救命救急センター・総合救急部

定光大海

当救命救急センターは開設以来25年以上の歴史を有するが、総合救急部としては平成12年に開設され6年を経過したところである。そういう状況下で、我々の主たる業務である三次の重症救急患者数は年ごとに増え、当初年間300例台であったのが一昨年から年間720例を超えるようになってきた。平成18年度総症例数は740例で、その内訳は外因437例、内因303例である。外因においては外傷314例(うち多発外傷55例)を中心に、重症熱傷15例、急性中毒70例も扱っている。また、対外的な診療業務以外に院内の危機管理の一環として、予期せずに生命の危機的状態に陥った入院患者などの治療支援であるBlue Callにも対応している。

診療業務以外には、救急救命士を含む救急隊員の病院前医療活動の質を保証するメディカルコントロール、政策医療の一つである災害医療への参加と実践、院内教育研修部が主導で行う訓練や講習への協力がある。それぞれを具体的に述べると、メディカルコントロールでは、24時間対応で救急救命士への特定行為(気管挿管など器具を用いた救急蘇生)の指示を行い、救急救命士の病院実習や症例検討会などを通した教育や救急搬送事例の事後検証を行っている。災害医療では、DMAT (Disaster Medical Assistance Team)への参加と組織作りを初めとし、放射線災害に対する緊急被曝医療と化学災害に対する対応体制作りがある。院内教育研修部が主催する職員向けBLS (Basic Life Support)ACLS (Advanced Cardiovascular Life Support)へはインストラクターとして参加協力し、院内行事として災害訓練を企画している。

以上、多岐にわたる業務内容から幅広い研究テーマが特徴である。三次救急診療に代表的な多発外傷、中毒、熱傷の集中治療では、国際的な臨床治験に参加する予定である。消防の救急業務や災害医療などの社会性に富んだ医療に関する事柄もテーマで、国立病院機構多施設共同研究や厚生科学研究費による共同研究に参加している。平成16年から実施された新臨床医研修制度では救急診療が必修化されていることから、卒後医師教育も重要なテーマである。

 

【2006年1月〜3月研究発表業績】

米満弘一郎:胃悪性リンパ腫の化学療法中に胃穿孔による腹膜炎をきたした1例、「外科」68巻 第2号:20062

 

定光大海:突然の腹痛−応急処置と緊急検査、今日の治療指針p8-9、山口徹、北原光夫、福井次矢編、医学書院、東京、20061

 

白鴻成:頭蓋牽引法、今日の治療指針p95-96、山口徹、北原光夫、福井次矢編、医学書院、東京、20061

 

定光大海:「救急救命士の気管挿管の現状」〜現場で活きる知識と技術〜。14回全国救急隊員シンポジウム、新潟、20061

 

前野良人大西光雄西野正人定光大海JR福知山線列車脱線事故現場への医療チーム派遣。11回日本集団災害医学会総会、仙台、20062

 

米満弘一郎:示説「重症急性膵炎におけるカンジダ属による重症敗血症に対しVoriconazoleの経腸投与が有効であった1例」。Mycoses Forum真菌症フォーラム第7回学術集会、東京、20062

 

米満弘一郎:示説「熱中症にて発症し呼吸器症状が遷延した左大動脈弓・右下行大動脈の1例」。33回日本集中治療医学会、大阪、20063

 

米満弘一郎:「出血性ショックを呈する腹部外傷に対する大動脈遮断カテーテル使用例の検討」。42回日本腹部救急医学会総会、東京、20063

 

定光大海:―メディカルコントロールの実際―。平成17年度メディカルコントロールに係る医師研修、神戸、20061

 

西野正人:―事後評価・検証の方法論と実際。平成17年度メディカルコントロールに係る医師研修、神戸、20061

 

細井文子大西光雄白鴻成小川智也米満弘一郎島原由美子若井智聡前野良人西野正人定光大海:フェノールによる科学熱傷の例。15回日本熱傷学会近畿地方会、大阪、20061

 

【2006年度研究発表業績】

A-2

定光大海:横隔膜損傷、「今日の治療指針」山口徹、北原光夫、福井次矢総編集、45、医学書院、東京、20071

 

定光大海:乱用薬物中毒(覚せい剤、大麻、麻薬)「今日の治療指針」山口徹、北原光夫、福井次夫総編集、121-122、医学書院、東京、20071

 

定光大海:中枢神経疾患(2)−蘇生後脳症、低血糖昏睡、けいれん性疾患−「救急疾患CTアトラス」吉岡敏治、186-192、永井書店、大阪、200611

 

定光大海:救急医学概論−検査−「救急救命士標準テキスト」救急救命士標準テキスト編集委員会、415-423、へるす出版、東京、20073

 

白鴻成:四肢開放性骨折「今日の治療指針」山口徹、北原光夫、福井次矢総編集、54-55、医学書院、東京、2007


前野良人:消化管穿孔「救急疾患CTアトラス」吉岡敏治、227-241、永井書店、2006

前野良人:慢性膵炎を契機に脾膿瘍と脾梗塞を発症した1例「日本腹部救急医学会雑誌」273号,2007年、印刷中

 

大西光雄:顔面口腔外傷、「今日の治療指針」山口徹、北原光夫、福井次矢総編集、35-36、 医学書院、東京、20071

 

A-4

大西光雄:中心静脈路に伴うトラブル、臨床研修プラクティスVol.3 No.8 50-59 、文光堂、2006

 

A-6

島原由美子定光大海:プレホスピタルでの呼吸管理

 

B-3

定光大海:災害発生時の急性期災害医療班派遣、病院運営におけるクライシスマネジメント。60回国立病院総合医学会20069

 

米満弘一郎 救命救急センター入院時におけるMRSAスクリーニング検査の必要性の検討。9回日本臨床救急医学会総会 ワークショップ、岩手、20065

 

B-4
前野良人:蘇生後症例の在院日数に関する検討。34回日本救急医学会総会、福岡、200610


前野良人:脾損傷を契機に診断された腹腔動脈起始部圧迫症候群の一例。43回日本腹部救急医学会総会、東京、20073

 

米満弘一郎:胸部外傷呼吸管理における間歇的非侵襲的陽圧換気法(NPPV)の有用性の検討。20回日本外傷学会、名古屋、20065

 

米満弘一郎 救命救急センターにおける大量服薬患者対応の現状と問題点。60回国立病院総合医学会、京都、20069

 

米満弘一郎:「精神科病床を持たない救命センターにおける自殺企図患者への対応自殺行為に基づいた検討34回日本救急医学会総会、福岡、200610

 

米満弘一郎AED施行後に難治性心室細動を呈する院外心肺停止例の検討。34回日本集中治療医学会総会、神戸、20073

米満弘一郎:輸血拒否により治療に難渋した子宮腺筋症破裂による汎発性腹膜炎の1例。43回日本腹部救急医学会、東京、20073

 

廣瀬智也米満弘一郎前野良人定光大海:診断に難渋した気腫を伴う後腹膜膿瘍の1例。43回日本腹部救急学会総会、東京、20073

 

小川智也米満弘一郎島原由美子坂本道治前野良人大西光雄白鴻成西野正人定光大海:当センターにおける経管栄養パスの有用性と今後の課題。9回日本臨床救急医学会、盛岡、20075

 

小川智也米満弘一郎島原由美子坂本道治前野良人大西光雄白鴻成西野正人定光大海:大動脈遮断カテーテル(IABO)使用後下腿コンパートメント症候群を発症した一例。20回日本外傷学会、名古屋、20075

 

小川智也米満弘一郎島原由美子坂本道治前野良人大西光雄白鴻成西野正人定光大海:当院救命救急センターにおける3次小児救急の実態。34回日本救急医学会総会、福岡、200710月、11

 

島原由美子:当センターにおける緊急気道確保症例の検討、34回日本救急医学会総会、福岡、200711

 

大西光雄定光大海北出直子、松岡暖奈、伊達葉子、岡本学:急変加療により医療依存度が高まった高齢者施設患者の再入所の現状について、60回国立病院総合医学会、京都、20069

 

大西光雄小川智也米満弘一郎坂本道治島原由美子前野良人白鴻成西野正人定光大海:老人介護施設での急変時対応の実態調査、34回日本救急医学会総会、福岡、200610

 

B-5

大西光雄小川智也米満弘一郎島原由美子坂本道治若井聡智前野良人白鴻成西野正人定光大海シンポジウム(腹部刺創の治療戦略と現況)当施設における腹部刺創の治療戦略と現況、15回近畿外傷フォーラム、大阪、20066

 

B-6

米満弘一郎:腰椎破裂骨折の椎弓骨折部に馬尾神経が陥入した墜落外傷の1例。94回近畿救急医学研究会、高槻、20067

 

廣瀬智也小川智也米満弘一郎島原由美子坂本道治前野良人大西光雄白鴻成西野正人定光大海ACE阻害薬長期服用中に発症したクインケ浮腫の1例。94回近畿救急医学研究会、大阪、20067

 

廣瀬智也小川智也米満弘一郎島原由美子坂本道治若井聡智前野良人大西光雄白鴻成西野正人定光大海ACE阻害薬長期服用中に発症したクインケ浮腫の1例。14回河内救急医療懇話会、大阪、200610

 

廣瀬智也白鴻成小川智也米満弘一郎島原由美子若井聡智前野良人大西光雄西野正人定光大海:脛腓骨遠位端開放骨折術後に潰瘍性大腸炎を発症した症例。34回大阪骨折研究会、大阪、200612

 

 

細井文子大西光雄前野良人若井智聡金原太島原由美子小川智也米満弘一郎白鴻成西野正人定光大海:治療に難渋したWernicke脳症の2症例。14回河内救急医療懇話会、大阪、200610

 

小川智也米満弘一郎島原由美子坂本道治前野良人大西光雄白鴻成西野正人定光大海:当院救命救急センターにおける経腸栄養パスの有用性と今後の課題。13回河内救急医療懇話会、東大阪、20074

 

村田洋一:脳出血を契機に感染性心内膜炎と診断された一例、95回近畿救急医学研究会、京都、20073

 

梶原淳:非典型的経過をたどったSMA血栓症の一例、95回近畿救急医学研究会、京都、20073

 

梶原淳:保存的に加療した鎖骨下動脈損傷の1例、94回近畿救急医学研究会、高槻、20067

 

B-8

定光大海:−メディカルコントロールの計画・実行・検証・是正の方法論。平成18年度メディカルコントロールに係る医師研修、神戸、200612

 

定光大海:被ばく医療 20067

 

定光大海DMATと災害医療体制の現状。平成18年度大阪府防災安全研修会、大阪、20073

 

西野正人:「大規模災害時の医療支援」。平成18年度三医師会合同救急医療講習会、大阪20069

 

西野正人:「大規模災害時の救急医療−トリアージ」。大阪市救急教育事業にかかる講習会、大阪 200610

 

西野正人:「大事故災害への医療対応」MIMMSコース、東京、200612

 

 

年度

症例数

外因

外因CPA

13 重症熱傷

14 急性中毒

16 その他の外因性疾患

外傷

多発外傷

内因

内因CPA

CPA総数

平成15年度

456

281

 

 

 

 

 

 

175

 

 

平成16年度

637

405

 

 

 

 

 

 

232

 

 

平成17年度

726

437

 

 

 

 

 

 

289

 

 

平成18年度

740

437

38

15

70

25

289

55?

303

127

165