泌尿器科

 

                   岡 聖次

 

 平成19年度(2007年度)も例年と同様に悪性腫瘍が当科の診療の中心となり、平成19年(11日〜1231日)の入院患者総数600名のうち悪性腫瘍患者数が311名(51.8%)と過半数を占めている。平成19年にPSA高値により当科で生検を行い新たに前立腺癌と診断された患者数は54名であった。

 当科では癌患者にはほぼ全員に「がん告知」を行っているが、病状を充分に説明し、手術法も含め治療選択を患者および家族との相談で決めている。特に限局性前立腺癌に対しては、手術のみを勧めるのではなく、患者の苦痛を取り除く独自の工夫を加えたIr-192(イリジウム-192)を用いた遠隔操作方式(RALS)の高線量組織内照射法やホルモン療法、更には当院では行っていないI-125(ヨード-125)密封小線源永久挿入治療法や粒子線治療法(自費診療で費用負担は約300万円)をも提示し、インフォームド・コンセントを得るために、それぞれの長所・短所の説明を充分に行った後に、治療法の最終選択を患者およびその家族に委ねている。その結果、当科では毎年、年間の放射線治療患者数が前立腺全摘除術患者数を上回っているのが特徴である。

 手術治療においては当科では「安全を確保した、より小さな創(きず)で」をモットーに、腎細胞癌に対する根治的腎摘除術や腎部分摘除術、腎盂・尿管腫瘍に対する腎尿管全摘除術などは腹腔鏡下手術の他、47cmの皮膚切開で行うミニマム創手術にも積極的に取り組んでいる。そのため、どちらの治療法も選択可能な腎癌や腎盂尿管癌患者などに対しては、手術方法としてこの2方法を患者に提示し、患者の希望に応じて手術法を決めている。

 なお、本年度は前立腺癌に対する前立腺全摘除術も67cmのミニマム創手術に取り組でいるが、平成20年度には保険収載が予想される内視鏡完全補助下のミニマム創内視鏡下前立腺全摘除術に移行する予定である。

 教育面では、本年度は当科では初めて平成16年度から開始されたスーパーローテート方式の新医師臨床研修制度を修了した2名を専修医として受け入れた。卒業3年目の医師としての泌尿器科の診療技術が従来のレジデントに比べ劣るのは否めないため、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを通じて泌尿器科専門医取得に向けて基礎からの教育を行っている。また、専修医には症例報告を中心に学会発表を行わせ、学会活動にも積極的に参加させている。

 

2007年度研究発表業績】

A-0 

Shimakage M, Kawahara K, Harada S, Sasagawa T, Shinka T and Oka T.: Expression of Epstein-Barr virus in renal cell carcinoma. Oncology Reports. 18: 41-46, 2007

 

Shimakage M, Harada S, Kawahara K, Oka T, Yanoma S, Horii K and Sasagawa T.: Detection of pstein-Barr virus nuclear antigen leader protein expression in various human cancers. New Developments in Epstein-Barr Virus Research. Umar CS ed. Nova Science Publishers, Inc. 2006. chap XI. Pp261-276, 2006.(雑誌発売は2007年)

 

Yoshida K, Kuroda S, Yoshida M, Fujita Y, Sakai M, Nohara T, Kawashima A, Takahashi T, Tohda A, Oka T. Yamazaki H and Kuriyama K: New implant technique for separation of the seminal vesicle and rectal mucosa for high-dose-rate prostate brachytherapy. Brachytherapy. 6(3): 180-186, 2007.

 

A-4 

東田 章:停留精巣と補助生殖技術.泌尿紀要53513-5162007

 

B-2 

Yoshida K, Yamazaki H, Yoshida M, Kuriyama K and Oka T.: An ambulatory implant HDR interstitial brachytherapy system for prostate cancer. Optimal Use of Advanced Radiotherapy in Multimodality Oncology. Rome, 20076.

 

B-3

東田 章.小児泌尿器科セミナー(教育講演)「停留精巣診療ガイドライン」.16回日本小児泌尿器科学会総会、神戸, 20077.

 

 

野々村祝夫、中井康友、中山雅志、高山仁志、西村和郎、辻本裕一、安永 豊、青笹克之、Angelo De Marzo、奥山明彦:前立腺癌の初期病理前癌病変における遺伝子変化95回日本泌尿器科学会総会、神戸、20074

 

B-6

小林泰之佐藤元孝高橋 徹原田泰規東田 章安永 豊岡 聖次、竹田雅司、真能正幸:前立腺部尿道に発生したinverted papilloma1例.199回日本泌尿器科学会関西地方会、西宮、20076月.

三上麻里、吉田 謙、山崎秀哉、吉田岑雄、能勢隆之、塩見浩也、樽井利明、武中 正、上垣忠明、大住 隆、栗山啓子、岡 聖次:前立腺癌高線量率組織内照射における治療期間中のアプリケータ偏位について.9回日本放射線腫瘍学会小線源治療部会、高崎、20076

 

小林泰之安永 豊福田聡子原田泰規坂上和弘東田 章、竹田雅司、真能正幸、岡 聖次PSA陰性前立腺癌との鑑別が困難であった前立腺尿路上皮癌の1例.57回日本泌尿器科学会中部総会、奈良、200711月.

 

福田聡子小林泰之、高橋 徹、原田泰規坂上和弘東田 章安永 豊岡 聖次:第202回前立腺印環細胞癌の1例.日本泌尿器科学会関西地方会、京都、20082月.

 

武中 正 、吉田 謙、三上麻里、山崎秀哉、古妻理之、吉田岑雄、中村和信、大住 隆、栗山啓子、岡 聖次:前立腺癌の高線量率組織内照射におけるアプリケータ偏位の経時的変化.288回日本医学放射線学会関西地方会.大阪、20082

 

B-8

岡 聖次:排尿障害シンポジウム司会および講演:パネルデイスカッション「過活動膀胱治療戦略」平成1977

 

岡 聖次:学術講演会講演:「前立腺肥大症における過活動膀胱の関わり」平成191117

 

小林泰之:23回大阪Uroradiology研究会発表:「腎腫瘍の2例」.平成20126

 

原田泰規:13 法円坂地域医療フォーラム講演:-内視鏡検査と治療- 「泌尿器科の鏡視下手術」平成20223

 

岡 聖次おおさか健康セミナー総合司会:「腎臓がん」平成20322

 

安永 豊おおさか健康セミナー講演:「腎臓がんとは」平成20322

 

原田泰規おおさか健康セミナー講演:「腎臓がんの治療手術はより小さな創(きず)でー」平成20322