研修会報告
平成24年度HIV感染症医師実地研修会
 大阪医療センターでは、増加を続けるHIV感染症患者に対してHIV専門医が少ないという状況を改善する為に、平成18年度よりHIV感染症専門医師養成コース(HIV感染症医師実地研修会)を実施しています。本年度も1ヶ月間におよぶ実地研修を実施しました。
実施時期: 平成24年10月1日(月)〜平成24年10月26日(金)
(前半:10月1日〜10月12日は講義、後半:10月15日〜10月26日は病棟実習)
開催場所: 独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
開催目的: HIV感染症に関する最新の専門知識・治療技術を習得させ、HIV診療体制構築の充実を実践できる人材育成を目的とする。
対象: 西日本ブロックのエイズ診療拠点病院医師(初期研修医は除く) で所属施設長の推薦を受けた者。研修終了後にHIV診療に継続して関わる者が望ましい。
参加者: 4名 (うち1名は 、10月1日〜10月12日講義、病棟実習2月)
内容: 講義・病棟実習・外来見学・NPO見学
         
講 師 一 覧
1) HIV感染症の疫学・抗HIV療法の考え方 白阪 琢磨
2) HIV感染症の診断 渡邊 大
3) HIV急性感染 渡邊 大
4) HIV診療の医療体制・HIV曝露後対策 上平 朝子
5) 日和見感染症診療(HIV脳症、PML) 矢嶋 敬史郎
6) 外来療養支援の実際 下司 有加
7) 在宅療養支援の実際 下司 有加
8) HIV感染症と肝炎 三田 英治
9) 日和見感染症診療(カポジ肉腫) 矢嶋 敬史郎
10) 日和見感染症診療(カンジタ症、クリプトコッカス症他) 矢嶋 敬史郎
11) 日和見感染症診療(ニューモシスチス肺炎) 大寺 博
12) HIVとカウンセリング 安尾 利彦
13) わが国におけるHIV母子感染の現状 多和 昭雄
14) 日和見悪性腫瘍 小泉 祐介
15) HIVと消化器症状 小泉 祐介
16) HIVと歯科疾患 有家 巧
17) HIV感染症と物質依存 安尾 利彦
18) 薬剤耐性HIV変異 渡邊 大
19) 日和見感染症診療(CMV感染症) 米本 仁史
20) 免疫再構築症候群(IRIS) 上平 朝子
21) HIV陽性者に対する外科手術 宮本 敦史
22) HIV感染症と皮膚疾患 田所 丈嗣
23) HIV感染症の看護(病棟) 鈴木 成子
24) 抗HIV薬の現状と服薬指導 吉野 宗宏
25) HIV感染症における呼吸器疾患の画像診断 栗山 啓子
26) HIV感染症と眼科疾患 中川 智哉
27) 臨床栄養学 大池 教子
28) HIV感染症と精神疾患 梅本 愛子
29) HIVと薬剤耐性検査 木下 幸保
30) HIV陽性者肛門疾患 宮崎 道彦
31) HIV関連中枢神経病変-主にMRI所見と鑑別- 酒井 美緒
32) 日和見感染症診療(抗酸菌症) 藤友 結実子
33) HIV感染症と腎障害 伊藤 孝仁
34) 医療ソーシャルワーカーの役割と地域の課題 黒田 美和
35) STD(性行為感染症)の診療 廣田 和之
36) 薬害HIV・血友病診療 西田 恭治
37) HIV/HCV感染者の整形外科手術 竹谷 英之
38) 特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権(MERS) 若生 治友
39) 特定非営利活動法人 CHARM 青木 理恵子
40) 特定非営利活動法人 HIVと人権・情報センター(JHC) 桜井 健司
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参加者の感想文

日本赤十字社和歌山医療センター
感染症科部・救急科部 久保健児

■受講の動機
  日本赤十字社和歌山医療センターでは、平成23年6月に感染症科がオープンし、平成24年3月には、和歌山で初めて、日本感染症学会認定の研修指導施設となりました。
  そこで、今後の和歌山でのHIV診療のために、今回、大阪医療センターにおける平成24年度HIV感染症医師実地研修会に参加させていただく機会をいただきました。

■ 受講してみて
  白阪先生をはじめ免疫感染症内科の先生方、外来・病棟の看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、臨床心理士、 栄養士、他科の先生方、事務の方々そして今回病棟で担当させて頂いた患者様方に感謝致します。
  1か月間、非常に充実した研修でした。感謝をこめてどんな点がよかったかを列記してみます。

■ 2週間の講義
・最初に2週間講義がみっちりありました。
・医師になってから診療を離れて専門の方々から講義を受けられるというのは、珍しい機会でHIVのことをどっぷり勉強することができました。
・医師のみではなく、各専門職(コーディネータナース、薬剤師、臨床心理士、ソーシャルワーカー)の方々のレクチャーが充実しているのが特徴で、多角的に勉強できました。「アドヒアランス命」の病院である大阪医療センターならではのスケジュールだと思いました。
・感染症内科以外の各科(外部講師も含む)のレクチャーがあったのもよかったです。
・写真や症例の提示が豊富で、ガイドラインだけでは学べない内容もあったのがおもしろかったです。
・歴史的な背景(海外と日本、血友病等)の講義もよかったです。
・普段は見れない外部のNPO機関などの見学も勉強になりました。
・「感染症は薬だけの問題ではない」ということを、レクチャーの数の多さからも再認識できました。
・「HIV感染症は全身の臓器に問題を生じるから研修医に非常に良い経験となる」というLaurence Tierney UCSF内科教授のお言葉(1980年代)を、身をもって実感しました。

■ 2週間の実習
・後半の2週間の実習では、病棟の症例を持たせてもらったり、同意のとれた患者さんの外来診療を見学させていただいたたり、と非常に忙しい中気を配っていただいた実習でした。
・病棟回診では、入院患者さんを全員見ることができました。
・週1回の外来カンファレンスでは、他職種参加で検討されていて、チーム医療が実践されていました。
・ICU例や受け持ち患者さんなどの細かい質問にも、お忙しい中主治医の先生方は丁寧に教えて下さいました。
・初診、服薬指導、ソーシャルワーカーの説明など医師以外の診療も見れたのはよかったです。
・HIVスクリーニング検査の実体験もできました。

■ サポート体制
・研修4週間のうち1週間ごとに総括が入っていて、サポート体制が充実していました。

  最後になりましたが、本当にいろいろお世話になりありがとうございました。

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独立行政法人国立病院機構 姫路医療センター
呼吸器内科 鏡 亮吾

  このたび、大阪医療センターにおいてHIV感染症医師実地研修会に1か月に渡り参加させていただきました。各先生方、スタッフの皆様、各NPOの皆様、お忙しい中にも関わらずご指導頂き本当にありがとうございました。また診察見学に快くご協力いただいた患者様方に深く感謝申し上げます。

  このたび研修に参加させて頂いた中で個人的に一番大きかったことは「チーム医療」という概念が実践され患者様を包括的に支えているということを感じられたことでした。そのチーム医療の各点を4週間通じて教えて頂いた気がします。

  はじめの2週間で先生方から疫学・診断・治療などの各項目につき最新の知見・大阪医療センターでの具体的な事例を交え丁寧に教えて頂きました。また感染症科だけでなく外科・眼科・皮膚科など他科の先生方が各専門領域につき御講演頂けたことも大変勉強になりました。

  そこで得た知識の確認と臨床ならではのadvancedな対応を後半2週間の病棟実習で学ぶことができ、講義→実習の流れの中で知識を深めることができました。

  姫路の地に帰った初日からAIDS発症患者さんが入院され、講義・実習で教えて頂いたことがそのまま実臨床で実践できる生きた学びであったと早速実感しているところです。研修に伺う前まではHIV患者様を診療したこともなく教科書だけの知識であった自分が、こうやって実臨床で診療できるまでステップアップできたことは大阪医療センターでの充実した研修の賜物と感謝しております。

  最後に、近畿ブロック拠点病院の先生方とお知り合いになれたこと、いつでも相談してよいと温かいお言葉を頂いたことも、地方都市で診療を行う者としては困った症例を個人で抱え込むのではなく経験豊富な先生方と相談していけるリンクを作ることができたという点でとても大きなことでした。

  姫路の地でもHIV患者様が増加していく中で、各患者様により良い医療を届けられるよう今後も励んでいきたいと思います。

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洛和会音羽病院
感染症科 / 総合診療科 吉川 玲奈

  今回、大阪医療センターでのHIV感染症医師実地研修での前半2週間の座学研修のみを受講させて頂きました。お世話になった関係各位の皆様に心よりお礼申し上げます。

  現在勤務している病院ではHIV感染者の患者さんは決して多くはなく、上司の先生方からの指導を受けつつガイドラインや欧米で出版されているテキストを中心に勉強していました。ときには難しい症例に出会い、頭をかかえた日々もありました。そんな中で研修を受け最も驚いたことは、医師のみならず本当に様々な職種の方が協力して患者さんを診ている姿でした。日和見感染症により認知機能やADLの低下に伴い、自宅生活が困難である患者さんが地域で生活をしたり、現状では拠点病院間での転院を続けざるを得ない事実はこういった研修を受けない限りは知ることもなかったことでしょう。 また、めまぐるしく新薬が出てきている中、知識のup to dateに大変手助けとなった様々なレクチャーや、HIV感染症の症例数が豊富な病院だからこそ出来る感染症以外の各専門家の先生方からの話は大変魅力的なものでした。

  現在日本におけるHIV感染患者数は増加しており、拠点病院のみならず市中病院でのHIV診療をより積極的に行っていくことはもう遠くはない将来なのかもしれません。もちろん診療体制を整える事は簡単なことではありませんが、今回参加させて頂いたことを少しでも自身の病院に、延いては地域のために還元出来ればこれ幸いと思っています。

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