髄膜がん種症(脳神経外科)

1.多様な神経症状を呈する髄膜癌腫症の治療 | 2.治療実績と症例 | 3.治療方法


 1.多様な神経症状を呈する髄膜癌腫症の治療

癌治療成績が向上し、生存期間が延長されるにしたがい、癌治療後の患者に転移性脳腫瘍や、髄膜癌腫症(癌性髄膜炎)が発見される機会が増えています。なかでも髄膜癌腫症の予後は悪く、確定診断後の生存期間は自然経過で通常1-3ヶ月とされております。症状が多様であるため、診断が遅れ、症状が進行してから発見されることが多く、意識障害が出現してしまってからでは予後が悪くなります。このため、神経症状が軽微なうちに診断し、早期に治療を行うことで、生存期間を延長させ、ADLを改善させることが期待されます。

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 2.治療実績と症例

当院では2001年9月より2003年9月までの2年間に、6例の髄膜癌腫症の治療を行い、平均で9ヶ月以上の生存を得ております。症例の内訳は、乳癌2例、肺癌(腺癌)3例、悪性リンパ腫1例です。これら症例の初発症状は多彩で、頭蓋内圧亢進症状(頭痛等)(2例)、視力障害(2例)、聴力障害(1例)、精神症状(性格変化など)(1例)でした。髄膜癌腫症に特異的な症状はないため、診断にはまず疑うことが重要です。

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 3.治療方法

治療法は、全脳照射30Gy(3Gy/回を10回)と前頭部皮下に設置したオンマヤ槽からの髄腔内化学療法を併用します。治療期間は約3週間程度です。重大な副作用として、Leukoencephalopachy(白質脳症)があり、私どもの経験した6例のうち2例において認められました。しかし、軽度の痴呆症状が見られたのみであり、化学療法を中止することで、症状を改善させることができました。
 末期癌患者の生存期間の延長やADL改善のため、短期間で効果の得られる本治療法は有用なものであると思われます。
40歳女性、乳癌原発