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「抗がん剤」を使う目的は、がん細胞の増殖をおさえて、がんの進行をおさえることです。
しかし、「抗がん剤」の強い「効果」を期待して、むやみにたくさんの量の「抗がん剤」を使うと副作用も非常に強くなります。それは、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えるためです。そのため、「抗がん剤」は「効果」と「副作用」のバランスを考えながら使うことが非常に重要になってきます。
また、「抗がん剤」を使うことによって、がん細胞をおさえることができたとしても、「副作用」で苦しむ期間が長ければ、患者さんに苦痛を与え、あまりよいこととは言えません。そこで、「抗がん剤」を使うときは生活の質(「QOL」クオリティQuality オブOf ライフLife)の改善を考えることが非常に重要になります。

現在の「抗がん剤」の治療は患者さんの「QOL」の改善を重視した治療方法になってきています。その一つに多剤併用療法があります。一種類の「抗がん剤」だけではなく数種類の「抗がん剤」を組み合わせて使うことにより、「効果」を強くしたり、「副作用」を弱くしたりして「QOL」を改善する工夫がされております。くわしくは各科の治療方法のページを参考にしてください。

治療を受けられる際は必ず、担当の医師から十分な説明をうけて納得したうえで治療をお受けください。

週刊誌、新聞などに「●▲□の薬を飲めば治った」「●×▲の薬で強い副作用が出て死亡」など書かれていることを見かけます。全てというわけではありませんが、書いている人が伝えようとしていることが読む人に正確に伝わっていないことなどがあります。不安を感じた時は、医療スタッフにご相談ください。




現在、日本で使われている「抗がん剤」はたくさんあります。薬の作用のしかた、由来などから次のグループにわけられます。使い方も静脈注射、内服、肝臓など局所の動脈への注入などいろいろあります。

1)アルキル化剤
もっとも古くからある薬です。DANは遺伝情報の伝達など生命にとって非常に重要な役割をするものです。そのDNAと結合して、DNAの構造を変化させて(アルキル化)、がん細胞の分裂・増殖をおさえます。
当院で使っている主な「抗がん剤」の一般名と商品名は次のとおりです。

一般名 商品名 投与経路
イホスファミド 注射用イホマイド 注射
塩酸ニムスチン ニドラン 注射
シクロホスファミド エンドキサン 注射、経口
ダカルバジン ダカルバジン 注射
メルファラン アルケラン 経口
ラニムスチン サイメリン 注射

2)代謝拮抗剤(たいしゃきっこうざい)

がん細胞の増殖に必要な物質とよく似た構造をしているので、がん細胞の中に入りやすくなっています。がん細胞の中に入ってからDNAの合成を止めて、がん細胞の分裂・増殖をおさえます。
当院で使っている主な「抗がん剤」の一般名と商品名は次のとおりです。

一般名 商品名 投与経路
塩酸ゲムシタビン ジェムザール 注射
エノシタビン サンラビン 注射
シタラビン オクホスファート スタラシド 経口
シタラビン製剤 キロサイド 注射
テガフール・ウラシル UFT 経口
テガフール・ギネスタット・
オタスタットカリウム配合
ティーエスワン 経口
ドキシフルリジン フルツロン 経口
ヒドロキシカルバミド ハイドレア 経口
フルオロウラシル 5―FU 注射
メトトレキサート メソトレキセート 注射、経口
メルカプトプリン ロイケリン 経口

3)抗がん性抗生物質

ある種のカビからつくられています。DNAと結合してDNAやRNAの合成を止めて、がん細胞の分裂・増殖をおさえます。
当院で使っている主な「抗がん剤」の一般名と商品名は次のとおりです。
一般名 商品名 投与経路
塩酸イダルビシン イダマイシン 注射
塩酸エピルビシン ファルモルビシン 注射
塩酸ダウノルビシン ダウノマイシン 注射
塩酸ドキソルビシン アドリアシン 注射
塩酸ピラルビシン テラルビシン 注射
塩酸ブレオマイシン ブレオ 注射
硫酸ペプロマイシン ペプレオ 注射
塩酸ミトキサントロン ノバントロン 注射
マイトマイシンC マイトマイシンS 注射

4)植物アルカロイド

天然に存在している植物を原料としてつくられた「抗がん剤」です。細胞分裂を止めて(がん細胞の有子分裂を阻害)、がん細胞の増殖をおさえます。
当院で使っている主な「抗がん剤」の一般名と商品名は次のとおりです。
一般名 商品名 投与経路
エトポシド ベプシド、ラステット 注射、経口
塩酸イリノテカン カンプト 注射
酒石酸ビノレルビン ナベルビン 注射
ドセタキセル 水和物 タキソテ−ル 注射
パクリタキセル タキソール 注射
硫酸ビンクリスチン オンコビン 注射
硫酸ビンデシン フィルデシン 注射
硫酸ビンブラスチン エクザール 注射

5)ホルモン療法剤(内分泌療法)

がんの中には乳がんなどのようにホルモン(エストロゲン)があるとがん細胞がよく増殖するものがあります。そのため必要なホルモンをがん細胞に与えないようにブロックすることにより、がん細胞の増殖をおさえる方法です。この内分泌療法の効果は、がん細胞を直接攻撃する「抗がん剤」よりはマイルドですが、QOLが高く、長期間に継続して服用できるので、乳がんの術後補助療法などの重要な治療方法となっています。
当院で使っている主な「抗がん剤」の一般名と商品名は次のとおりです。
一般名 商品名 投与経路
アナストロゾール アリミデックス 経口
クエン酸タモキシフェン ノルバデックス 経口
クエン酸トレミフェン フェアストン 経口
ビカルタミド カソデックス 経口
フルタミド オダイン 経口
リン酸エストラムスチン エストラサイト 経口

6)その他
●白金錯体(はっきんさくたい)
がん細胞内のDNAと結合し、がん細胞の分裂・増殖を抑えます。
●L-アスパラギナーゼ
がん細胞が増殖に必要としているL-アスパラギンを分解します。
当院で使っている主な「抗がん剤」の一般名と商品名は次のとおりです。
一般名 商品名 投与経路
L-アスパラギナーゼ ロイナーゼ 注射
カルボプラチン パラプラチン 注射
シスプラチン ランダ 注射
ネダプラチン アクプラ 注射



副作用の予防について
「抗がん剤」の「副作用」は、いろいろあります。全身の機能や体力が低下したり、感染症があったりすると「副作用」は起こりやすくなります。そして、精神的不安定も「副作用」を強くする原因になります。
また、数種類の「抗がん剤」組み合わて使うことも多く、使い方によって「効果」や「副作用」は異なってきますので、「抗がん剤」の治療を受ける時は主治医の先生からよく説明をおきき下さい。
ここでは「抗がん剤」を使うと起こる可能性のある「副作用」の予防方法について紹介します。

1)感染予防対策
治療数日後から1〜2週間後に白血球が少なくなり、正常に回復するには3〜4週間かかります。白血球が少なくなると体の抵抗力も低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなります。手にはたくさんの雑菌がつきやすいので、「抗がん剤」を使っている間は、外から帰ったら、予防として手をよく洗いましょう。のどにも雑菌がつきやすいので「うがい」をしましょう。
白血球が少なくなっている場合は、白血球を増加させる薬を使って回復を促進することもあります。

2)貧血対策
貧血は、赤血球が十分作られないことで起こります。貧血になると手や足の先が冷たく感じたり、しびれるなどの感覚がおこったりします。貧血が回復するまでの間、貧血とうまく付き合う必要があります。
(1) 貧血が原因で、足もとのふらつくことがあるので、体を動きはじめるときは気をつけて、ゆっくり起き上がり、ゆっくり立ち上がってください。また、トイレが終わったあと立ち上がるときも気をつけてください。
(2) 保温をすると、血の流れがよくなります。 保温のしかたは、靴下をはいたり、シャツなどを一枚多く着たりします。
(3) 食事も吐き気のためとれなくなる人もいますが、血球成分であるたんぱく質の多い食品(肉、魚、牛乳、チーズなど)、鉄分の多い食品(レバー、ほうれん草、イワシなど)、ビタミンを心がけて摂りましょう。
また、貧血が進んでいる場合は、輸血を行うこともあります。

3)出血の予防
血小板も白血球と同じように治療後1〜2週間で減少してきます。そして、3〜4週間で回復します。血小板が少ないと、軽くふれただけでも、打撲したときのように内出血の跡ができたり、少しのことでも出血しやすい状態になっています。転倒や打撲に注意し、靴下や下着のゴムで強くし締めつ付けないようにします。便秘で力むことも肛門からの出血を起こすことがあるので、水分・食物繊維を多くとり便秘にならないようにしましょう。
また、血小板が減少した場合は、血小板の輸血を行うこともあります。

4)嘔気・嘔吐の予防
嘔気は薬の影響だけでなく精神的な影響も受けやすく、病気や治療への不安でも強くなったりします。「抗がん剤」投与直後の嘔気・嘔吐の予防には制吐剤が開発され効果を発揮しています。

5)口内炎の予防
口内炎は「抗がん剤」の直接の作用によるものと局所感染によるものがあります。治療終了後2週間くらいの間は口内炎が起こる可能性があります。口内炎が悪化すると、痛みの出る場合があります。場合によっては出血をしますので、口を開けたり、食事をしたり、話をすることがとてもつらくなります。
このような状況にならないようにするには、口の中を清潔にすることが重要です。歯磨きはやわらかい歯ブラシを使ったり、毎食後うがいをするようにしましょう。

6)脱毛
「抗がん剤」はがん細胞にダメージを与えますが、正常な組織にもダメージを与えてしまいます。特に細胞分裂が活発なものに影響を与えます。髪の毛の根本にある毛母細胞も、細胞分裂の活発な細胞の一つです。そのため、「抗がん剤」の中には「副作用」として脱毛がおこりやすいものがあります。脱毛は「抗がん剤」を使ってから2〜3週後に起こることが多いようです。
しかし、ずっと髪の毛が生えてこないわけではありません。「抗がん剤」による脱毛は治療が終われば、3〜6ヶ月で生えてきます。「抗がん剤」を繰り返し行っている治療の時は、最後の治療が終わってから、3〜6ヶ月後になります。再び生えてきた髪の毛は、以前とくらべると細く、柔らかくなったり、茶色いなど髪の毛の質や色、量などが異なってくることもあります。
脱毛は「抗がん剤」の「副作用」なので、病状の悪化や新たな病気がおきているわけでもありません。しかし、治療を受ける前に何も聞いていなくて脱毛の「副作用」がでてきたら、本人だけでなく家族やまわりの人たちなども驚きます。さらにご本人は精神的に不安定になったりもします。このようなことは治療をするうえで何もプラスになりません。治療を受ける際に医師から十分な説明をしてもらい納得したうえで治療を受けて下さい。


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