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悪性黒色腫(皮膚科)


1,皮膚の構造
皮膚は表皮、真皮からなりその下に皮下脂肪織があります。
表皮は数層の細胞からなる薄い組織で、表面から、角層、顆粒層、有棘層、基底層からなります。基底層は1層の細胞より成り、この基底層の細胞(基底細胞)が分裂してこの上の有棘層の細胞(有棘細胞)になります。有棘層は数層の細胞からなり表皮の大部分を構成します。有棘層の細胞は1〜数層の顆粒層の細胞になり、さらに角化した物質になって最外層の角質を形成します。基底細胞の間にところどころメラニン細胞があり、メラニン色素を産生します。
真皮はコラーゲンなどの繊維組織からなり、微小な血管網、神経を有しています。
また、皮膚の毛や脂腺、汗腺などの皮膚の付属器も真皮から表皮にかけて存在します。
皮膚はこのように様々な組織を含みますので、皮膚癌には多くの種類があります。
ここでは、代表的な皮膚癌、および前癌状態について紹介します。


図1 皮膚の構造


図2 表皮の構造




2.悪性黒色腫
 表皮基底層のメラノサイト、もしくはほくろ(色素性母斑)の細胞由来と考えられています。(図2)

原因
紫外線や機械的刺激の関与が考えられています。また、先天性の巨大な色素性母斑(黒あざ)内に悪性黒色腫が発生することがあることも知られています。

症状
 1 悪性黒子型黒色腫
 2 表在拡大型黒色腫
 3 結節型黒色腫
 4 末端黒子型黒色腫
   亜型 爪下部黒色腫
      粘膜部黒色腫
 5 その他

1 悪性黒子型黒色腫
 高齢者の顔面に多い型です。境界が不正で、色調もまだらな黒褐色の平らな色素斑で、ゆっくりと成長します。予後も他の型に比べて少しよいようです。

(図7)

2 表在拡大型黒色腫
全身どこにでも発生します。扁平に軽度隆起し、境界も不整になり、色調も濃淡のまじったまだら状になります。

3 結節型黒色腫
全身どこにでも発生します。はじめ、結節状の小腫瘤から発生し、速い成長をしまします。他の病型にくらべ、転移率も高く、悪性度が高いといえます。

4 末端黒子型黒色腫
四肢末端、即ち手のひら、足の裏、爪部に発生します。日本人に比較的多いとされ、特に足の裏に好発します。はじめは扁平な黒褐色の色素斑から発生し、色調が一部濃くなったりまだらになります。色素斑内に隆起や結節が出現することもあります。 爪でははじめ、黒褐色の縦の色素線状が爪に見られるようになり、拡大してきます。




●悪性黒色腫のTNM分類(2002年に改訂)
T 原発腫瘍
  pTX 原発腫瘍の評価不可能
  pT0 原発腫瘍認めない
  pTis 上皮内癌(腫瘍細胞が表皮内、粘膜上皮内に限局)
  pT1 腫瘍の厚さ1mm以下
      a:潰瘍のないもの(レベルU、V)
      b:潰瘍のあるもの(レベルV、W)
  pT2 腫瘍の厚さが1 mmよりも大きく、2 mm以下
      a:潰瘍のないもの(レベルU、V)
      b:潰瘍のあるもの(レベルV、W)
  pT3 腫瘍の厚さが2 mmよりも大きく、4.0 mm以下
      a:潰瘍のないもの(レベルU、V)
      b:潰瘍のあるもの(レベルV、W)
  pT4 腫瘍の厚さが4.0mmよりも大きい
      もしくは皮下脂肪織のレベルに浸潤
      a:潰瘍のないもの(レベルU、V)
      b:潰瘍のあるもの(レベルV、W)

N 所属リンパ節
  NX 所属リンパ節転移の評価が不可能
  N0 所属リンパ節転移なし
  N1 リンパ節転移が1個あり
     a:micrometastasis (顕微鏡の検査でわかる)
     b:macrometastasis (臨牀的にわかる)
  N2 リンパ節転移が2-3個あり
     a:micrometastasis (顕微鏡の検査でわかる)
     b:macrometastasis (臨牀的にわかる)
     c:リンパ節転移はないが、衛星病巣への転移のあるもの
  N3 リンパ節転移が4個以上あり
     リンパ節転移があり、かつ衛星病巣への転移のあるもの

M 遠隔転移
  MX 遠隔転移の評価が不可能
  M0 遠隔転移を認めない
  M1 遠転移を認める
     M1a:皮膚、皮下組織、リンパ節への遠隔転移
         血清LDH値は正常
     M1b:肺転移  血清LDH値は正常
     M1c:他の内臓転移 血清LDH値は正常
         および血清LDH値の上昇をみるすべての遠隔転移




●病期
TNM 分類による悪性黒色腫の臨牀の病期 clinical staging (2002年に改定)
0 期 Tis N0 M0
IA 期 T1a N0 M0
IB 期 T1b N0 M0
IB 期 T1a N0 M0
IIA 期 T2b N0 M0
IIA 期 T3a N0 M0
IIB 期 T3b N0 M0
IIB 期 T4a N0 M0
IIC 期 T4b N0 M0
III 期 anyT N1-3 M0
IV 期 anyT anyN M0

その他の簡便な病期分類
 I期 腫瘍が局所に限局
 II期 所属リンパ節に転移のあるもの
 III期 遠隔転移のあるもの




●治療

 外科的広範囲切除が原則です。病期によってリンパ節郭清を行います。その他、化学療法、免疫療法を組み合わせて行います。一般に放射線療法はあまり効果がないため、行われることはあまりありません。
 手術の前に、腫瘍の深さを顕微鏡下で調べて、病期を決定するために生検をします。通常の皮膚腫瘍であれば一部を切り取って調べますが、悪性黒色腫を疑う場合は、腫瘍を周りの正常組織を少し含めて全切除して、組織を顕微鏡で調べます。切除した皮膚欠損部は一旦人工皮膚などで覆っておきます。悪性黒色腫は転移しやすく悪性度が非常に高いため、腫瘍内へメスを入れることは転移を起こしやすくするとされ、禁忌となっているからです。深さが決定したら、なるべく早期に拡大切除を行います。
 あるいは臨床所見上あきらかに黒色腫と診断され、結節状など腫瘍の厚さがあるものは、生検せずに初めから拡大切除を行うことがあります。

TNM分類のI期
 腫瘍より1〜3cm離して、拡大切除します。切除部は植皮や皮弁で覆います。通常はリンパ節郭清は行いません。

TNM分類のII期
 腫瘍より約2〜3cm以上離して、拡大切除します。切除部は植皮や皮弁で覆います。症例によっては、リンパ節郭清を行います。術後の再発予防のため、術後化学療法も併用します。

TNM分類のIII期
 腫瘍より約3cm以上離して拡大切除します。切除部は植皮や皮弁で覆います。通常所属リンパ節郭清を行うのが原則です。
 術後の再発や遠隔転移予防のため化学療法を何回か行います。

TNM分類のIV期
 拡大切除する場合としない場合があります。切除できるものについては拡大切除することもありますが、化学療法、免疫療法が中心になります。強い抗ガン剤を繰り返し投与していくことになります。放射線療法を併用することもあります。
 インターフェロンなどの免疫療法については主にV期以上が対象になります。




●治療による後遺症、合併症
 リンパ節郭清を行った後、腫れやだるさが残ることがあります。特に鼠径部のリンパ節郭清を行った後は長時間歩くのが困難になることがあります。
 大きな範囲を切除することが多いため、機能上や外観上の問題が残ることがあります。
 抗ガン剤の投与により、一般的には一時的に白血球や血小板、赤血球の減少がおこり、その間感染しやすくなります。気分不良、吐き気などがおこり、肝機能障害、腎機能障害もおこることがあります。有棘細胞癌の場合と違い肺線維症などの肺の障害がおこることはほとんどありません。脱毛がおこることもあります。特にシスプラチンを使った場合は腎機能障害が問題になります。
 抗ガン剤と同時に吐き気止めを投与したり、腎機能障害を予防軽減するような処置を行います。
 放射線照射による副作用は有棘細胞癌の場合と同様です。



●予後
 病期だけでなく、さまざまな要因によって生存率が変わってきます。また皮膚癌は種類が多く各癌の件数が他の部位の癌に比べ少ないため、予後についてのデータにはばらつきがあります。
 やや古いですが、簡単なものではアメリカの統計で下記の様なものがあります。
 抗ガン剤などの発達により最近ではもうすこし生存率は改善しているようです。

 I〜III期に分ける簡便な病期分類での予後
  I期(腫瘍が局所に限局) 8年生存率は71%
  II期(所属リンパ節に転移のあるもの) 3年生存率は37%
  III期(遠隔転移のあるもの) 2年生存率0%

 最近の日本皮膚悪性腫瘍学会のデータではもう少し改善しています。(1987〜1991年)
       5年生存率 10年生存率
  病期I  98%     95%
  病期II  84%     76%
  病期IIIA 61%     59%
  病期IIIB 40%     38%
  病期IV  12%      0%

 生存率に関係する要因としては
  病理組織上腫瘍内の細胞分裂数の多い少ない、病理組織上腫瘍内のリンパ球の浸潤の程度、腫瘍の厚さ、腫瘍の発生部位、性別、腫瘍の自然消退の有無などがあげられます。


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