科学会関西地方会、京都、20069

 

B-8

岡聖次:「排尿障害診療の基礎知識」浪速区医師会講演20064

 

岡聖次:「前立腺がんの基礎知識」14回患者情報室勉強会講演20066

 

岡聖次:「過活動膀胱の診療」東区医師会講演20067

 

岡聖次:「おしっこで困っていませんか?」此花区民健康講座座長200610