独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター
HIV/AIDS先端医療開発センター

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研修会報告

平成16年度HIV海外研修報告記(ニューヨーク)

報告者:
HIV/AIDS先端医療開発センター 山本善彦
渡航先:
アメリカ合衆国 ニューヨーク
研修先:
St. Vincent Medical Center,HIV/AIDScomprehensive Center
日程:
平成17年1月11日~平成17年1月23日

 HIV/AIDSの海外研修の機会を得ましたので、2005年1月11日から12日間、ニューヨーク・マンハッタンにある、St. Vincent Medical Center,HIV/AIDScomprehensive Centerの研修に参加しました。St Vincent Medical Centerはマンハッタンのグリニッジ・ビレッジの一角にあり、その中にあるHIV/AIDSセンターは延べ3000人の外来患者を擁する、ニューヨーク屈指のHIV専門医療機関です。このAIDSセンターはニューヨーク州・ニュージャージー州・コネチカット州のAIDS治療の研修指定機関であり、盛んにAIDS臨床の研修を受け入れています。ニューヨーク州はHIV感染者数がアメリカ国内で最も多い州であり、15万人以上の感染者がいます。そのうち半数以上の8万7千人がニューヨーク市内に住んでいます。

 このSt Vincent AIDSセンターには毎日約200人の外来受診者があり、外来は午前、午後、夜間の3時間帯に分けられ、HIV/AIDSを専門とするDrが常に6-7人ほど居て診察をしています。AIDS専門外来の中に眼科、婦人科、皮膚科の診察枠も設けられています。3000人の外来患者に対して、入院は12人程度と極端に少なく、日本に比べて入院期間を少なくする保険制度のことを差し引いても、もはやHIV感染症は外来中心で行われる時代であることを感じました。

 今回の研修では、研修を受けるのは私ひとりであったので、予めこちらから研修をしたい内容について事前にリクエストを出しておいて、それに沿ったプログラムを設定してもらいました。こちらからのリクエストとしては、T-20、FTCなどの日本では未だ認可されていなかった薬剤に関する情報や、使用経験・使用期間が浅いテノフォビルなどの副作用のフォローアップなどの実地臨床を見聞きしたいという点を挙げていました。

 「妊娠とHIV」「HIV感染症における呼吸器疾患」「HIVとコカイン」「メタアンフェタミンとHIV」「HIVと脂質代謝」といったセミナー・レクチャーに参加し、それ以外の時間は外来を中心に、様々なDrの診察に参加し、合間にDrたちとディスカッションをするというスタイルの研修でした。HIV感染症の中でも、特にコカイン・ヘロイン常用者を専門に診療するDrや、覚せい剤常用者を専門に診療するDrが居ます。これは何を意味するかというと、アメリカではコカイン・ヘロイン常用者はヘテロセクシャルな人が多く、覚せい剤常用者はホモセクシャルな人が多いそうで、付随する問題点も異なるため、多くの患者を診るうちにHIV感染症の中でも専門性が細分化してきているようです。

 ところで、世の中には奇遇なことがあるものです。実は私は大阪医療センターに赴任する前はニューヨーク大学ノースショア病院研究所で働いておりました。そのすぐ近くには、同系列のロングアイランド・ジューイッシュメディカルセンターという病院があり、よくセミナーなどで通っていました。奇遇というのは、このSt Vincent AIDSセンターのセンター長は、そのメディカルセンターで長年勤められた後に、このSt Vincent AIDSセンターに赴任されたとのことで、私のボスとも旧知の仲とのことです。世の中は広いようで狭いものです。

 あっという間に最終日となり、締めくくりはSt Vincent AIDSセンターとロックフェラー大学アーロンダイアモンドAIDS研究所の合同セミナーでした。ここでは、HIVワクチン開発、HIV急性感染などに関する最新の臨床研究に関するセミナーがありました。

 この研修を振り返れば、短い期間ではありましたが頭いっぱいにHIV感染症のことを考えることが出来、非常に良い刺激になりました。

 そして最後に、同じHIV/AIDSを専門とする臨床医の友人が出来たことが何よりの収穫でした。

画像:St. Vincent Medical Center

St. Vincent Medical Center
7番街に面しERがある。9・11の同時テロでは多くの負傷者が治療を受けた。

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