泌尿器科

岡 聖次

 

 当科では、あらゆる診療において「充分なインフォームド・コンセントを行った上で、EBMevidence-based medicine)に基づいた診療を行うこと」の実践を目指している。

 当院では「癌」を政策医療の一つとしているが、当科においても平成20年も入院患者総数630名のうち悪性腫瘍患者が336名(53.3%)と50%以上を占め、「泌尿器癌」を当科の診療の柱としている。多くの患者やその家族はインターネット等により自身や家族の病気についての知識を持ち合わせているため、誤った病状を患者に伝えることはその後の診療において治療者側の信頼を失うものと考え、われわれは癌患者に対し「癌告知」を行うことを原則とし、病状についても充分な説明を行い、納得して治療を受けてもらうことを診療のモットーとしている。

 手術的治療においては低侵襲手術を試みている。腎細胞癌や腎盂・尿管癌に対する腎摘除術においては腹腔鏡(あるいは後腹膜鏡)下手術の他、48cmの皮膚切開で行うミニマム創手術にも平成16年度より取り組み、今日では手術法の選択は患者側に委ねている。また、前立腺全摘除術においても平成191月以降は内視鏡補助下で6-7cmの皮膚切開で行っている。

 限局性前立腺癌患者に対しては、手術(根治的前立腺全摘除術)のみを勧めるのではなく、年齢やADL、病状などを鑑みて、放射線療法(組織内、体外照射)あるいはその他の治療法(抗男性ホルモン単独療法を含む)も提示し、最終選択は患者側に委ねている。その結果、当院では平成20年度も組織内放射線照射(HD-RT)患者数が手術患者数を上回り、当院での限局性前立腺癌患者に対するHD-RT治療患者総数は100例を超え、今日では全国的にも上位にランクされるまでになっている。

 平成20年度には進行性腎細胞癌に対する新しい治療薬として注目されている分子標的薬、および尿路上皮癌に対し長年ゴールドスタンダードとされていたM-VAC療法に代わる治療法として期待されているGC(ジェムシタビン+シスプラチン)療法が相次いで保険収載されたことにより、当科では症例を選びこれらの治療にも積極的に取り組んでいる。

 外来診療においては、癌診療を中心とした急性期病院であるという当院の機能的役割に準じ、慢性疾患で薬剤投与が中心となっている患者に対しては、その疾患についてのきめ細かな情報を返信に記載し、可能な限り紹介元での診療を依頼するなどして、病診連携の強化に努めている。

 

A-

1)岡 聖次:どんな症状がなぜ現れるか疼痛、腫瘤・腫脹、発熱.看護のための最新医学講座(第2版):泌尿・生殖器疾患, 22巻、42-49, 中山書店、2008.

2)岡 聖次:画像診断.看護のための最新医学講座(第2版):泌尿・生殖器疾患, 22巻、77-96,中山書店、2008.

3)羽田孝司、徳田由紀子、河合美佐、國富裕樹、油谷健司、栗山啓子、真能正幸、岡 聖次:後腹膜に発生した巨大なdedifferentiated liposarcoma1例.臨床放射線.535):670-6742008

4)岡 聖次:開腹手術、尿路結石症のすべて(日本尿路結石症学会編):91-92,医学書院、2008.

5)小林泰之東田 章原田泰規安永 豊岡 聖次、竹田雅司:腎尿管腎尿管全摘除術・経尿道的操作時に発見された前立腺尿道内反性乳糖腫.臨床泌尿器科.6211):885-8882008

6)Yoshida K, Yamazaki H, Nose T, Shiomi H, Kotsuma T, Yoshida M, Kuriyama K and Oka T.: Ambulatory high dose rate interstitial implant brachytherapy system for prostate cancer. Nowotwory J Oncol. 58(3): 144e-146e, 2008.

7)  Takao T, Tsujimura A, Kiuchi H, Komori K, Fujita K, Miyagawa Y, Takada S, Nonomura N, Okuyama A.

    Urological surgery in patients aged 80 years and older: a 30-year retrospective clinical study.

Int J Urol. 2008 Sep;15(9):789-93. Epub 2008 Jul 10.

8)  Takao T, Tsujimura A, Miyagawa Y, Kiuchi H, Ueda T, Hirai T, Komori K, Takada S, Nonomura N, Osaki Y, Enomoto K, Hatazawa J, Okuyama A. Brain responses during the first desire to void: a positron emission tomography study.Int J Urol. 2008 Aug;15(8):724-8. Epub 2008 Jun 2.

9)  Komori K, Tsujimura A, Takao T, Matsuoka Y, Miyagawa Y, Takada S, Nonomura N, Okuyama A. Nitric oxide synthesis leads to vascular endothelial growth factor synthesis via the NO/cyclic guanosine 3',5'-monophosphate (cGMP) pathway in human corpus cavernosal smooth muscle cells.J Sex Med. 2008 Jul;5(7):1623-35.

10)  Komori K, Tsujimura A, Okamoto Y, Matsuoka Y, Takao T, Miyagawa Y, Takada S,Nonomura N, Okuyama A.Relationship between substances in seminal plasma and Acrobeads Test results.Fertil Steril. 2009 Jan;91(1):179-84. Epub 2008 Feb 4.

 

 

 

B-6

1)  辻村 晃、山本圭介、福原慎一郎、平井利明、植田知博、中山治郎、木内 寛、小森和彦、松岡庸洋、高尾徹也、宮川 康、奥山明彦、松下正輝:視線追跡装置と人格評価による性的関心度に対する性差解析.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

2)  小森和彦、辻村 晃、高尾徹也、山本圭介、福原慎一郎、中山治郎、平井利明、植田知博、木内 寛、松岡庸洋、宮川 康、奥山明彦:ヒト陰茎海綿体平滑筋細胞OCSMC-1Nitric OxideNO)産生およびそれを介したVascular Endothelial Growth FctorVEGF)産生の増加について.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

3)  小森和彦、辻村 晃、高尾徹也、山本圭介、福原慎一郎、中山治郎、平井利明、植田知博、木内 寛、松岡庸洋、宮川 康、奥山明彦:ヒト陰茎海綿体平滑筋細胞OCSMC-1Nitric OxideNO)産生およびそれを介したVascular Endothelial Growth FctorVEGF)産生の増加について.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

4)  松岡庸洋、辻村 晃、福原慎一郎、山本圭介、中山治郎、平井利明、植田知博、木内 寛、小森和彦、高尾徹也、宮川 康、奥山明彦、大須賀慶悟:精索静脈瘤の治療経験.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

5)  中山治郎、山本圭介、木内 寛、高尾徹也、福原慎一郎、平井利明、植田知博、小森和彦、松岡庸洋、宮川 康、高田晋吾、辻村 晃、奥山明彦:塩酸プロピベリン服用による口渇、唾液分泌抑制と塩酸プロピベリンの血漿中濃度に関する検討.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

6)  木内 寛、山本圭介、中山治郎、高尾徹也、福原慎一郎、平井利明、植田知博、小森和彦、松岡庸洋、宮川 康、辻村 晃、奥山明彦:前立腺肥大症を伴う排尿障害患者に対するシロドシンの早期効果に対する検討.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

7)  植田知博、宮川 康、田中宏光、松岡庸洋、福原慎一郎、平井利明、中山治郎、木内 寛、小森和彦、高尾徹也、辻村 晃、西宗義武、奥山明彦:ヒト雄性生殖細胞特異的アクチンキャッピング蛋白遺伝子の解析.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

8)  福原慎一郎、平井利明、植田知博、小森和彦、松岡庸洋、高尾徹也、宮川 康、辻村 晃、山中幹基、竹山政美、高田晋吾、松宮清美、奥山明彦:SCO syndromeに対する顕微鏡下精巣内精子採取術の臨床的検討.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

9)  高尾徹也、木内 寛、山本圭介、中山治郎、福原慎一郎、平井利明、植田知博、小森和彦、松岡庸洋、宮川 康、辻村 晃、奥山明彦:男性ホルモン補充療法の排尿症状に対する影響の検討.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

10) 平井利明、辻村 晃、東田 章、福原慎一郎、中山治郎、木内 寛、植田知博、山本圭介、小森

  和彦、松岡庸洋、高尾徹也、宮川 康、奥山明彦:原発性性腺機能低下症に対するGnRH agonist

  r-hFSHおよびhCG投与による造精機能回復効果.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008

  年425

11)  邵 仁哲、兼光紀幸、内藤泰行、落合 厚、納谷佳男、米田公彦、小森和彦、辻村 晃、河内明

  宏、奥山明彦、三木恒治:高グルコース刺激によるヒト陰茎海綿体平滑筋細胞内でのIGFBP-3

  現量の変化に関する検討.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

12)  宮川 康、辻村 晃、山本圭介、福原慎一郎、平井利明、植田知博、中山治郎、木内 寛、小森

  和彦、松岡庸洋、高尾徹也、奥山明彦:遊離テストステロン値からみた加齢男性生殖機能低下症

  候群患者の症状の検討.日本泌尿器科学会総会.第96回、横浜、2008425

13)  福田聡子、小林泰之、佐藤元孝、高橋 徹、原田泰規、坂上和弘、東田 章安永 豊岡 聖

  、真能正幸:前立腺導管癌の2例.日本泌尿器科学会関西地方会、第203回、奈良(5/31)、

  2008

14)  福田聡子鯉田容平松崎恭介小森和彦原田泰規東田 章安永 豊岡 聖次:術後10年以上経過して再発、転移をきたした腎細胞癌4例の検討.日本泌尿器科学会西日本総会、第60回、北九州(11/7)、2008

15)  松崎恭介鯉田容平福田聡子小森和彦原田泰規東田 章安永 豊岡 聖次、岩佐葉

  子:精嚢転移を来した腎癌の1例.日本泌尿器科学会関西地方会、第205回、大阪(12/6)、2008

16)  鯉田容平松崎恭介福田聡子小森和彦原田泰規東田 章安永 豊岡 聖次、岩佐葉

  子:後腹膜Muller管嚢胞の1例.日本泌尿器科学会関西地方会、第205回、大阪(12/6)、2008

17)  松崎恭介鯉田容平福田聡子小森和彦原田泰規東田 章安永 豊岡 聖次、岩佐葉

  子、石橋道男:術後20年の経過の後、対側腎に再発をきたしbench surgeryを施行した腎癌の1

  例.日本泌尿器科学会関西地方会、第206回、京都(2/14)、2009

 

 

その他

1)岡 聖次Osaka Medical Academy講演:「前立腺疾患の治療」平成20416

2)岡 聖次:法円坂地域医療フォーラム:総合司会:「泌尿器科疾患における病診連携」平成201018

3)東田 章:法円坂地域医療フォーラム講演:「血尿をどう取り扱えばよいのか」平成201018

4)原田泰規:法円坂地域医療フォーラム講演:「排尿障害の訴えにどう対応すればよいか」平成201018

5)安永 豊:法円坂地域医療フォーラム講演:「PSAの意味するもの」平成201018

6)福田聡子:第3RCC臨床治療検討会「当院におけるSorafenibの治療経験初期治療効果について」.平成20220

7)岡 聖次:第12 ワンポイント/カンファレンス講演:「排尿障害における病診連携」平成21221

8)岡 聖次:東成区医師会講演:「過活動膀胱(OAB)の治療戦略」平成21318