股関節外科クリニック
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大阪医療センター
全人工股関節置換術の現状について

 人工股関節は変形性股関節症等の疾患で股関節が障害され、痛みや動きにくさ(可動域制限)のため自分らしい生活ができなくなった患者さんに行われる手術です。この手術は除痛や運動機能の回復の効果に優れ、他の外科手術と比較しても安全性が高いことから20世紀で最も成功した手術の一つとされています。1960年代に最初の手術が行われて以来数々の研究改良がなされてきました。当初人工関節は10〜15年で取り換えが必要とか、重いものを持ったり、使いすぎたりすると早く取り換えが必要となるとか、手術は60歳を超えてからがいいとか言われた時代がありました。しかし、21世紀に入る頃には、このような既成概念を覆すような著しい進歩が起こりました。人工股関節の関節として擦れ合う部分(ベアリング部分)はボールとソケット(受け皿)から構成されていて、従来はこのベアリング部分が擦り減る(摩耗する)ことが人工関節のゆるみを生じさせ、再置換手術の原因となっていました。しかし現在では摩耗の少ないセラミック、メタル、クロスリンクポリエチレン等の新素材を使用することにより、人工関節の耐久性が飛躍的に向上し、20年から30年先に95%くらいの患者さんの人工関節はまだまだ使える状況にあるのではないかともいわれています。したがって、たくさん使うと早く擦り減るのではないかと心配する必要もなくなり、活動性の高い若い世代の方への手術も可能となり、手術後も仕事や趣味、スポーツ活動などに復帰できるような状況になってきています。

 しかしながら、このような優れた新素材を使ったとしても、人工関節の特にソケットの入れ方が悪いと早く人工関節がゆるんだり、再手術が必要になったりする一因になるということが最近わかってきました。したがって、将来の再置換術のリスクを減らすためには人工関節を骨に正確にとりつけることが最重要課題であるということです。そこで当科では全例ナビゲーション手術で正確なとりつけを行い、これら新素材の長期耐用性の長所を最大限引き出せるように対策を講じています。実際、ナビゲーション手術を行ったほうが人工関節の再置換術の率が減少することが報告されてきています。ナビゲーションは手術中に人工関節部品を骨に取り付ける際に、あらかじめ計画した角度や位置の通りにできているかを術者に教えてくれる装置で、正確に手術が完了します。したがって、手術計画が適切であることが大前提となってきます。ナビゲーション手術は2012年4月から厚生労働省の先進医療から保険適応となり通常の保険診療としてこの手術がうけることができるようになりました。非常に良い時代になったと思いますが、まだまだ普及途上の技術ですので、適切な手術計画がどうあるべきか熟知した専門医の選択が鍵になってきます。当科は2007年秋からナビゲーション手術をはじめすでに600例を超える手術をおこなってきており、その経験やノウハウを発信していくことで、できるだけ多くの患者さんにより良い手術を受けていただけるようにと鋭意努力しております。

*先進的技術について

1.三次元コンピュータ手術計画
患者さんの股関節CT検査結果をコンピュータにインプットすると、三次元骨格モデルが作成されます。この三次元モデルを使って、患者さんごとに適切な人工関節パーツの種類、大きさ、形状、位置などを正確に決定することができます。
2.ナビゲーション手術
車のナビゲーションシステムでは、目的地をインプットすると、ドライバーに道順を教えてくれますが、ナビゲーション手術も同様に手術計画の情報をインプットすると人工関節パーツを計画通りに設置できるよう術者に情報を提示するシステムです。これらのコンピュータ支援技術を用いると術後の脚長差や脱臼が少なくなるなどの良好な効果が確認されています。しかし、ナビゲーションシステムも多種存在し、その精度や安全性も多岐にわたっていますので、十分なコンピュータ支援技術への知識をもった術者が適正な手術計画に基づいて行う必要があります。当クリニックでは高精度のCTベースナビゲーションシステムを十分な経験のもとに使用しています。

*最小切開手術(MIS)について

小さな皮膚切開で行う手術です。切開部分が少ないので患者さんへの負担が理論上少ないと考えられ最小侵襲手術とも呼ばれています。機能回復が早くなるとの宣伝もありますが、実際は、その効果についての信頼できる学術論文報告はまだまだ少ないのが現状です。一方、狭い手術野で行う手術ですので経験の少ない術者が行うと人工関節パーツの設置位置不良や骨折などの合併症の率が上がるというリスクも指摘されています。当科では適応のある患者さんに対して、通常8−12cmくらいの切開で行っていますが、十分な経験を持った術者が、適宜ナビゲーション手術等も併用しながら慎重に行っています。
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当科での初回人工股関節手術の実際

「適応」

患者さんの股関節の状態や背景は千差万別でありますが、保存療法(リハビリや生活指導、薬物療法)を行っても股関節の痛みや動きにくさで日常生活が困難になり、人工関節手術を行うメリットが高いと判断される場合に手術をお勧めしています。

「特徴」

◆ナビゲーション(高精度CTベース)+MIS(最小切開手術)を導入しています。 
これにより術後脱臼することがなくなり、術後の脚長差も減少しました。
◆手術後の動作制限の最小化を行っています。
患者さんの筋力の回復状態によりますが、通常術後1−2か月で、正座、座礼、しゃがみ、和式トイレなどほとんどの動作は基本的にOKとしています。術後3−6か月で以前されていたスポーツなどにも復帰していってもらっています。

「入院から退院までの流れ」 (当科で用いているクリティカルパスの概要)

【当クリニックでの診察】
診察は予約制になっておりますので、かかりつけ医の先生から当院地域医療連絡室にて診察予約を取っていただき、紹介状ご持参のうえ御来院ください。外来日は月曜午前、木曜午前となります。

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担当医紹介

医長 三木 秀宣
(みき ひでのぶ)

S61年 大阪大学理学部生物学科卒、H3年 大阪大学医学部卒

医学博士 日本整形外科学会認定専門医

日本コンピュータ外科学会 評議員
日本人工関節外科学会、日本股関節学会、日本整形外科学会所属

趣味 ゴルフ
好きな飲み物 赤ワイン
好きな食べ物 焼き鳥

医員 中原 一郎
(なかはら いちろう)

H14年 大阪大学医学部卒

医学博士 日本整形外科学会認定専門医

日本人工関節外科学会、日本股関節学会、日本整形外科学会、日本コンピュータ外科学会所属

趣味 広島カープ
好きな飲み物 炭酸系
好きな食べ物 スペイン料理、タイ料理 他辛いもの全般

医員 黒田 泰生
(くろだ やすお)

H16年 秋田大学医学部卒

日本整形外科学会認定専門医

日本股関節学会、日本整形外科学会所属

趣味:ランニング、ボルダリング
好きな食べ物:セロリ・納豆以外
好きな調味料:ポン酢

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