研修会報告
平成18年度HIV感染症医師実地研修会感想文
今年度から、増加を続けるHIV感染症患者に対してHIV専門医が少ないという状況を改善する為にHIV感染症専門医師養成コース(HIV感染症医師実地研修会)を立ち上げました。 対象は西日本(北陸・東海・近畿・中四国・九州)のエイズ診療拠点病院が対象で、1ヶ月間におよぶ実地研修(講義41コマ、外来・病棟実習73時間)を実施しました。

実施時期 : 平成18年10月2日(月)〜平成18年10月27日(金)
開催場所 : 独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
開催目的 : HIV感染症に関する最新の専門知識・治療技術を習得させ、HIV診療体制構築の充実を実践できる人材育成を
                       目的とする。
対象      : 西日本のエイズ治療拠点病院医師(初期臨床研修医は除く)で、所属施設長の推薦を受けた者。
参加者    : 1名

プログラム概要
1週目  講義・病棟実習
2週目  講義・病棟実習・外来実習
3週目  病棟実習、外来実習・HIV関連NPOへ見学実習(2施設)
4週目  病棟実習・外来実習
<研修会を振り返って>
市立堺病院
呼吸器内科 西田幸司

  10月2日から10月27日までの4週間、大阪医療センターでのHIV/AIDSの研修を受講しました。初めて実施される研修、さらに受講生は自分ひとりということで当初はかなり緊張していましたが、研修に携わる大勢のスタッフのおかげで、緊張もほぐれ、有意義な研修をおくることができました。 私は市立堺病院で呼吸器科を専攻しています。もともとこの研修に参加したきっかけは、呼吸器科を続けていくうえで、PcPのようなHIV/AIDS関連の呼吸器疾患を数例経験する中で、HIV診療そのものに興味を持ったからです。当院でのHIV診療に従事されている上級医にこの研修のことを伺い、是非参加させて欲しいとお願いしました。

   研修はHIV/AIDSに関わるLectureと病棟、外来研修でした。HIV/AIDSが多臓器にわたる疾患であるため、免疫感染症科以外に、皮膚科、眼科、外科(肛門科)、消化器科(肝炎)、呼吸器科、血液内科(血友病)その他、複数の専門科の先生からLectureを受けられたことは非常に嬉しく思います。病棟研修では、入院されている患者様を免疫感染症科の先生と共に診させていただきました。4週間で受け持ち患者様は6名と少なめでしたが、日和見感染症の診断、治療、HAARTの選択、抗HIV薬の副作用対応など実際の臨床を間近で見ることができ楽しかったです。また、外来研修では、新患の問診、診察、定期受診患者様のfollowの仕方を外来の先生について見学しました。実際保健所などでHIV抗体陽性の患者様が来られた場合、どのように患者様に説明し、検査を進めていくか、また、定期受診の患者様にどうのように説明しHAARTを開始し、維持していくか、患者様のキャラクターを見ながらの診察を見学でき、有意義でした。

  この研修の中で、HIV/AIDS診療に関して、病態が多臓器にわたるため、複数の専門科の協力が非常に重要であること、また、患者様のprivacyを守りながらも、孤立させないようにTeamで支援していく必要があることを強く感じました。今回の研修で培った知識、経験を糧に少しでもHIV/AIDS診療に関わっていきたいと思います。

   現在、HIV/AIDS診療は特定の医療機関に集中していますが、限界に近づきつつあると聞きます。今後ますます患者増加が予想される中、来年度以降もHIV/AIDS診療に関わる、やる気ある若い先生のためにこの研修がさらに充実したものになることを望みます。 最後にこの研修のために多大な時間と労力をさいてくださいました大阪医療センター免疫感染症科のスタッフ、そして快く研修に参加させてくださいました市立堺病院内科の先生方に厚く感謝いたします。


修了証書授与

メッセージ:
 西田幸司先生 1ヶ月の間、ご苦労さまでした。先生と共に診療ができた事は私どもにとっても大きな収穫でした。
今回、準備期間が短く、到らぬ点があったかも知れませんが、院長の号令の下、全職員の理解と協力を得られ開催が実現しました。
HIV感染症は全身疾患です。今回の講義でも多くの診療科や、看護部、薬剤科、臨床心理室、医療相談室など内容は多岐にわたりました。実習ではセクシャリティー、プライバシーなどHIV診療の基本を身につけ、種々の病態の診断と治療を体験し、チーム医療の在り方を学ばれました。先生が今回の体験を今後のHIV診療に活かされる事を期待しています。HIV診療で何かあれば、どのスタッフにでも声をかけて下さい。
 最後に、西田先生の研修参加にご理解を戴いた市立堺病院の関係各位に、この場を借りまして深謝致します。
                                                  
HIV/AIDS先端医療開発センター長 白阪琢磨