悪性リンパ腫の治療方針
悪性リンパ腫の治療方針を決定する主な因子は組織型と臨床病期です。臨床病については主にAnnArbor分類が用いられます。
AnnArbor分類
病期 |
病変部位 |
I |
一ヶ所のリンパ節領域または節外性部位 |
II |
横隔膜の同側の2ヶ所以上のリンパ節領域 |
III |
横隔膜両側のリンパ節領域 |
IV |
1つ以上のリンパ節外領域へのびまん性の浸潤 |
悪性リンパ腫の治療
HDの場合
HDでは先に述べたように連続性に病変が進行する傾向にあり、組織型と共に臨床病期が重要です。臨床病期がT期、U期の早期群では放射線療法単独、その他の群では化学療法単独、化学療法と放射線照射の併用が行われます。HDの予後は良好で、早期で予後因子良好群では80%、進行期で予後因子不良群でも40%以上が長期生存しています。化学療法はABVD(アドリアシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)やMOPP療法のナイトロジェンマスタードをシクロフォスファミドに変更したC-MOPP療法(シクロフォスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン)や両者の交代療法が多く行われています。
NHLの場合
NHLでは低悪性度群、中高度悪性群で治療方針が異なります。
1) 低悪性度群は増殖がゆっくりしている反面、薬剤感受性はあまり良くありません。あとで述べる中高度悪性群のように、化学療法のみで治癒は殆ど望めません。臨床病期TとUでは通常放射線照射を行うことが多いようです。しかし、比較的早期に腫瘍細胞が全身に散布されることが多く、U期では放射線と化学療法の併用が必要なことも有ります。V、W期の低悪性度群では現在一定の治療方針はなく、個々の施設や主治医により異なります。
2) 中高度悪性群は増殖速度は速い反面、薬剤感受性は良好です。臨床病期T期のものについては病変部の局所療法(放射線照射や手術療法)、U期のものに対しては局所療法に化学療法を組み合わせることが多いようです。V期以上のものに対しては化学療法が主体となります。化学療法はCHOP療法(シクロフォスファミド、アドリアシン、ビンクリスチン、プレドニン)が標準的な療法であり、病期に関係なく本治療法が使用されることが多いようです。しかし、巨大腫瘤を伴うときは放射線療法と併用され、再発時など化学療法の感受性が悪い場合にはより強力な化学療法が選択されます。
その他の治療法
造血幹細胞移植
自家末梢血幹細胞移植(または自家骨髄移植)
自分の造血幹細胞を末梢血中に動員、採取し凍結保存したものを超大量化学療法の後、輸注し造血を再構築します。自分の細胞を用いるので移植に関連した危険性が少ないのですが、反面、同種移植のように免疫効果は期待できません。抗癌剤に対する感受性の高い症例に対しては、有効ですが、抗癌剤感受性の低い、低悪性度群についてはその適応は明らかでは有りません。
同種末梢血幹細胞移植(または同種骨髄移植)
HLAの一致した同胞および非血縁者から造血幹細胞を採取、超大量化学療法後、輸注し造血を再構築するものです。輸注した細胞が生着後、免疫を介してリンパ腫の腫瘍細胞を攻撃するので(移植片対リンパ腫効果)再発率は自家移植に比べ低いのですが、移植自体の危険性が高く、リンパ腫ではどのような症例に適応があるのか、いまだ定説は有りません。
ミニ移植
超大量化学療法を行うことなく、免疫反応に重点をおいた移植法です。化学療法の副作用が少ないため、高齢者や合併症を有する患者さんにも施行が出来るのですが、移植片対宿主病の可能性は通常の同種移植と同様です。最近、始められた手技でもあり、まだ明確な適応はありません。
モノクローナル抗体療法
Bリンパ球の表面にあるCD20という形質に対し、抗CD20抗体を用いて免疫反応で細胞を障害、抗腫瘍効果を期待した治療法です。このような抗体に放射性同位元素を付け、抗腫瘍効果を強化したもの(ミサイル療法)試みや、化学療法と併用する方法が試みられています。 |