形成外科へようこそ

代表的な治療例

@皮膚腫瘍、眼瞼周囲癌

腫瘍の治療面だけでなく、整容面にも配慮した手術を行っています。
特に眼瞼の腫瘍を専門としていて、眼瞼の機能だけでなく外観も重視した再建をしております。

1)良性腫瘍切除例

下眼瞼の色素性母斑(ホクロ)

2)悪性腫瘍切除例


眼瞼周囲癌の場合、結膜まで浸潤があり従来なら眼球摘出になるケースも、当科では できるかぎり眼球を温存するべく、放射線治療科や眼科の協力のもとに様々な工夫しています。

3)55歳、男性  下眼瞼皮膚悪性腫瘍

 

A顔面皮膚腫瘍

顔面の皮膚腫瘍(皮膚癌)については、完全切除と整容性を重視した手術治療を行っています。
拡大切除時に即時再建でなく、一旦人工真皮で被覆し完全切除を確認後に再建(植皮や皮弁)を行います。
こうすることで、完全に切除されたことを病理組織で確認してから 再建できるだけでなく、待っている間に欠損部が肉芽が増生してくるので植皮も小さくて済み、陥凹変形もほとんどなくて済みます。
また植皮術の場合、当科では糸跡が残らない工夫を行い、整容的にも満足の行く結果を目指しています。

顔面皮膚悪性腫瘍の当科での植皮例

代表的症例1 65歳、女性 鼻背 基底細胞癌

B眼瞼下垂

先天性の眼瞼下垂、及び老人性の眼瞼下垂を治療しています。
開瞼時(目を開けた時)、瞼縁が瞳孔(真ん中の黒目の部分)にかかるようになると眼瞼下垂であるとされます。

ある程度の年齢になると、眼瞼皮膚や眼瞼挙筋(目を開けるための筋肉)が弛緩し、 瞼板からはずれたりして眼瞼下垂になることがあります(老人性眼瞼下垂)。

眼瞼下垂になると眉をあげることで無理に目を見開こうとするために、額にある前頭筋が常に緊張し、前頭筋だけでなく後頭の筋の緊張をひきこし肩こりや不定愁訴の原因になることもあります。

手術で眼瞼挙筋を前進させて瞼板に固定し治すことで、眼瞼の下垂が修正され眉の位置も正常にもどります。そして結果的に肩こりや頭痛が軽減したというケースもあります。

先天性の重度の下垂では挙筋がもともとあまり動かないため、大腿から筋膜を採取して筋膜で眉と瞼板を皮下でつないで眉の力で瞼を上げるという手術を行います。

老人性眼瞼下垂に眼瞼挙筋前転法を行った症例

先天性眼瞼下垂に眼瞼挙筋前転術(短縮術)を行った症例

先天性の眼瞼下垂では、挙筋の機能が悪いことが多いですが、ある程度の機能がある場合は 老人性の下垂症のように、挙筋前転(短縮)術を行います。
しかし、挙筋の機能が生まれつき弱いため挙筋を前転する量は 老人性の場合よりも多くなることが多いです。

 

Cその他眼瞼形成術

眼瞼の手術には眼瞼下垂の修正以外にも形成外科で取り扱う疾患があります。
多いのは上外の睫毛内反症で、睫毛が内反することで、眼球にあたります。
放置すると睫毛の刺激で結膜炎、角膜炎やひどい場合は角膜の潰瘍を起こし視力低下を起こすことがあります。
睫毛内反症は、幼少時であれば成長ともに改善して、自然治癒することが多い疾患です。
しかし思春期以降も自然治癒しない場合は手術で修正することになります。
手術は上眼瞼は二重瞼を作製して睫毛を上向かせる手術になります。
下眼瞼では睫毛の下2〜3ミリで皮膚切開をして睫毛を下向きに矯正します。
このとき術後数ヶ月は下眼瞼が二重瞼のようになることがありますが、
6ヶ月くらいできずあとはほとんど目立たなくなります。

上外の睫毛内反症に修正術を行った症例

先天性の睫毛内反症以外に、加齢により睫毛が内にむき眼球を刺激することがあります。
瞼板自体が加齢により内反することで起こりますが、手術で治すことができます。


D難治性ケロイド・瘢痕

術後の傷が隆起し幅が出て、難治なケロイドになることがあります。
ケロイドは外観の問題だけでなく、痛みやかゆみを伴うなど不快な症状を伴うことがあります。 一般にケロイドは難治性とされています。

治療法は
@保存療法
     圧迫療法(テープ、シリコンテープ)
     ステロイド剤の外用、テープ、局注
     内服剤(リザベン、漢方薬)
A切除+放射線療法
Bその他 凍結療法、レーザー など
などがあり、使い分けます。

特に前胸部のケロイドは難治で、保存的な療法だけではなかなか治癒しません。
ケロイドは切除しても、手術だけでは80%以上で再発します。
しかし切除後に少量の放射線を照射することで、再発率をおよそ20%以下に抑えることができます。そのため切除後に創部に放射線を照射するのが、ケロイドに対して最も効果の高い方法とされています。

当院では放射線治療科と協力して難治なケロイドに対して、切除後放射線療法を行っています。 また全国で唯一、ケロイドに対して外照射だけでなく組織内照射も行っており、部位や症例に応じて外照射か組織内照射を使い分け、より効果的にケロイドを治療するようにしています。

 

E乳房再建(人工乳房の例、自家組織(皮弁)による例) と自家組織による例

乳癌で乳房切除後の再建術も行っています。
乳癌の手術と同時に再建する一期再建術と後日再建術を行う二期再建術とがあります。
他院で乳房切除された後、何十年もたってから再建を行うこともあります。
再建方法は自分の組織で再建する(皮弁)方法(自家組織)と、 人工乳房(シリコン)を入れる方法とに分かれます。
当院ではどちらも行っています。自家組織による再建の方が多いですが、 人工乳房が保険適応になってからは、人工乳房再建例も増えています。
自家組織による再建は、皮弁採取部の犠牲がありますが、生体組織なので、 手術がすべて終了した後は、その後のメンテナンスは基本的に不要です。
人工乳房は、他の部位の犠牲はありませんが、異物(シリコンバック)を体内に入れるため 何十年か、何年か後に露出したり、位置がずれたりして、抜去や入れ替える可能性があり メンテナンスが必要になります。

左乳癌で乳腺全摘出後、人工乳房で再建した例 1(乳頭作製+刺青)

左乳癌で乳腺全摘出後、人工乳房で再建した例 2 (乳輪乳頭温存 外側皮膚切開)

乳房外側から皮膚切開を行い、乳輪乳頭を温存して乳腺全切除を行う場合もあります。
皮膚切開線は正面から見えず、また自分の乳輪乳頭が残りますので、自然な外観になります。
しかし、人工乳房で再建するこの方法は、健側に比べて再建側の乳輪乳頭の位置が上がってしまい、左右がやや非対称になることが多いのが欠点です。


左乳癌で皮下乳腺全摘出後、自家組織(広背筋皮弁)
              で即時再建した例(乳輪乳頭温存 外側皮膚切開)

このケースも乳房外側から皮膚切開を行い、乳輪乳頭を温存して乳腺全切除を行っています。
皮膚切開線は正面から見えず、また自分の乳輪乳頭が残りますので、自然な外観になります。
欠点は、人工乳房と違い、皮弁採取部に傷ができるという点です。 手術時間も長くなります。
広背筋を使用した場合、背中に傷が残ります。(体質にもよりますが時間経過で目立たなくなってきます。)
長所としては、再建した乳房は、自分の生きている組織ですので、シリコンの乳房と違い、将来のシリコン乳房の感染の心配や位置異常、露出の心配もありません。
即ち、メンテナンスや将来の入れ換えなどは不要です。 
健側と同様な自然な柔らかさで下垂します。


右乳癌で乳輪乳頭皮膚を含めて乳腺全摘出後、
              自家組織(腹直筋穿通枝皮弁)で即時再建した例

このケースでは右乳房を、乳輪乳頭、皮膚を含めて切除し、乳腺全切除を行っています。
同時に下腹部から腹直筋をほぼ温存した皮弁を採取し、右乳房へ移植して乳房を再建しています。(微小血管吻合付き)
皮膚切開線ありますが、下腹部の皮膚は胸部の皮膚と質感や色調が近いので、自然な外観になります。二期的に乳頭を皮弁で作製し、乳輪乳頭部へ刺青をしています。
欠点は、人工乳房と違い、皮弁採取部(下腹部)に傷ができるという点です。手術時間も長くなります。
下腹部に横に走る傷がありますが、皮膚のしわのようで目立たず、また下着で隠れる部位です。また微小血管吻合を行う場合、まれに吻合がうまくいかない場合があり、その場合皮弁が壊死になります。
長所としては、再建した乳房は、自分の生きている組織ですので、シリコンの乳房と違い、将来のシリコン乳房の感染の心配や位置異常、露出の心配もありません。
即ち、メンテナンスや将来の入れ換えなどは不要です。健側と同様な自然な柔らかさで下垂します。
また下腹部の脂肪が減量できます


F脂肪腫など 整容的な摘出

脂肪腫など良性腫瘍の場合、切除の目的には整容の改善が含まれます。
皮膚の切開方向や部位によって、術後のきずあとが目立ったりすることがあり 切開部位や切開方向にも注意をして手術を行っています。
特に肩関節の近くは、皮膚の緊張が強く、よく動く部位であるため、傷が術後にケロイドといって赤く盛り上がりやすく、切開の方法は注意が必要です。
女性の場合、なるべく衣服や下着にかくれる部位に切開線を置くこともあります。

右肩関節近くの脂肪腫

(写真の掲載については全て患者様の承諾を得ています。)