産科・婦人科

 

伴千秋

 

 産科は、異常なく経過した人だけでなく様々な合併症をもった妊娠にも、できるだけ自然なお産を体験してもらえるよう努力している。

 産科的合併症は経過が急で母体・胎児に重篤な異常を来すことも多い。またそれ以外の合併症も、非妊娠とは異なる病像を呈したり、妊娠経過に重大な影響を与えることがよくある。このような場合、従来の産科診療は、「とにかく早くお産を終わらせる」ことに重心を置きすぎていた様に思う。子宮内の胎児の状態を知りようもなく、言わばブラック・ボックスを扱っているようなものであったからやむを得ない面もあったが、例えば糖尿病妊婦では、妊娠中に胎児が胎内死亡することがあるために、糖尿病の重症度にしたがって数週間以上も人工的に早産させていた。その結果救われる児もあったが、逆に早産のために死亡したり重篤な後遺症を残したりした児も多かった。

 しかし胎児心拍モニタリング・超音波断層法が導入されて子宮内の胎児の状態を推測することが可能となり、個々の事例に応じたリスク管理をすることが可能になってきた。新しい知識・技術を駆使して「とにかく早くお産を終わらせる」という診療の陰の部分を是正し、症例に応じた適切な個別管理を行うことを通じて、より適正な診療体系を作っていくことが当科の基本目標である。

 また小児脳神経外科グループと協力して、水頭症など先天性中枢神経奇形をもつ胎児の出生前診断と治療を数多く手がけるほか、当院がエイズ診療拠点病院であるため、HIV合併妊娠の管理にも積極的に取り組んでいる。

 婦人科は、大阪における子宮癌治療の草分けとして出発・発展し、全国でも屈指の婦人科癌治療施設として、世界産婦人科連合(FIGO)の悪性腫瘍登録機関の1つに選ばれている(我が国では当院と岡山・熊本・長崎・北里大学の5施設)。診療の中心は「がん」であり、入院患者の大部分は悪性腫瘍患者で、年間の症例数は150例前後である。

 このような日常の診療の中から浮かび上がってくる「癌患者の妊孕能や排尿を始めとする日常生活機能の温存」、「5生率が十分でない進行癌患者に対する、化学療法を含めた集学的治療の効果」などを当面の課題として、手術術式の改良・手術適応の見直し・最適な補助療法の組み合わせの検討などを進めており、その成果を順次発表している。

 また、子宮筋腫や卵巣嚢腫をはじめとした良性疾患においても、術後後遺症の最少化・必要な機能の温存を第一義とした治療を旨としている。

 

2007年度研究発表業績】

A-0

KAWAMURA M,ITOH H,YURA S,MOGAMI H,SUGA S,MAKINO H,MIYAMOTO Y,YOSHIMASA Y,SAGAWA N,FUJII S.  Undernutrition in utero augmens systolic blood pressure and cardiac remodeling in adult mouse offspring —possible involvement of local cardiac angiotensin system in developmental origins of cardiovascular disease Endocrinology 1481218-12252007

 

OKAGAKI AKORETSUNE HTODO RKUSUOKA H:「Clinical Supporting System in Large-scaled General Hospital with Customized Interface Layer between Electronic Patient Record System and Filemaker Pro」、Conference Book of 2007IEEE/ICME International Conference on Complex Medical Engineering288-2912007

 

A-3

伊東宏晃:「胎生期低栄養マウス」、SHR等疾患モデル共同研究会:New Letter No 272007

 

山田成利松本久宣佐々木浩呂江、榊原敦子、高橋秀元佐藤幸保岡垣篤彦伴千秋:「予後不良であったpT1b1期若年子宮頚癌3例の検討」、産婦の進歩第592号、2007

 

佐藤幸保伊東宏晃:「やせ・肥満妊婦への保健指導」、ペリネイタルケア27113-162008

 

A-4

伊東宏晃:「妊娠高血圧症候群の栄養指導」、栄養評価と治療2431-662007

 

由良茂夫,伊東宏晃,藤井信吾,佐川典正:「メタボリックシンドローム発症における胎生期子宮内環境の重要性子宮内発育遅延の意義を中心に」、血管医学833-382007

 

伊東宏晃:「低栄養と母児の予後について/周産期からみた食育」、周産期医学37567-5692007

 

伊東宏晃:「intrauterine growth restriction(IUGR)既往/特集 健診でトラブルの芽をつみとる 妊娠・分娩抗歴に基づくリスク予測と診療のコツ」、ペリネイタルケア26668-6732007

 

伊東宏晃、由良茂夫、佐川典正、藤井信吾:「メタボリックシンドローム発症のリスク因子の形成に及ぼす影響マウス動物モデルを用いた検討産婦実際561265-12732007

 

伊東宏晃:「痙攣妊娠高血圧症候群—/周産期の症候・診断・治療」:周産期医学37124-1282007

 

由良茂夫、伊東宏晃、佐川典正、藤井信吾:「低出生体重とレプチン作用、分子糖尿病学のシンポ基礎から臨床まで」、金原出版:184-1882007

 

伊東宏晃:「基本的な妊婦のみかた/周産期臨床の診断・治療・ケア/見てわかる、すぐわかる、すぐに使える知識と手技」、MCメディカ出版:34-402007

 

A-5

岡垣篤彦東堂龍平是恒之宏楠岡英雄:「ユーザーインターフェース層を可塑化したカード型電子カルテの稼働後一年間の進化と問題点」(The evolution and remaining problems of "Card Type Electronic Patient Record System" one year after the start)、

医療情報学27(suupl.)927-9282007

 

藤倉忍、岡垣篤彦、大塩啓之:「ロスレス動画像圧縮技術を電子カルテインターフェース層へ直接実装したシステム実現の可能性」(Actual Usage of Lossless Compression technology of movie data transfer on Interface Layer of Electronic Patient Record System)、医療情報学27(suupl.)1347-13492007

 

若宮俊司、白鳥義宗、岡垣篤彦、山本康仁、吉田茂、中村徹、松並和寿。佛坂俊輔、山内一信:「現況の医療情報システムに対して医療者作成のソフトウエアが訴えるもの

電子カルテの問題点-ベンダー製電子カルテに不足しているもの」、医療情報学27(suupl.)217-2192007

 

B-1

ITOH H.Intrauterine undernutrition and adult Obesity.The 5th International Conference “Nutrition and Aging” November 1.Tokyo,JapanNovember 12007

 

ITOH H.Undernutrition in utero and Adult Obesity.Seminar in Harbor-UCLA Medical Center.University of California Los Angels,U.S.A.March 242008

 

ITOH HKAWAMURA MYURA SMOGAMI HFUJII TSAGAWA N.Maternal High Protein Died during Pregnancy Affects the Blood Pressure of Aduit Offspring Via the Regulation of Placental 11beta-HSD2 Gene Expression.55th Annual Meeting of Society for Gynecologic Investigation (SGI).San Diego CA,USA March 26-292008

 

B-2

OKAGAKI AKORETSUNE HTODO RKUSUOKA H

Clinical Supporting System in Large-scaled General Hospital with Customized Interface Layer between Electronic Patient Record System and Filemaker Pro.2007 IEEE/ICME International Conference on.Complex Medical Engineering (CME 2007) Beijing 中国、 May 23-27 2007

 

B-3

伊東宏晃妊婦の栄養摂取と成長後の児の心血管障害発症リスク9回三重県妊娠糖尿病研究会、三重、2007630

 

伊東宏晃メタボリックシンドロームにおける高血圧の予防と治療児の成長後の生活習慣病特に心血管障害リスク因子発症の予防をめざした妊婦栄養管理の基礎的検討43回高血圧関連疾患モデル学会学術総会、大阪、200798

 

伊東宏晃SS-A抗体、抗SS-B抗体陽性患者の妊娠と出産16回日本シェーグレン症候群研究会、京都、2007922

 

伊東宏晃:助産師のための栄養指導妊娠高血圧症候群を中心に28回日本分娩研究会、茨城、20071010

 

B-4

宮崎友美子、福原健、由良茂夫、巽啓司、伊東宏晃、堀江昭史、高倉賢二、藤井信吾生体肝移植後の妊娠・出産症例の検討59回日本産科婦人科学会学術講演会、京都、2007416

 

川村真、伊東宏晃、由良茂夫、最上晴太、藤井剛、佐川典正、藤井信吾胎児期低栄養モデルマウスにおける心臓局所renin-angiotensin(R-A)系の変化と心血管障害発症リスク因子形成の関連59回日本産科婦人科学会学術講演会、京都、2007416

 

藤井剛、伊東宏晃、由良茂夫、最上晴太、川村真、佐川典正、藤井信吾マウス母獣摂餌制限モデルにおいて蛋白摂取量が血圧及び冠動脈周囲繊維化に与える影響59回日本産科婦人科学会学術講演会、京都、2007416

 

最上晴太、由良茂夫、伊東宏晃、川村真、藤井剛、佐川典正、藤井信吾マウス母獣摂餌制限モデルにおいて分岐鎖アミノ酸(BCAA)添加は胎仔発育を改善する59回日本産科婦人科学会学術講演会、京都、2007416

 

藤井剛、川村真、伊東宏晃、由良茂夫、最上晴太、佐川典正、藤井信吾蛋白摂取量が胎生期低栄養マウスの血圧上昇及び冠動脈周囲線維化に与える影響80回日本内分泌学会学術集会、東京、2007615

 

最上晴太、由良茂夫、伊東宏晃、川村真、藤井剛、佐川典正、藤井信吾マウス母獣摂餌制限モデルにおいて分岐鎖アミノ酸(BCAA)添加は胎仔発育を改善する80回日本内分泌学会学術集会、東京、2007615

佐々木浩呂江伊東宏晃松本久宣高橋秀元山田成利伴千秋分娩後3ケ月に静脈血栓症によるBudd-Chiari症候群を発症したヘレロ体プロテインC欠損症の1症例43回日本周産期新生児医学会、東京、200779

 

藤井剛、川村真、伊東宏晃、由良茂夫、最上晴太、佐川典正、藤井信吾胎生期低栄養マウスの心リモデリングにおける局所renin-angiotensin系の関与43回日本周産期新生児医学会、東京、200779

 

最上晴太、由良茂夫、伊東宏晃、川村真、藤井剛、佐川典正、藤井信吾マウス母獣摂餌制限モデルにおいて分岐鎖アミノ酸(BCAA)添加は胎仔発育に対する影響43回日本周産期新生児医学会、東京、200779

 

岡垣篤彦電子カルテの問題点-ベンダー製電子カルテに不足しているもの27回医療情報学連合大会 神戸コンベンションセンター、兵庫、20071122

 

大塩啓之、藤倉忍、岡垣篤彦ロスレス動画像圧縮技術を電子カルテインターフェース層へ直接実装したシステム実現の可能性27回医療情報学連合大会 神戸コンベンションセンター、神戸、20071123

 

岡垣篤彦東堂龍平是恒之宏楠岡英雄ユーザーインターフェース層を可塑化したカード型電子カルテの稼働後一年間の進化と問題点27回医療情報学連合大会 神戸コンベンションセンター、神戸、20071124

 

伊東宏晃胎生期の低栄養環境に起因する成人期の心血管障害に対する予防的治療方法開発の基礎的検討 —Baker仮説による心血管障害のあらたな予防戦略の立案をめざして34回代謝異常治療研究基金研究成果報告会、大阪、20071130

 

B-5

伊東宏晃Developmental Origins of Metabolic Syndrome —A Whisper from Pregnant Uterus—財団法人 生産開発科学研究所セミナー、京都、2007922

 

伊東宏晃症例から学ぶ産科出血とDIC19回日本産婦人科医会静岡県支部 母体保護法指定医件研修会、静岡、20071021

 

伊東宏晃:過期妊娠と分娩誘発。平成19年度大阪母性衛生学会研修会、大阪、2007122

 

B-6

佐々木浩呂江伊東宏晃松本久宣高橋秀元佐藤幸保山田成利岡垣篤彦伴千秋葛下典由分娩後3ケ月に多量の腹水をきたし、Budd-Chiari症候群を診断された1症例117回近畿産科婦人科学会学術集会、大阪、20071111

 

神谷まひる佐藤幸保松本久宣佐々木浩呂江高橋秀元山田成利伊東宏晃岡垣篤彦伴千秋腺癌と小細胞癌の移行がみられた子宮頸部腺癌の1117回近畿産科婦人科学会学術集会、大阪、20071111

 

B-7

伊東宏晃子宮頚管熟化度と分娩誘発。小野薬品工業株式会社医薬情報部セミナー、大阪、2007518

 

子宮収縮薬による陣痛誘発・陣痛促進に際しての留意点について小野薬品工業株式会社医薬情報部セミナー、大阪、2007518