独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター
HIV/AIDS先端医療開発センター

〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14
TEL:06-6942-1331(代) FAX:06-6946-3652

 

研修会報告

平成19年度HIV感染症医師実地研修会感想文

 大阪医療センターでは、増加を続けるHIV感染症患者に対してHIV専門医が少ないという状況を改善する為にHIV感染症専門医師養成コース(HIV感染症医師実地研修会)を実施しています。対象は西日本(北陸・東海・近畿・中四国・九州)ブロックのエイズ診療拠点病院が対象で、1ヶ月間におよぶ実地研修(講義・外来・病棟実習)を実施しました。

実施時期
平成19年10月1日(月)~平成19年10月26日(金)
開催場所
独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
開催目的
HIV感染症に関する最新の専門知識・治療技術を習得させ、HIV診療体制構築の充実を実践できる人材育成を目的とする。
対象
西日本のエイズ治療拠点病院医師(初期臨床研修医は除く)で、所属施設長の推薦を受けた者。
参加者
2名
 
<4週間の研修を振り返って>

滋賀医科大学医学部附属病院
消化器内科 小泉祐介

 卒後、おもに消化器病診療に従事してきた私ですが、今後、感染症を専門として総合的に診療していくに当たり、この分野では不可欠な疾患であるHIVに関して充分な経験を得たいと考え、本プログラムに応募させていただきました。応募した当時は一人と思っていましたが、初日にもう一人の参加者である姫路医療センターの岡田先生とお会いしたときは大変心強く、期間を通してお互い違う専門分野に関して教えあい、相談しあい、楽しい日々を過ごせました。

 10/1から10/26までの4週間にわたる研修でしたが、当初予想していた以上の収穫を得ることが出来ました。 まず、わが国でもトップレベルの診療実績を誇る先生方に、半ば個人授業のような形で講義を頂いたのは大変光栄なことでした。多領域に渡る専門的な医学知識のみならず、コメディカルからNPOまで、あらゆる分野の方に伝授して頂いた知識は、今後の診療に必ず生きると思います。 また病棟では電子カルテの恩恵もあり、入院中の全症例と、更には過去の症例も経過から診断の根拠、治療後の変化など、隅々まで勉強させていただくことも出来ました。 そして、やはり欠かせなかったのは先生方との交流が密であり、教科書には載っていないような診療上の生きた知恵やちょっとしたコツを聞かせて頂いた事です。これは1ヶ月という期間があってこそ得られた貴重な経験と思います。

 研修中に印象に残った点は主に二つあります。1つは感染者が、多臓器にわたる病態・精神的苦痛・金銭的問題・社会的事象・セクシュアリティ・アドヒアランスなど様々な問題点を抱えていることを改めて知ったことでした。一人の患者さんがこれだけ多くの苦しみを背負う病気を私は他に知りません。しかしながら、あらゆる業種の人たちが、それぞれ役割分担しながら仲良く生き生きと働き、一つ一つ着実にその問題点を解決していく過程には大変感銘を受けました。たった10年でこのチームを作り上げた先生方の苦労も並大抵ではなかったでしょうが、皆様の熱意を見習い我々も日々努力していきたいと思いました。 もう1点は、これだけ素晴らしい病院であっても、一極集中に体制が追いつけなくなる日がいずれ来るだろう、というブロック拠点病院ならではの苦悩が見え隠れしていたことです。西日本に一人でも多くのしっかりとした診療者を育て、力強いネットワークを構築するという、このプログラムの設立された意義を噛みしめ、地域に貢献する決心を新たにしました。

 今回の経験を礎として、私はHIVを含む感染症診療に携っていきますが、関西圏ネットワークの一層の発展に努力しますので、皆様方にはこれからも末永くご指導を頂けますようよろしくお願いいたします。 最後になりましたが、多忙中にも拘らずご指導下さった白阪先生と上平先生、根気強く教えてくださったスタッフ・レジデントの先生方、そして本プログラムを綿密に企画して下さった山本先生と毎日つきっきりでお世話下さった古金さんに、今いちど厚く御礼申し上げます。

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<4週間の研修を振り返って>

国立病院機構姫路医療センター
内科 岡田秀明

10月1日から10月26日までの4週間、大阪医療センターにてHIV/AIDS研修をさせていただきありがとうございました。今回の我々の研修のために、膨大な時間と労力を割いていただき、非常に丁寧にご指導いただいた大阪医療センターの免疫感染症科のスタッフのみなさん、今回の研修に快く送り出していただいた姫路医療センター内科の先生方に感謝いたします。 今回は滋賀医科大学の小泉先生と2人でしたが、小泉先生には4週間本当にいろいろな場面で助けていただきました。同時に研修できたことを非常にありがたく思います。

今回研修に参加しようと思ったきっかけは、以前にPcPでAIDSを発症した症例を数例経験し、PcPなど治療が確立している治療は可能でも、それ以降の治療(HAARTの導入など)の経験がないため、結局ブロック拠点病院などにお願いする症例を経験し、今後HIV/AIDSの患者数が増加していく中で当院でも積極的に治療を行っていく必要性を感じたからです。

研修内容は40時間の講義、病棟実習、外来実習などでした。HIV/AIDSが多臓器にわたる疾患であるため、外科や眼科、皮膚科など内科以外のDrの講義や、コーディネーターナースやMSWなど多職種の講義を聞くことができました。大学卒業後、体系化した講義というものを聞く機会が全くなかった自分には、講義のすべてが非常に新鮮であり、学生のときとは違い積極的に質問などもすることができました。病棟実習では免疫感染症科のスタッフと一緒に入院されているHIV/AIDS患者の診療にかかわることができました。日和見感染症の治療、HAARTの導入など講義では理解したつもりでも、やはり実際の症例にあたり、その経過をみることでさらに理解が深まりました。またそれぞれの先生方の今まで経験された症例について、苦労したことなどを直接聞くことができたのも非常に貴重な経験になったと思います。外来実習では主に定期受診患者の検査、フォローの仕方、新患が来たとき検査や説明の方法などを中心に学びました。

 今回の研修で一番感じたのは、HIV/AIDSの治療がチーム医療であるということです。医師・看護師・薬剤師・MSW・臨床心理士など複数のスタッフがかかわることで、質の高いよい医療ができるものと感じています。現在のHIV/AIDSの感染経路の大部分が性行為であること、本人のsexualityなどプライバシーの問題も配慮しながら、医療スタッフで情報を共有し、teamとしてかかわる必要性をこの研修を通じて学びました。

 今後もこの大阪医療センターでのHIV/AIDS研修が継続して行われ、さらに充実した研修となることを強く望みます。多くの方の力をお借りして、研修させていただき得た知識を、HIV/AIDS診療にかかわるなかで還元していければと思います。本当にありがとうございました。

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