骨・軟部腫瘍クリニック
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大阪医療センター

骨・軟部腫瘍クリニックで扱う疾患代表的な疾患の治療経過骨軟部腫瘍Q&A研究活動外来担当医表用語集

骨・軟部腫瘍クリニックで扱う疾患
骨・軟部腫瘍クリニックでは、良性および悪性の骨・軟部腫瘍(骨腫瘍、軟部腫瘍)、転移性骨・軟部腫瘍、腫瘍類似疾患を対象としています。

1.良性軟部腫瘍

 しこりとして自覚する場合が多く、頻度の高い疾患として脂肪腫、神経鞘腫、血管腫が含まれます。痛みがあったり、MRIで診断が確定できない場合または美容的な意味で切除を希望された場合には切除をおこないます。

2.良性骨腫

 外骨腫(骨軟骨腫)、内軟骨腫、類骨骨腫、骨巨細胞腫が代表的な疾患です。外骨腫は小児〜青年期に骨の出っ張りとして気付かれます。内軟骨腫は手や足の指の痛み、骨巨細胞腫は膝関節周囲の痛みをともなう場合があります。類骨骨腫は安静時の痛みがあるのが特徴です。外骨腫は切除、他は病巣掻爬後に自家骨(多くは自分の腸骨)または人工骨(ハイドロキシアパタイト)を移植します。

3.腫瘍類似疾患

<軟部にできる腫瘍類似疾患>
ガングリオン
 手に好発し、時に軽度の痛みを伴う場合があります。薄い膜の腫瘤で大抵は径1cmぐらいです。内容物は透明のジェリー樣物が溜まっています。
粉瘤 (表皮嚢腫)
 背部に好発し、しばしば皮膚の変色を伴います。内容物はおから様の角化物が入っています。時に感染を伴い膿みがでてくる場合もあります。
<骨にできる腫瘍類似疾患>
非骨化性線維腫
 10代の膝関節周囲に多くみられ、レントゲンで偶然発見される場合が多いです。病的骨折をおこさない限り手術の必要はありません。
骨嚢腫
 小児の大腿骨や上腕骨に好発し、しばしば骨折を伴います。骨の中に水が溜まり、回りの骨が薄くなってきます。治療は病巣を掻爬しますが、人工骨の充填を追加することもあります。
線維性骨異形成症
 大腿骨や脛骨に好発し、レントゲンで偶然発見されることもあります。
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4.悪性骨腫瘍

 このなかには骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫を代表とする原発性骨腫瘍と臓器の癌が骨に転移をおこした転移性骨腫瘍が含まれます。また、血液疾患が骨にできる場合もあります。

5.悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)

大腿部や上腕部などの軟部組織にできる悪性腫瘍。癌または肉腫が軟部組織に転移をおこした転移性軟部腫瘍は稀です。

6.悪性骨軟部腫瘍に関して

悪性骨軟部腫瘍の頻度
骨肉腫
 10歳台(好発年令)人口10万人に対して男0.9、女0.7 (本邦) 1989年-1994年の間で1041例の登録。
軟部肉腫
 アメリカでは年間約4500人の発生。全悪性腫瘍の0.7%。
症状
 骨腫瘍の場合は痛みを伴うことが多く、腫瘍の周囲の骨が弱くなって骨折をおこす場合もあります。また、一部の腫瘍では発熱などの全身症状を伴う場合もあります。
 軟部腫瘍の場合は腫れやしこりが主な症状で痛みを伴うことはほとんどありません。腫れがひどくなってきたり、しこりの大きさが5 cm以上の場合は要注意です。
検査と診断
 骨腫瘍の診断には単純レントゲン撮影、CT, MRI, 骨シンチグラムが必要です。単純レントゲンの所見だけで診断がつく場合もあります。また肺病変の検索のために胸部のCTもおこないます。骨肉腫ではアルカリフォスファターゼ値が高い場合、腫瘍マーカーになります。
軟部腫瘍の診断は画像診断のみでは確定は困難な場合が多いですがMRIは腫瘍の正確な大きさや部位の情報をあたえてくれるので手術前には必要な検査となります。
いずれの腫瘍も腫瘍の一部を採取して病理検査をする生検術により確定診断がなされます
治療法
 
骨肉腫とユーイング肉腫は化学療法が有効なので術前に化学療法を行い術後にも行います。全部で約10回の化学療法をおこないます。手術は腫瘍のできた骨と回りの筋肉を一塊として切除する腫瘍広範切除術を原則とします。切除後の再建法は人工関節(図1)を用いることが多いですが、小児で骨が成長期にあり人工関節が使えない場合には切除した骨に放射線を照射した後にその骨を戻して固定する術中体外照射法(図2)も行っています。また自分の骨(自家骨)や人工骨(ハイドロキシアパタイト)を使う場合もあります。
  軟骨肉腫は原則として手術のみの治療となります。
軟部肉腫に対する化学療法の有効性については小円形細胞肉腫を除いて議論のあるところですがAJCCで病期がIIIで合併症のない方に対しては行うことにしています。高齢者の方は合併症がでやすいので原則として化学療法はおこないません。軟部肉腫に対しても手術は周囲の筋肉組織を腫瘍につけて切除する腫瘍広範切除術が原則となります。
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代表的な疾患の治療経過

1) 大腿骨(膝)骨肉腫

 術前検査(麻酔のための検査で血液検査、尿検査、心電図、呼吸機能検査、胸部レントゲン撮影を入院前に外来でおこないます。)
MRI, CT, 骨シンチグラム、タリウムシンチグラム、胸部CT, を外来または入院で行います。
入院3日目に全身麻酔下に生検術をおこないます。数日後には病理診断(確定診断)がでます。診断がつき次第、本人および御家族の方に病状と治療の説明が担当医により行われます。治療方針に納得されたうえで化学療法が開始されます。化学療法の副作用は、最初はむかつきなどの消化器の症状で、一週間ぐらいたつと末梢血液の成分が低下してきます。それらが回復してきたら次の化学療法が開始されます。4回の化学療法の後、化学療法の効果判定を行います。検査として、単純レントゲン撮影、CT, MRI, 骨またはタリウムシンチグラムを行い手術の方法を決定します。大体、最初の化学療法開始から3ヶ月後に手術となります。全治療期間は約8ヶ月となります。

2) 大腿部軟部肉腫(病期 III)

 術前の検査、生検および診断は骨肉腫と同様です。軟部肉腫の場合、術前の化学療法は原則として2回ですが効果がないと判断された場合には1回で手術を行うこともあります。
術後は原則として6回の化学療法をおこないます。

治療成績

●骨肉腫
当院での成績
 1995-2000年 16例
 四肢 stage IIB 3年生存率 94% 5年生存率 83%

●軟部肉腫
当院での成績
 1995-2000年 47例
 四肢 stage I-III 3年生存率89% 5年生存率 71%

手術後の機能障害について

 手術時には局所再発率と機能障害を最小限にするように計画しますが、切除された筋肉は再生することはないのでその部分については筋力が低下します。しかし、残された周囲の筋肉が代わりに作用する場合も多いので日常生活にそれ程障害を及ぼすものではありません。
 例えば、大腿骨遠位部(膝)にできた骨肉腫では大腿骨とともに大腿四頭筋の一部を切除し腫瘍用人工関節に置き換える場合が多いのですが、術後の膝関節の筋力は約80%維持され、また膝関節の曲がりは約90度で、歩行には杖などの支持はいりません。一方、脛骨近位(膝)の骨肉腫では膝関節の伸展機構の再建が必要で大腿骨の場合に比べ少し機能は劣ります。
 機能障害の程度は切除する腫瘍の部位、大きさ、深さまた神経切除の有無によって異なりますので手術前に担当医に充分な説明を聞いてください。

術後のフォローアップ

   治療が終了した後は、外来通院となります。一般的に最初の1年間は一ヶ月に一回、局所再発、肺転移の有無、人工関節をチェックします。検査は局所の触診と単純レントゲン撮影で、必要に応じてMRI, CT,骨シンチグラムをおこないます。2年目以降は間隔をあけ治療終了後5年間は観察が必要です。

骨軟部腫瘍の予防と検診

 現在まで骨軟部腫瘍に関連する予防はほとんど知られていません。しかし、多発性外現在進行中の多施設共同研究・医師主導型臨床試験現在進行中の多施設共同研究・医師主導型臨床試験骨腫では長期の経過中に悪性化(軟骨肉腫)が知られているので定期的な観察が必要です。また遺伝性の網膜芽細胞腫(小児の眼にできる悪性腫瘍)では骨肉腫の頻度が高いとされています。
 病気の数が他のがんに比べて少ないため検診はおこなわれていません。症状が現れた時に早めに受診することが大切です。

遺伝子関連

 骨軟部腫瘍ではいくつかの腫瘍で染色体の異常とそれに伴って腫瘍に特徴的な融合遺伝子が最近知られています。おもな腫瘍は、ユーイング肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫(粘液型)で診断に役立っています。遺伝子治療はまだ実験段階で人に使える状態ではありませんが、近い将来、新しい治療法として確立されていくと思われます。
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骨軟部腫瘍Q&A

1. 骨にできる腫瘍は悪性が多いのですか?

 原発性骨腫瘍のなかでは良性の方が多いです。レントゲンで偶然発見された骨腫瘍は多くは良性です。

2. 軟部にできる腫瘍は悪性が多いのですか?

 良性が多く、多いのは脂肪腫、神経鞘腫、粉瘤、ガングリオンです。前者2つの疾患はかなり大きくなることがあります。これ以外で腫瘤の大きさが5 cm以上の場合は悪性を疑います。

3.骨肉腫になったら足を切断しないといけないのですか?

 最近では、切断せずに腫瘍広範切除する患肢温存術が主流となっています。確かに血管や神経を巻き込んでいる症例では切断術の適応となる場合もあるのですが化学療法が効いていれば患肢温存できる時もあります。ちなみに当科では化学療法後、ほとんどの症例に患肢温存術を選択しています。再発はほとんどありません。

4.手術した後、運動はできますか?

 切除の程度によって異なりますが、軟部肉腫で小さいものは充分可能です。膝関節周囲の骨肉腫の術後も軽い運動は可能なのですが人工関節の耐用性を考えるとお勧めはできません。

5. 化学療法の副作用が心配です。

 → 化学療法の副作用

6. 治療中、学校のことが心配です。

 治療の合間には授業にでることは可能ですが、どうしても出席日数が不足してきます。なるべく試験は受けれるようには配慮はしますが治療中は病気を治すことを最優先にしてください。当院には院内学級という制度もありますので相談してください。

7. 転移がでたらと心配でなりません。

 このような不安は誰しも持っているものです。治療が終了しても大丈夫かしらと思われることもあるかもしれません。再発や転移については主治医が治療中も治療後も責任をもってフォローしますのであまり心配はしないでください。転移病巣が出た場合また初診時に転移がすでにあった場合でも、化学療法、手術療法、放射線療法を組み合わせて治療を検討します。

8.  入院期間はどれくらいでしょうか?

 病状によって異なりますが、骨肉腫では約必要なのでその間は継続入院または入退院を繰り返すことになります。成人の軟部肉腫では術前の化学療法と手術のみの場合は約2ヶ月半くらいの入院期間です。化学療法をしない軟部肉腫の場合は手術だけになりますので入院期間は約3週間です。

9.  治療にかかる費用は高額でしょうか?

 骨軟部腫瘍の治療に際してはいくつかの医療費の交付制度が適応されます。例えば、18歳未満の骨の悪性腫瘍は小児慢性特定疾患医療が、またその他の疾患で18歳未満で手術を受けた場合には育成医療が適応されます。詳しくは医事課にお問い合わせください

10. セカンド オピニオンについて

 ある病院で病気についての診断と治療方針について話しを聞いた後に、他の病院で別の医師に意見を尋ねる場合にその意見のことをセカンドオピニオンといいます。骨軟部腫瘍の治療については現在標準的な治療法がほぼ確立されているので、専門施設であれば大体同じ意見を言われる場合が多いとおもいます。しかし、疑問が生じた場合は複数の医師の意見を聞くのは大切です。
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研究活動

当科では全国の骨・軟部腫瘍専門施設と多施設共同で、外科的切除不能な局所再発や遠隔転移のある進行性の骨・軟部腫瘍の患者さんに対し、新規抗腫瘍剤や分子標的治療薬を用いた新しい治療薬の開発も行っています。

現在当科で実施している治験・臨床試験

  治験薬剤名 治験課題名 治験登録期間
1 Olaratumab
(LY3012207)
進行または転移性軟部組織肉腫を有する患者においてolaratumab及びドキソルビシン併用投与とプラセボ及びドキソルビシンの併用投与を比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験(治験実施計画書番号:15B-MC-JGDJ) 2015/12/18承認、症例登録終了しデータ解析中
2 ゲムシタビン+ドセタキセル(GD),
テモゾロミド+エトポシド(TE)
(ridaforolimu s)
再発骨肉腫に対するゲムシタビン+ドセタキセル(GD)とテモゾロミド+エトポシド(TE)のランダム化第II相医師主導臨床試験 2016/3/25承認、症例登録開始
3 ニボルマブ
(ONO-4538)
切除不能の明細胞肉腫または胞巣状軟部肉腫に対するニボルマブの医師主導治験(OSCAR試験)(治験実施計画書番号:NCCH1510) 2016/9/13承認、症例登録開始
4 パゾパニブ
(ヴォトリエント)

切除不能あるいは遠隔転移を有する軟部肉腫(コホート1:悪性末梢神経鞘腫瘍患者、コホート2:抗がん剤抵抗性軟部肉腫患者)を対象としたpazopanibの第II相医師主導臨床試験(JMOG038)

2016/12/2承認、症例登録開始


また、当院IRBへの申請・承認を得て、多施設共同での医師主導型臨床試験や各種臨床研究も行っています。

現在進行中の多施設共同研究

  1. 限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相臨床試験(JESS04: 日本ユーイング肉腫研究グループJESSによる医師主導型多施設共同臨床試験)(2008年5月症例登録終了・現在解析中)
  2. ヒト軟骨系骨腫瘍におけるGABAシステムの発現(大阪医大整形外科との共同研究)
  3. 本邦での骨・軟部腫瘍患者における静脈血栓塞栓症の発生に関する研究(骨軟部肉腫治療研究会JMOG多施設共同研究に参加)
  4. 骨外性骨肉腫国際共同臨床研究(JMOG035)
    *詳細についてはPDF参照
  5. Kyocera Modular Limb Salvage system (KMLS)新セメントレスステムの短期成績調査(JMOG034)
    *詳細についてはPDF参照
  6. 粘液型脂肪肉腫・滑膜肉腫・通常型軟骨肉腫におけるNY-ESO-1の発現と臨床成績に関する研究−骨軟部肉腫治療研究会(JMOG)多施設共同研究−(JMOG036)
    *詳細についてはPDF参照
  7. 原発性骨腫瘍の臨床病理組織所見の検討(関西骨軟部腫瘍研究会多施設共同研究に参加)
    *詳細についてはPDF参照

 

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外来担当医表

整形外科 腫瘍外来担当医表

月曜日 (午前9時-12時) 上田 角永
火曜日 (午前9時-12時) 上田 久田原 角永
木曜日 (午前9時-12時) 久田原

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用語集

骨肉腫

 骨肉腫は10歳台の膝関節周囲に好発する代表的な悪性骨腫瘍で原発性骨悪性腫瘍のなかではもっとも頻度の高い疾患です。 病名は骨を形成する肉腫という意味です。最も多い型は骨内通常型ですが他にいくつかの亜系があり、骨内高分化型骨肉腫、円形細胞骨肉腫(稀)、表在骨肉腫、傍骨骨肉腫、骨膜骨肉腫、表在高悪性骨肉腫があります。また、放射線照射後などにおこる2次性骨肉腫も知られています。治療は骨内通常型骨肉腫には化学療法と手術を行います。亜系により化学療法を行わないのもあります。転移部位は肺がもっとも多く、肺転移がおこった場合は化学療法と手術を行います。

軟骨肉腫

 骨肉腫の次に多く、大腿骨や骨盤に好発します。組織学的悪性度はグレード1〜3までの3つに分類されています。グレード1では良性の軟骨腫と区別がつきにくい場合があります。通常は手術のみの治療です。また稀に悪性度が急に高くなる脱分化型軟骨肉腫も知られています。

ユーイング肉腫

 小円形細胞肉腫といわれる疾患群の一つで難治性の腫瘍のひとつです。原始神経外胚葉腫瘍(PNET)は現在ではユーイング肉腫/PNET群として同一疾患群に入っています。骨肉腫よりやや年令が低く大腿骨、脛骨、腓骨、肋骨、鎖骨、脊椎などに発生し、しばしば発熱や白血球増多などの全身の炎症反応を伴います。治療の基本は化学療法で、手術、放射線を組み合わせていきます。転移は肺以外に骨にも多く治療中には厳重な管理をおこないます。当院では、血液内科の協力をえて、末梢血幹細胞移植を併用した超大量化学療法も行っています。

臓器の癌

 臓器の癌が骨に転移をおこした病態を転移性骨腫瘍といいます。病変が小さい時には余り症状はありませんが、大きくなると局所の痛みを伴ったり、骨折をおこしたりします。また、脊椎の転移腫瘍が神経を圧迫すると麻痺症状をおこしてくる場合もあります。治療は放射線治療または手術で両者を組み合わせる場合もあります。原発巣は肺がん、乳がん、甲状腺がん、腎がん、肝臓がんが多くまた、骨の転移が最初の症状で後に元のがんが発見される場合もあります。
 また、いろいろな検査をしても元のがんが分からない場合もあります(原発不明骨転移癌)。

血液疾患

 骨に病変をつくる血液の病気としては、成人では骨髄腫とリンパ腫がよくみられます。治療は血液内科でおこないますが、骨の破壊が著しい場合に整形外科手術が必要な場合もあります。また、小児では白血病が発見される場合があります。

軟部組織

 皮膚、皮下組織、筋膜、筋肉、血管、神経などの臓器以外の軟らかい組織の総称です。
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骨シンチグラム

 テクネシュウムというラジオアイソトープを注射し、約3時間後に全身の骨を検索する方法です。骨肉腫では局所に強い取込みが見られます。原発巣以外の病変を検索するのに有効です。

腫瘍マーカー

 骨軟部腫瘍の領域ではその腫瘍に特異的な腫瘍マーカーはほとんど知られていません。骨肉腫で、治療前にアルカリフォスファターゼが高値を示す場合はマーカーになります。またユーイング肉腫でLDHが上昇する時があります。

生検術

 腫瘍の一部の組織を採取する手技を生検術といいます。生検針を用いる針生検と小切開を加えて行う切開生検の2つの方法があります。また、軟部腫瘍で浅いところにあって小さい腫瘍は腫瘍を全部とってしまいます(切除生検)。病理組織診断が良性であれば治療は終了となります。悪性の場合ですと更に大きな追加の切除が必要となります。

侵襲の少ない針生検術

 当科では、腫瘍を切って組織を採取する切開生検術以外に針生検術をおこなっています。軟部腫瘍は診察室で、冷却または局所麻酔下でおこないます。骨腫瘍の場合は正確な位置決めが必要なため、手術室でレントゲン透視下に局所麻酔または短時間の全身麻酔下におこないます。特に脊椎の病変に対しては有用で、麻酔が醒めればすぐに動くことができます。組織診以外に細胞診も同時におこないます。
 従来、針生検は採取される組織量が少なく骨・軟部腫瘍では確定診断に至らない場合もありましたが、優れた生検針の出現により安全で確定診断率の高い検査となりつつあります。また侵襲が少なく身体に対する負担が少ないため治療が必要な場合でもすぐに始めることが可能です。

化学療法

 抗癌剤を用いた全身化学療法(点滴)のことです。骨肉腫では、アドリアマイシン、シスプラチン、イフォマイド、メトトレキセートを、軟部肉腫ではイフォマイド、アドリアマイシンを使います。

化学療法

 当院では院内の標準的化学療法は、がん薬物療法委員会において申請、登録制をとっています。登録されたプロトコールは、投与前日に薬剤部に連絡をすると調合済みの薬剤が病棟に運ばれてきます。薬剤は薬剤部と病棟で二重チェックがおこなわれているため、ミスがないようなシステムになっています。

人工関節

 腫瘍用人工関節  

術中体外照射法

 腫瘍広範切除した組織に放射線を照射し、その後その骨を戻して固定する方法です。腫瘍は体外に出された状態で照射されるので切除が正しく行われていれば再発率は理論的には人工関節置換術と同じです。術後の合併症としては感染、骨の癒合不全(照射した骨は死んだ組織になるので生きた骨よりはつきにくい)、骨折があります。

小円形細胞肉腫

 骨にできるユーイング肉腫以外に、軟部にできるものとして骨外性ユーイング肉腫、横紋筋肉腫があります。病理組織学的にはリンパ腫や小児の神経芽細胞腫と鑑別を要します。

化学療法の副作用

 急性期の副作用として食欲不振、嘔気、嘔吐という消化器症状がでてきます。最近は効果的な制吐剤が開発されこれを用いていますが充分とはいえないのが現状です。
 点滴が終了して数日ぐらいで白血球の数がだんだん減少してきます。引き続いて血小板、赤血球が減少してきます。白血球が少なくなると感染に弱くなるので隔離や抗生物質の投与が必要な場合があります。白血球を上昇させる注射(GCSF)を併用し回復をはやめるようにします。 血小板が減ると出血しやすくなるので血小板輸血が必要なことがあります。赤血球の減少は貧血です。だんだんと回復してくるので通常は様子をみますが重度の時は輸血を検討します。
 その他、アドリアマイシンには心筋障害が知られています。イフォマイドには心筋障害、腎機能障害、脳症があります。シスプラチンには腎機能障害、神経障害(しびれや聴力障害)、メトトレキセートには肝機能障害、腎機能障害があります。性腺に対する障害は無精子症、卵巣機能障害が知られていますが詳しいことは分かっていません。また、治療後に2次発がんがおこることが稀ながら報告されています。抗癌剤は腫瘍に対する作用も強いかわりに副作用も多いのです。しかし、薬の投与量と投与方法の工夫、副作用の予防薬を用いることで重篤な副作用の出現は少なくなっています。

人工関節の耐用性

 腫瘍用の人工関節の歴史は新しく国内では1980年頃より行われるようになりました。初期の頃は、合併症として人工関節のゆるみ、切損、感染、骨折が見られましたが、インプラントデザインの変更や手術手技の改善により合併症の頻度は減少しています。現在は主に骨セメントを用いず、制御型で術中に長さが自由に調整できるタイプの人工関節を最も多く使用しています。制御型の人工関節の場合、結合部のポリエチレンが5年から10年の間にどうしても磨耗が生じ、関節の不安定性がでてきます。従って磨耗がでてくるとポリエチレンだけの入れ替えが必要となります。若年者で手術をした場合、術後の経過期間が長いので合併症に対してなんらかの追加の手術が必要になるかもしれません。
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