口腔および口唇癌
 早期の腫瘍については放射線治療のみで治癒するものもありますが、治療の中心は手術療法です。切除範囲が大きくなる場合には再建手術が必要になります。手術前や後に放射線治療を併用することもあります。口腔癌には、舌癌、口腔底癌、歯肉癌、頬粘膜癌、口唇癌などがありますが、比較的症例の多い舌癌について説明します。

概説
舌は有郭乳頭より前の舌前2/3の舌背・舌縁・舌下面・舌腹をさし、この部分に発生した癌を舌癌といいます。舌根部に発生したものは中咽頭癌に分類されます。

症状
舌の痛み、食べ物がしみるなどが主な症状です。舌根部へ浸潤すると耳への放散痛を訴える場合もあります。

診断の流れ
診断の基本は視診と触診です。とくに触診は重要で、視診上は腫瘍を疑わせる所見がないのに硬結を触れることもあります。
画像はMRIが拡がりを把握するのに適しています。口腔底から下顎骨付近まで浸潤する場合は、CTなどで骨に浸潤がないかを確認します。

病期
原発巣の進行度は'T'で示し、
T1は、最大径が2cm以下
T2は、最大径が2cmをこえるが4cm以下 (3cm以下をearly T2)
T3は、最大径が4cmをこえる
T4は、隣接組織(下顎骨、舌深層の筋)への浸潤を認めるもの
と定義されています。

治療
手術摘出が優先されます。原発巣が小さいT1やearly T2の場合、舌の部分切除術を行いますが、嚥下や構音といった機能に障害をきたすことはありません。原発巣が大きくなると、切除範囲が大きくなるため、機能障害は必発します。嚥下障害をおこしそうな場合、輪状咽頭筋切断術や喉頭挙上術といった嚥下機能補助手術を同時に行うこともあります。
放射線治療を行った場合は、口腔内に放射線があたるわけですから、治療後に味覚障害や口腔内乾燥感をきたします。
当院での病期別の大まかな治療方針は下記の通りです。
T1N0、early T2N0:原発巣のレーザー切除
T2N0:原発巣のレーザー切除+患側上頸部郭清術(予防的)
T1N1-3,T2N1-3:原発巣のレーザー切除+患側根治的頸部郭清術
N2c(両側)の場合は健側の全頸部郭清術(内頚静脈を温存)も行う。
術後放射線治療
T3N0:原発巣の広範囲切除+患側根治的頸部郭清術+切除部分の再建手術
術後放射線治療
T3N1-3,T4N0-3: 原発巣の広範囲切除+患側根治的頸部郭清術+健側上頸部郭清術+切除部分の再建手術
術前全身化学療法1、2コース
術後放射線治療


当院での治療成績 (平成12年1月〜20年3月)

 口腔癌症例数:30例  5年生存率:68.4%


治療後の後遺症
舌部分切除(レーザー)では、とくに大きい支障はきたしません。
T3以上で広範囲切除を行ったとき、嚥下障害や構音障害といった症状をきたします。嚥下障害をおこしそうな場合、輪状咽頭筋切断術や喉頭挙上術といった嚥下機能補助手術を同時に行うこともあります。
 当科では、T1やearly T2であれば、治療後の後遺症が少ないためレーザーなどによる舌部分切除を行っています。

舌癌局所所見