あとがき
インテリジェントホスピタルというキャッチフレーズが広まって多くの人から質問を受けた。インテリジェントなんてキザで恥ずかしいし、もともと明確な定義があったわけではないので、相手を見ながら曖昧で抽象的な答えをしてきた。しかし、これだけの莫大な税金を使って建てられた病院であるから、意図しようとしたことをまとめて報告しておく義務はあるなと思っていた。最初は1般の人を対象に、古い病院と新しい病院を比較して、これからの日本の大学病院のあり方を問いたいと思って書き始めた。ところが書き進むうちに、建物や設備のことから人のことに問題が移ってくるとペンが医療を提供するわれわれの方に向かってしまった。そして、最後は自分への自省になり、誰へのメッセージかわからない変な文章になってしまった。
「インテリジェントホスピタルとは大学病院の英訳だよ」と答えたことがあったが、大学病院が日本の医療の姿を左右していると言って過言ではない。大学で受けた教育が1生の医師像を決定する。大学病院の診療が1般病院の規範となっている。大学の行う人事が関連病院をよくも悪くもする。これだけ重要な存在であるのに大学病院の現状を議論しようとする声は案外少ない。外部からの批判を拒む閉鎖性がまだまだ残っていると思う。阪大病院では移転を契機に内部改革を実行しようといういくつかの動きはあったが、各論になるといずれも尻切れトンボに終わった。インテリジェントホスピタルの真意がいつのまにかコンピュータ化や機械化といった技術志向にすり替えられて行った。コンピュータ化はされたが情報化はまだ行われていないのがいまの阪大病院の姿だと感じる。
最後になったが、この拙文にマンガを描いていただいた福島正勝医師(全日空診療所)、ワープロや校正でお手伝いいただいた福浦佳子、吉川聖子両君、出版にご協力いただいたメデイカルレビュー社松岡光明社長ならびに河秋美氏に厚くお礼申し上げたい。
Back to [ インテリジェントホスピタル目次 | ホームページ ]
Michitoshi INOUE / President, Osaka National Hospital
(c) Copyright 1996, Michitoshi INOUE. All rights reserved.