訪問研修について

体験談1株式会社 介護付き有料老人ホームの場合

体験談2社会福祉法人 特別養護老人ホームの場合

体験談3認知症対応型の株式会社 共同生活介護施設の場合

体験談4社会福祉法人 知的障害者施設の場合

体験談5介護保険対応の療養型病院の場合

陽性者の受け入れのお話があったときは、どのように思われましたか?

はじめはやっぱり不安で、ちょっと怖いなと・・・。エイズに関する情報のはしばしを耳にすると、すごく否定的な考えになってしまって、何を理由に断わろうかなあという方向に自然と向いてしまっていました。直接援助する職員の中に一人でも反対する人がいたらやめようという話をしていました。
  それでうちの社長に相談したところ、まあ、いつもそうなんですけど「何が問題なの?」「そのかたが普段の生活をするときに何か問題が起こるの?」と。「受け入れればいいじゃない」ってさらっと言われまして(笑)。そもそも社長の考え方は、誰にも当然、一人の人間として生きていく人権がある、それを施設というところに閉じ込めるのではなく、そのかたがそれまでされていた生活をそのまま再現する、というものなんです。それで、その後は受け入れるためにはどうすればいいんだろうという方向からか投げるようになりました。

具体的にはどのような準備をされたのでしょうか。

うちの施設のマニュアルでは、エイズは肝炎と同様に血液だけ気にすればいいと書いてあったんです。それでエイズ予防財団(※1)から冊子を送っていただいたりして、具体的な不安をあげて感染症の知識に関する勉強会をやってみました。感染症というのもについての考え方、スタンダードプリコーション(※2)という話をした上で、自分が仕事でそのかたと接するときに、どの部分が具体的に危険なのかをわかりやすく話しました。それからケアの責任者である施設長に、ご本人に会ってもらう機会を作りました。ご本人に会って、お話をしたことで、施設長もこのかただったら受け入れたいなあという気持ちを強く持てたようでした。

食事部の職員から「聞いてない」と詰め寄られて 実際に受け入れてからはいかがでしたか?

実際に介護する職員については、思ったよりスムーズにいきました。ただ食事作りなどをしてくれている職員から、「エイズの人を受け入れるなんて聞いていません」と、入居後三日目くらいに、みんなで詰め寄られました。
  そこでまず、事前に話しをしていなかったことを謝罪して、みんなのイメージを聞いて、そこから話していきました。年齢的に学校教育ではエイズのことを習っていないかたが多くいるような状態でした。それで五時間ぐらい話をしました。その結果、それならまあまあ受け入れますということになりました。実際にはそのうちご本人が気さくなかたで人気者だったので不安も消えていったという感じでした。最終的には今回受け入れをしたことで、本当の現場の結束というのが逆にできました。

入居中の医療についてはどうされましたか?

何かあったときの受け入れ先については、やっぱり私自身も心配なところがあって、もともと市立病院のソーシャルワーカーさんからのご紹介だったので、そちらにご相談したところ、救急のときの受け入れはしますというお話をいただきました。ただ専門医がいないので、経過観察はできないといわれてしまい、遠方のエイズ拠点病院(※3)まで通院する必要がありました。どうしてももっと近くで医療が受けられないのかという思いは残りました。職員の問題は思っていたよりもちゃんと話をすればわかってもらえる、だけど医療はこちらでは一切手を出せないので、その部分を解決できる体制がないと多分受け入れようという気分にはならないだろうなあと感じます。
  今回は、前医である療養型病院の先生の情報提供書が、すごく暖かい感じの書き方をしてくださっていたので、それをみんなに直接読んでもらったのが、職員の安心に繋がったと思います。その後も先生とメールのやりとりをする中でも、いつでも行きますよとご返事をくださり、本当に医療の部分の受け入れが課題なんだと思いました。

他の入居者に対して配慮されたことはありますか?

病気のことは個人情報なので、たとえば、「このかたは結核の既往があり、再発の可能性はゼロではありません」と他のかたに説明することがないのと同じです。もし病気のことについて聞かれた場合は「個人情報なので基本的にお話しできない」と伝えてもらい、それでも納得されない場合は、私に問い合わせてもらうよう統一しました。なんらかの形で詰め寄られた場合は、感染症とは何かから順を追ってお話しし、入院しなければいけない状態ではないので、入居をお断りする理由はないという結論に持っていこうと準備していました。

(※1)エイズ予防財団:厚労省の外郭団体。国のエイズ行政を実務的な側面で担って活動している。
(※2)スタンダードプリコーション:すべての人がなにかの病原体をもっていると仮定して対応する予防法。
(※3)エイズ拠点病院:HIV感染症の治療や研究の拠点となる病院。大都市圏や県庁所在地の大病院等を中心に、全国に300か所以上、指定されている。

体験談A 社会福祉法人 特別養護老人ホームの場合
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