大腸がんは、早期のものは、切除すれば完全に治る病気です。 ある程度進行したものでも、手術によって完治が望める場合もあります。(手術については、当院ホームページの外科の大腸がんの項をご覧ください。) 転移があったり、重い心臓病や、呼吸器疾患があるために、手術によってがんを取りきることができない場合は、他の方法でがんを治しきる可能性は、通常はありません。 その場合は、進行を遅らせるための抗がん剤による治療や(化学療法)、腸閉塞を予防すること、あるいは痛みに対する治療といった、症状を取るための治療を行っていくことになります。 i) 化学療法 抗がん剤による治療です。残念ながら、現状では、抗がん剤のみで、大腸がんを完全に消してしまうだけの効果を期待することはできません。抗がん剤は、腫瘍の縮小効果や、延命し自宅で暮らす期間を延長する効果を期待して行われます。肝臓に転移がある場合は、有効性を高めることと、副作用を軽くすることを目的とし、肝動脈に先端を置いた細い管(カテーテル)を通して抗がん剤を注入する、肝動脈動注化学療法が行われます。 ii) バイパス術、ステント挿入 原発巣で大きくなった腫瘍は、腸管を閉塞させて、腸閉塞の状態を起こします。腸閉塞は、放置すると生命に直接関わる危険な状態であり、また、食事が取れず嘔吐が続くために、非常に苦痛の強い症状でもあります。手術不能ながんによって腸閉塞が出現した場合は、閉塞した部分をバイパスして食事が通る道筋を作るバイパス手術が行われることがあります。 また、閉塞した部位を押し広げておいて、針金をパイプ状に編んだもの(ステント)を入れると、食事の通り道を、再び確保することができます。まだ一般的な方法ではありませんが、治療が成功したときは、患者さんの生活の質を大きく向上させることができるため、当科では、積極的に取り組んでいきつつあります。 iii) ポリープに対する治療 大腸がんの多くは、良性の大腸ポリープである腺腫ががん化してできてきます。大腸ポリープには、腺腫以外にも、過形成性や炎症性のがん化しないものもあります。内視鏡検査では、ポリープの外観によって、がんに変わる可能性のあるポリープと、可能性のないポリープを区別することができます。過形成性ポリープや炎症性ポリープは、取る必要はありません。また、腺腫であっても、小さなものは、一生の間良性のままで、大きくならない場合もあります。そこで、5mmを超える腺腫が、内視鏡によるポリペクトミーの適応となります。内視鏡的に切除したポリープは、病理検査(顕微鏡で詳しく見る検査)で、良性か、悪性かを調べます。ポリープの一部ががんに変わっていても、多くの場合は、内視鏡的な切除だけでがんの全体が取りきれていると判定され、治療完了と判断されます。がんの一部が組織の深いところまでおよんでいるときは、完全な治療とするために、外科的手術を追加する必要がある場合もあります。 ポリープ切除は、内視鏡を使っての手術です。そのため、開腹手術に比べればはるかに安全なものの、若干の合併症の危険性があります。合併症のうち主なものは、出血と穿孔(腸の壁に穴があくこと)です。出血は、ほとんどの場合経過観察のみか、内視鏡下の止血処置によって、止血します。まれに穿孔を起こした場合は、開腹手術による治療が必要となる場合があります。